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2025年7月4日更新

現場スタートの下準備|施工図面や詳細資料で確認[Aさんの家づくり 完成までの道のり④]

マイホームの建築は人生の一大事業。住まいづくりについて皆さんのヒントになるように、建築士の具志好規さんがAさん宅完成までの流れを紹介します。(写真・文/具志好規)

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施工図面や詳細資料で確認

現場スタートの下準備

Aさんの家の建設工事が始まった。今回は、元請けの建設会社が各工種の協力会社(住宅建設でも20社ほどの工事業者が携わる)を取りまとめて請け負う一括発注だ。工種ごとに契約を行う分離発注と比べると工事区分や工事業者間の調整、工程の段取りなど指示系統が明快で工事が進めやすく、建物完成後のメンテナンスも対応しやすい。

実際に現場に入る前の準備期間に、詳細な工事工程表の作成、協力業者の決定、現場の確認、工事用図面の作成、資材の選定などを進めていく。

建築工事の現場代理人に末次さん、協力業者で電気工事は新光電設の新城さん、給排水工事は桑江設備の桑江さんに担当が決まり、顔合わせと設計図の説明を行った。その上で疑問・問題点を洗い出し、施工者からの提案や意見も聞いて工事準備を進める。

現場では整地や仮設の電気・水道の準備。建物位置や基準高さ、引き込み電柱の位置や道路下の水道管の位置、排水の接続先などを確認した。


現場で基準となる高さと建物の床高さの確認の様子。手前の仮設電柱も設置し、仮設水道も準備に入る


書類で細かな調整を

RC(鉄筋コンクリート)造の場合は、設計図を基にコンクリートの基礎・壁・屋根スラブなどの躯体図(型枠を加工するためにコンクリートの寸法を決める図面)やアルミサッシの窓周りの納まり施工図を優先して進める。躯体図や施工図は施工のためのより細かな工事用図面で施工者が作成し、内装工事での床や壁の取り合いなども考慮して私たちがチェックを行う。


基礎部分のコンクリート躯体図のチェック。設計に合わせて細かい納まりを指示する


配管ルートや機器の位置を確認する設備の施工図も並行して作成する。今回は屋根や壁の厚みが薄いため、コンクリート内を通る電気の配管が集中しないよう新城さんと相談しながら確認を進めた。

仕上げ材などの内装資材は現場を進めながら確認するが、コンクリートの強度やセメント・骨材などの材料を確認する配合計画書、主要な建築資材や設備機器などは工事に先行して事前に資料を確認し、設計図と相違がないか照らし合わせて決定する。

最終的な施工図を仕上げて工事を進めていくが、時には図面通りにいかないこともある。紙の上だけでなく、実際に現場を確認しながら担当者や職人さんたちと話し合い、工事を進めることになる。

現場でのトラブルや手戻りをなくすため、細かな事前調整をすることが大事である。土台(準備)がしっかりしていなければ上物は安定して造れない。何事においても下準備が大切なのだ。


アルミサッシの施工図のチェック。コンクリートの形状やアルミの部材、ガラスの厚みなども確認する



電気設備施工図のチェック。機器やスイッチなどの取付位置や高さを調整する



コンクリートの配合計画書。強度やセメント・骨材・水分量などの配合を確認する



電気や給排水設備の機器の詳細資料。品番や色、寸法などを確認する 提供資料(左:遠藤照明・右:TOTO)



執筆者プロフィル

ぐし・よしのり/
1981年、那覇市生まれ。沖縄職業能力大学校住居環境科卒、(有)チーム・ドリーム勤務。住宅・商業施設・教会や公共施設など幅広く設計に携わっている。
www.dream-archi.com/
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第2061号・2025年7月4日紙面から掲載

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