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2025年8月15日更新

【人物紹介】100%安全な土地目指して|(一社)沖縄県磁気探査協会 会長 仲宗根昌博さん[ひと]

地中に埋まっている不発弾を、地表から磁気測定によって探査する「磁気探査」。県民の安全を守るため、現在39社が加盟している「(一社)沖縄県磁気探査協会」会長の仲宗根昌博さん(49)は、「不発弾は県内のどこからでも見つかる。新築の建築前は磁気探査をしてほしい」と思いを語った。

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県の磁気探査事業の周知に力


(一社)沖縄県磁気探査協会
会長 仲宗根 昌博さん


〈プロフィル〉
なかそね・まさひろ/1975年、沖縄市出身。2000年、(株)沖縄中央エンジニアリングに入社。磁気探査技士。25年5月に沖縄県磁気探査協会の会長と建設産業専門団体沖縄地区連合会の副会長に就任。

◆(一社)沖縄県磁気探査協会
宜野湾市宇地泊3-17-19
電話=090・897・5733

https://www.jikitansakyoukai-o.com

―沖縄県磁気探査協会とは

2009年に糸満市で発生した不発弾爆発事故を受けて、不発弾による事故を未然に防止し、県民の安全や財産を守るため、10年に県内の二つの組合が「(一社)沖縄県磁気探査協会」を設立しました。適切な探査を行うために11年から「磁気探査技士認定制度」を設け、12年から「磁気探査技士資格試験」を実施。16年に国と県は磁気探査業務における作業責任者と管理技術者として同資格を採用し、24年までに約550人の磁気探査技士が誕生しました。

また、12年から磁気探査機器の性能や品質を確保するため、国と県が「磁気探査機器性能審査制度実施協定書」を締結し、審査機関から試験機関として委託を受け、試験までを実施する組織として当協会が依頼を受けました。県内の業者が現場で使用している機器は、全て審査制度に合格しています。

―磁気探査の費用や期間は

県は不発弾探査費用を原則全て補助する事業として、住宅の新築や建て替えをする際に不発弾探査を行う「住宅等開発磁気探査支援事業」を行っています。30坪の土地だと、探査作業に約10日、申請から交付までの期間を含めると1カ月ほどかかります。2023年度の住宅等開発磁気探査支援事業では、合計1トンの不発弾が発見されました。

しかし、探査件数は新築着工数5000件に対し毎年200~300件と県内の新築着工数の1割にも満たないです。同事業があまり知られていないのも理由の一つですが、探査に1カ月かかることを申請時に知って、建物の完成が遅れるのを嫌がり取りやめる方も多い。事業の紹介だけではなく、中身も周知するために今後は説明会などアピールする場を増やしたい。具体的な活動として、毎年11月に開催される建築フェスタに参加。金属探知機を使用した宝探しゲームを実際に体験してもらい、磁気探査業務を理解してもらう運動を展開しています。

―これからの抱負は

戦後80年たちましたが、県内では今でも1日1~2発の不発弾が見つかっており、全て処理するには70~80年ほどかかる見通しです。県内のどこからでも不発弾が見つかる可能性があります。私たちの仕事は形には残りませんが、施主や現場の方、県民が100%安全な土地で生活できる環境をつくる大切な仕事だと自負しています。県は今年から毎年8月を「不発弾処理推進月間」に制定しました=囲み参照。これからも県や国と一体になり、県民の暮らしを支えます。


昨年の沖縄県建設フェスタでの宝探しゲームの様子(沖縄県磁気探査協会提供)


県庁で模擬弾などを展示
県が不発弾処理推進月間を制定

県庁で開催された「不発弾パネル展」

1972年8月3日に、陸上自衛隊不発弾処理隊の前身組織によって、初めて不発弾処理が行われたとされている。県はこの日にちなみ、今年から毎年8月を不発弾の危険性や探査事業などをアピールする「不発弾処理推進月間」に制定。その活動の一環として、同月1日~7日まで県庁の1階でパネル展示などを行った=写真。本年度はパネル展示の他にwebや交流サイト(SNS)での発信なども予定している。仲宗根さんは「県と協力して、1人でも多くの県民に興味を持ってもらいたい」と語った。
 
取材/伊波克朗
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2067号・2025年8月15日紙面から掲載

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