家づくり
2023年12月8日更新
建築費高騰 高気密・高断熱化が進む中で家を建てるには| 地域性と家主の思い大切に[家づくり 発想変えるヒント]⑨
最近、沖縄でも木造の戸建住宅が増えている。十数年前まで数%だった木造が、最近は鉄筋コンクリート造(RC造)の数を超えたそうだ。建設費や土地が高騰しているためでRC造住宅の建設費は坪100万円を超え、市街地近郊の土地は坪50~60万円する。20年ほど前の感覚で70坪の土地に2階建40坪のRC造住宅を造れば、外構や家具込みで1億円弱かかることになる。だから持ち家は、土地30~40坪・木造25~30坪のコンパクトな戸建住宅かRC造マンションとなる。
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建築費高騰 高気密・高断熱化が進む中で家を建てるには
地域性と家主の思い大切に
最近、沖縄でも木造の戸建住宅が増えている。十数年前まで数%だった木造が、最近は鉄筋コンクリート造(RC造)の数を超えたそうだ。建設費や土地が高騰しているためでRC造住宅の建設費は坪100万円を超え、市街地近郊の土地は坪50~60万円する。20年ほど前の感覚で70坪の土地に2階建40坪のRC造住宅を造れば、外構や家具込みで1億円弱かかることになる。だから持ち家は、土地30~40坪・木造25~30坪のコンパクトな戸建住宅かRC造マンションとなる。
高価で暑く味気ないが台風に強いRC造、シロアリ・台風に不安だが涼しく住み心地がよいと聞く木造などと、人々はさまざまな情報に翻(ほん)弄(ろう)されている。建物の評価基準は、耐久・耐震・耐風・耐火・耐塩・耐シロアリ性、そして住み心地や好みなどいろいろあるが、私は沖縄の地域特性と家主の住まいの安心安全への思いを大切にしたい。
混構造の住宅の外観。屋根は鉄板瓦棒葺寄棟屋根をもつ。1階は強固なRC造で主寝室・書斎・バスルームなどの個室がある
2階は木造で開放的な和室とLDKとテラス。上部にトップライト、檜材の柱・梁や屋根裏が見え、沖縄の台風に耐える木構造
ダイニングルーム。奥の左にキッチン、右はユーティリティ
和室とリビングルーム、ドアはトイレ、その奥は階段
リビングルームに隣接する広い雨端(アマハジ)テラス
厳しい沖縄基準で
沖縄の気候風土は日本の中でも特殊である。島国で亜熱帯気候のため温暖だが日射は強く高湿度、そして巨大台風の暴風雨や塩害、シロアリ被害は強烈だ。建物は建築基準法に基づいて設計するが、この法律は一応の目安であり守るべき全国共通の最低基準、つまり本土基準だ。これに準ずれば長持ちして住み良い住宅ができるわけではない。耐震基準は大きな地震のたびに厳しくなった。高気密が推奨されるが24時間換気をしなければならない。また温暖で開放的な家が住み良いはずの沖縄でも、来年から小住宅も省エネのために高気密・高断熱仕様が求められる。中村家のような伝統的木造住宅はその基準から外れるかもしれない。重要なのは木造でもRC造でも地域性を踏まえた厳しい沖縄基準で考えるべきだ。
写真の住宅は本島中部の古い集落に立つ。古く暑いRC住宅に住んでいた家主は、沖縄らしい生活や景観を満たす木造住宅を望んだ。しかし、赤瓦葺伝統木造住宅は高価で今の生活には合わない。ローコストで台風・地震・火事・シロアリに強く、そして空調や照明などの設備に頼らない開放的で風通しがよい沖縄型住宅を望んだ。1階はRC造で主寝室・書斎・バスルーム、2階は木造で和室・LDKがある。RC造と木造の良い所どりの混構造住宅だ。
ふくむら・しゅんじ
1953年滋賀県生まれ。関西大学建築学科大学院修了後、原広司+アトリエファイ建築研究所に勤務。1990年空間計画VOYAGER、1997年teamDREAM設立。沖縄県平和祈念資料館、沖縄県総合福祉センター、那覇市役所銘苅庁舎のほか、個人住宅などを手掛ける
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1979号・2023年12月8日紙面から掲載
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