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2023年4月14日更新

室内はコンクリートにペンキ塗り、水回りはドアなし|床面積20坪 550万円の実験住宅[家づくり 発想変えるヒント]①

文・写真/福村俊治
家づくりは、料理と似ている。野菜や肉や魚などの食材をおいしく料理して盛り付け、みんなで食卓を囲んで味わう。家づくりも、暮らす家主の希望にそって、コンクリートや木材やガラスやタイルなどの建材をうまく料理(設計)して、うまく盛り付け(施工)して、住宅という箱を造り楽しく暮らすものである。

室内はコンクリートにペンキ塗り、水回りはドアなし
床面積20坪 550万円の実験住宅


階段下のダイニングからホールを見る。ドアは玄関


3階から見る。両サイドにベッドと机と本棚、奥に和室


近所の子供たちが、宇宙船のような住宅の階段に並び記念撮影


塔の家。設計は東孝光。竣工1966年。土地6坪、地上4階の住宅


丸い吹き抜けから、ホールで寝転ぶ子供たちを見る


原邸。設計は原広司。竣工1974年。斜面に建つ木造住宅の内部


3階吹き抜けから見るホールと階段。壁から突き出た三角形上部は間接照明。壁にはスピーカーを埋め込んだ


平面図。1階の柱壁に合わせたラーメン構造で壁はブロック。仕上げは内外とも安いペンキ仕上げ


家づくりは、料理と似ている。野菜や肉や魚などの食材をおいしく料理して盛り付け、みんなで食卓を囲んで味わう。家づくりも、暮らす家主の希望にそって、コンクリートや木材やガラスやタイルなどの建材をうまく料理(設計)して、うまく盛り付け(施工)して、住宅という箱を造り楽しく暮らすものである。高級食材(建材)を使ったフランス料理や中華料理のような高級料理(豪邸)も良いが、毎日では飽きるし第一お金が続かない。大切なのは手軽に手に入る食材(建材)でうまく料理(設計)し、丁寧に盛り付け(施工)するのが良い。じっくり時間をかけ愛情込めて料理した「おふくろの味」がする住宅が一番だ。

「おふくろの味」目指す

今は、土地も建設費も値上がりして大変な時期だ。いかに安く造るかが課題となっている。見えや欲、逆に安さだけで住宅を造ってはいけない。住宅のために食費を切り詰めたり、インスタントのような住宅で暮らしたくない。広く豪華な住宅でなくてもよい。おふくろの味のように長く飽きない愛情と安らぎ、時には刺激や変化のあるどこにもないおいしい空間のある住宅を目指すことだ。私はお金も土地もない30数年前にこんな実験住宅を造った。

土地が17坪の倉庫の上に増築した住宅。床面積は2階・3階で20坪、工事費550万円の夢の、いや最ローコスト住宅。設計者の私は東京で敷地6坪に建つ狭小住宅や斜面に建つ不思議な家を見たことがあり、常識破りに挑戦した。内部は全てコンクリートにペンキ塗り、バスルームにもドアはなく、手すりも華(きゃ)奢(しゃ)、どこも最小寸法。家の中央に天窓があり、昼間は家の中を太陽がぐるりと回り照明不要。最上部には大きな換気扇があって夏はずっと熱気を排出する、床はタイル張りとペンキ塗りだから冷んやり。夜は間接照明、満月の日には月光が差し込み、稲妻は家中を発光させる。よく近所の子供たちが遊びに来て、この家を宇宙船と言って褒めてくれた。

どんな悪条件であっても素晴らしい住宅ができることがわかった。大切なのは家主が何を求め、どう料理(設計)するか、そのためには柔軟な姿勢と発想、そして夢が大切である。豪華ではないが楽しい家ができる。



[沖縄・建築探訪PartⅡ]福村俊治
ふくむら・しゅんじ 1953年滋賀県生まれ。関西大学建築学科大学院修了後、原広司+アトリエファイ建築研究所に勤務。1990年空間計画VOYAGER、1997年teamDREAM設立。沖縄県平和祈念資料館、沖縄県総合福祉センター、那覇市役所銘苅庁舎のほか、個人住宅などを手掛ける
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1945号・2023年4月14日紙面から掲載

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