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2024年9月27日更新

【第10回沖縄建築賞】奨励賞 リフォーム・リノベーション・コンバージョン部門|「わんさか大浦パーク」(名護市)|仲本昌司氏(45)|(株)ADeR

沖縄県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」。ここでは奨励賞を受賞した6作品の1つ「わんさか大浦パーク」を紹介する。

施設と芝生広場の間に新設した東屋は敷地の形に沿って、階段状に計画。施設にアクセスしやすいだけではなく、腰かけながら広場で遊ぶ子どもの姿も見守れる




リフォーム・リノベーション・コンバージョン部門
「わんさか大浦パーク」(名護市)


施設と広場つなぐ東屋

敷地全体の動線を整備

名護市大浦の交流施設の「わんさか大浦パーク」。施設は南西側にある芝生広場や駐車場より高い位置にある。しかも駐車場が芝生広場を二つに分断していた。仲本氏は施設内のスーペスを機能ごとにまとめて配置しつつ、敷地全体の動線も整備。「施設職員と利用者の利便性を高めるよう計画した」と説明する。

まず芝生広場を一カ所にまとめ、施設側に寄せて配置。回廊を増設し駐車場からアプローチしやすくしたほか、芝生広場と施設との間には高低差を生かした東屋を新設した。「飲食しながら広場で遊ぶ子どもを見守れるスペース」。東屋は通路を挟み、床面積を広げた直売コーナーと一続きに。「通路に置かれていた椅子やベンチを撤去でき、スムーズに移動できる」。

また、大浦湾が一望できる位置にカフェやカヌー艇庫を新設し、施設機能の強化を図った。審査員からは「改修前の問題点を洗い出して、地域の活性化についても考えた提案がなされていた」との声があがった。
 


テーブルと椅子が点字ブロックの上に置かれ、通路を塞いでいた
 


東屋が休憩所となり、通路を広く使える


設計者/仲本昌司氏(45) (株)ADeR


新部門で賞を頂き、嬉しく思います。課題点を整理して大きく手を加えず、既存建物や敷地を活かしながら賑わいの創出を図りました。分断されていた緑地広場をまとめ、施設と広場がつながり、訪れる多くの人が大浦をゆっくり楽しめる施設となりました。



 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


審査講評・小林進一氏(前回住宅建築部門 正賞受賞者)


敷地の高低差生かした半屋外

この建物は綿密な調査やワークショップなどから施設の問題点を抽出し、一つ一つ丁寧に解決していた。 芝生広場と駐車場の配置の入れ替えや道路からの見え方など、施設の配置計画から改変。カフェを含むコミュニティー棟や回廊なども増築し、新たな動線と建物同士のつながりを獲得している。中でも評価したいのは施設と広場の高低差を利用した階段状の半屋外空間。最小限の手数で効果的な変化を遂げていた。 施設内の配置は適切に整理されており、新たに作った外部空間との連携が取れている。運営サイドからの要求に応え、収益を上げる施設への足掛かりとなるのはもちろんのこと、地域の活性化、自然なシークエンス(移動することで変化していく景色)などで生まれる豊かさが感じられる計画となっている。 今後、同じような問題を抱える施設に対する解答として、一つの規範となり得るリノベーションと言えるだろう。


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◇古谷誠章審査委員長から総評
入選作品紹介
 

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2021号・2024年09月27日紙面から掲載

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