家づくり
2025年7月10日更新
太陽光発電で負担減|お財布とヒトにやさしい住まいのヒント④
当連載では住環境が家計や人間関係、幸福感にどのように影響するかを一級建築士の村山創さんが解説する。今回は、生活の中でも大きな出費である「電気料金」について。「電気料金の仕組みを知ることで節約のヒントが見えてきます」と話す。

文・図表/一級建築士・村山創
当連載では住環境が家計や人間関係、幸福感にどのように影響するかを一級建築士の村山創さんが解説する。今回は、生活の中でも大きな出費である「電気料金」について。「電気料金の仕組みを知ることで節約のヒントが見えてきます」と話す。
太陽光発電で負担減
「売電」から「自家消費」へ家の中で使うエネルギーの多くが電気です。照明、テレビ、冷蔵庫、エアコンなど、電気がなければ私たちの暮らしは成り立ちません。
2023年以降、世界情勢の影響で燃料の価格が高騰し、日本でも電気料金が大きく上がりました。家計にとってはかなり大きな負担です。こんな時代だからこそ、注目されているのが「太陽光発電」です。
今まで太陽光発電というと、「発電した電気を電力会社に売って収入を得る」という「売電」のイメージが強かったかもしれません。しかし最近は、「売る」より「自分の家で使う(自家消費)」方が、メリットが大きくなっています。高い電気を買わずに済み、電気料金を大きく減らせるためです。
しかも沖縄は、全国でもトップクラスの日射量がある地域のため、太陽光発電が適しています。
さらに、太陽光発電は停電時の非常用電源として活躍してくれます。台風が多い地域にとっては、とても心強い存在になり、蓄電池の導入も増えています。
夏の暑さが厳しい沖縄ではエアコンもフル稼働させるため、電気料金の中でも大きな割合を占めます。
皆さんはエアコンを選ぶとき、何を基準にしていますか? 実は、家電カタログに書かれている「年間の電力消費量(期間消費電力量)」という値がとても参考になります。これが分かれば、1年間にどれだけ電気を使うかや金額を簡単に計算できます。
例えば、「冷房期間(5月23日〜10月4日、18時間使用を想定)の電力消費量」が300kwhと表記されている場合、1kwhあたり60円の計算で、300kwh×60円=1万8000円です。これが夏の冷房代の目安になります。
ちなみに、電気料金は電気単価だけでなく、「再エネ賦課金(ふかきん)」という料金も加わります。これは税金のようなもので、25年は3・98円/1kwhです。家庭用の電気料金は、契約内容によって異なりますが、賦課金を加えると1kwhあたり44円〜60円くらいが一般的です。
固定費下げる工夫①


電気料金を抑えながら、快適で安心な暮らしを実現するために、国も新しい住宅づくりを応援しています。今年から始まった「GX(グリーントランスフォーメーション)志向型住宅」への補助金制度では、太陽光発電などを導入して、家庭の使用エネルギーをほぼゼロにできる住宅に対して、最大160万円の補助金がもらえます。このGX住宅の詳細は別の回で詳しく説明します。
電気料金の仕組みを知ると、節約のヒントが見えてきます。ぜひ関心を持ち、できるところから見直してみてはいかがでしょうか。

むらやま・はじめ/
一級建築士、創環境Design代表。フラット35適合証明技術者。設計の仕事をしながら、住宅関係の講演会や一般消費者に向けて住宅づくりの情報をSNSで発信している
https://hajimemurayama.my.canva.site/
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2062号・2025年07月11日紙面から掲載