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2024年1月12日更新

工法強固でもメンテナンスが大切| 70年たっても健在 基地内のRC住宅[家づくり 発想変えるヒント](10)

鉄筋コンクリート造(RC造)の街並みは世界の新興地域でよく見かける。RC造は、他の工法に比べ建築資材が入手し易く熟練した施工技術が不要で、しかも堅固で多様な形態を作ることができる。19世紀中ごろに発明され20世紀に世界中に広まった。沖縄では戦後基地の住宅をまねたのが始まりだ。アメリカ本土の基地では木造住宅が多く、RC造は沖縄とグアムだけのようだ。やはり沖縄のような暴雨風などの厳しい気候風土の恒久基地に採用された強固な工法だ。

70年たっても健在 基地内のRC住宅
工法強固でもメンテナンスが大切

鉄筋コンクリート造(RC造)の街並みは世界の新興地域でよく見かける。RC造は、他の工法に比べ建築資材が入手し易く熟練した施工技術が不要で、しかも堅固で多様な形態を作ることができる。19世紀中ごろに発明され20世紀に世界中に広まった。沖縄では戦後基地の住宅をまねたのが始まりだ。アメリカ本土の基地では木造住宅が多く、RC造は沖縄とグアムだけのようだ。やはり沖縄のような暴雨風などの厳しい気候風土の恒久基地に採用された強固な工法だ。

ところで基地の住宅が竣工して70数年たっても存在し続けるのに、沖縄の民間住宅が20~30年ほどで劣化・老朽化してしまうのはなぜか。その原因は海砂を使ったためだとか、基地のコンクリートは質が良く監理が厳しかったからだと聞く。基地の建設関係者や当時の工事に携わった職人に聞いてみた。
 

改修前の住宅玄関。門柱と駐車場

玄関前改修後。ガラスドアと花で明るく
 
改修後の住宅の室内。壁面に大きな窓を作り、木やRCの壁は白く塗装。照明を付け替えて明るくシンプルに

物であふれ使い勝手の悪かったキッチン
 
造り付けキッチンと食器棚ですっきりと
 
キッチンは大勢で使えるアイランド型に
 
ピアノやサイドボードなど物が多かった
 
外壁の一部はコンクリートが爆裂
 
中庭に木床を作りテラス化。屋外の居間
 
基地内の住宅は建物番号下に塗装日を表記
 
メンテナンスが続く基地の住宅群(上)と沖縄の住宅
 

メンテが曖昧な日本

基地建物は機能性・経済性・耐久性重視で、屋根スラブは厚さ7~8センチでシングル配筋、壁・天井は塗装仕上げで余計なデザインは一切ない。コンクリートも容積配合で、南部の砕石や洗わない海砂も使っていたらしい。また検査後に夜忍び込んで鉄筋を抜き取ったり、こっそり水を加え打設したりするなど手抜き工事も多かった。ただ竣工後は、数年ごとの定期的な内外塗装などのメンテナンスがされている。日本には建築資材の品質や施工上の厳しい基準があるが、維持管理は曖昧でされないことも多い。基地内の住宅が劣化しないのは、コンクリートの中性化と鉄筋が錆(さ)びるのを防ぐ、つまり、水分と空気を遮断する塗装による維持管理がされているためだ。

写真の住宅は日本復帰ごろに建設された住宅。吹き抜けや中庭、内外塗装仕上げなど斬新で凝ったプランであったが、竣工後は一度もメンテナンスすることはなかった。屋根防水もなく外壁内壁の塗装は色あせ劣化し、コンクリートの爆裂など見た目はひどかったが、メンテナンスを兼ねたリフォームをした。壁量も十分あったので壁に大きな開口を開け、内壁を白く塗り替え、明るく風通しの良いリゾート風の家に造り変え、同時に家財道具も整理した。沖縄は基地からRC造の工法を学んだが、維持管理を学ばなかったようだ。=毎月第2週に掲載



[沖縄・建築探訪PartⅡ]福村俊治
ふくむら・しゅんじ
1953年滋賀県生まれ。関西大学建築学科大学院修了後、原広司+アトリエファイ建築研究所に勤務。1990年空間計画VOYAGER、1997年teamDREAM設立。沖縄県平和祈念資料館、沖縄県総合福祉センター、那覇市役所銘苅庁舎のほか、個人住宅などを手掛ける

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1984号・2024年1月12日紙面から掲載

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