幻想的な世界観 揺るぎなく|アートを持ち帰ろう(51)|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

沖縄建築賞アーカイブ

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2025年6月27日更新

幻想的な世界観 揺るぎなく|アートを持ち帰ろう(51)

文/本村ひろみ

特集・企画

タグから記事を探す


 

“普遍なもの”作品に落とし込む

「秘密の森の集会」
350000円(税込み)
690ミリ×620ミリ


アーティスト・小橋川叶子は子どものころから少女を描いていた。夢見るような表情、柔らかい曲線、バラ色の肌。少女というモチーフは一瞬と永遠の隠喩。私は小橋川が大学在学中に描いた少女の絵を部屋に飾っている。神聖な雰囲気をまとう4人の少女がたがいのロングヘアでひとつにつながれ、画面下にはピンク色の毛糸(突起物)が垂れ下がっている。額装も小橋川本人が制作したもので、幻想的な美しい作品だ。
 

額縁も作品の一部

そんな彼女が現在描いているのは「森」。場所も時間も封じ込められたような神秘的な森だ。作品「秘密の森の集会」は生まれ育った沖縄の亜熱帯の自然に楽園を想起、湿度で蒸せるような緑の匂いも感じさせる作品だ。森を描こうと思ってから約7年間、彼女はひたすら草木を描き続け、自分の作品に落とし込んだという。

作品「静かな視線」は夕方の散歩道でふと目があった黒猫を描いたもの。緑のグラデーションに天井画のような甘美なオレンジ。描写や表現が単調に思える森を描き続けるなかで熟成されている。世界観を完成させるため、額にもこだわり彫刻刀で木の額を削ったり、丸いキャンバスにレースを付けたり、彼女なりの新しいスタイルを進化させている。

ところで小橋川が子どものころから追い続けている幻想的な物語の世界観は、モチーフが変化しても揺るぎなく作品に独特の空気をもたらしている。アーティストにとって“普遍なもの”は作品の個性となるようだ。
 

「静かな視線」
売約済み
220ミリ×273ミリ


「in green 02」
55000円(税込み)
200ミリ×200ミリ



「もりのかけら」
44000円(税込み)
200ミリ×200ミリ

 
 
作家近況

小橋川叶子(こばしがわかなこ)
展示会・イベントなどの参加、受注制作も行う

9月20日&21日「ねことわたしと」展 
展示と販売のポップイベントをアートスペースACUOTでイベント開催

詳しい情報はinstagramで
https://www.instagram.com/kanako_kobashigawa/

作品価格などの情報は直接お問い合せ下さい。


もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2060号・2025年06月27日紙面から掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

キュレーター
本村ひろみ

これまでに書いた記事:51

ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

TOPへ戻る