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2024年9月27日更新

【第10回沖縄建築賞】奨励賞 住宅建築部門|「ミニマル×マキシマル」(沖縄市)|松田まり子氏(47)|松田まり子建築設計事務所

沖縄県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」。ここでは奨励賞を受賞した6作品の1つ「ミニマル×マキシマル」を紹介する。


LDK。室内外ともに白く塗装し、構造体のコンクリートに蓄熱しないよう配慮した




奨励賞 住宅建築部門
「ミニマル×マキシマル」(沖縄市)


緩衝空間で居住性高め

光・風巡る小さな家
夫婦2人暮らしの住宅「ミニマル×マキシマル」。松田氏はLDKの東西にそれぞれテラスを隣接させ、花ブロックなどで囲んだ緩衝空間とした。「蒸暑地域の沖縄で室内の環境性能を考えるとき、外皮(外気に触れる壁・屋根・窓)の性能だけではなく、緩衝空間も取り入れて計画をすることが大切」と話す。さらにテラスがある分、床面積をコンパクトにしてもは広がりのある空間となる。

緩衝空間を設けることで、日差しと日射熱が入るのを防ぎ、通風を確保。開口部や花ブロックの形状は風の流れをシミュレーションして、決めた。自然光を取り込むトップライトを水回りやリビングの一部に設けた。

また、「シンプルに暮らしたい」との要望から、水回りの動線などはコンパクトにまとめた。ほかにも特注したキッチンは、食事やデスクワークもできるように。「機能を一つに集約させたことで、リビングを広く使える」。

審査では「省エネ基準の義務化をはじめ、高温多湿な沖縄に建つ省エネ住宅として、モデルになる住宅」と評価された。
 


玄関はなく、西側のテラスから出入りする。花ブロックがあることで日射熱が抑えられる

 


LDKの窓を開ければ、テラスまで一体となり、開放的

 


設計者/松田まり子氏(47) 松田まり子建築設計事務所


このたびは栄えある賞を賜り、心より感謝申し上げます。対話を重ねていただいた施主さまはじめ、関係者の皆さまに深く感謝いたします。皆さまのご協力なくして、今回の受賞は成しえなかったと感じています。この喜びを胸に、これからも沖縄の風土や文化を尊重し、まい進してまいります。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


審査講評・池間守氏(県建築士事務所協会会長)


時勢捉えた省エネ住宅

この建築は沖縄の気候風土適応住宅に対応する一方で、ZEH(ゼロエネルギーハウス)の基準を容易に満たしている。気密性や日射遮へい対策を有し、再生エネルギー設備を導入。一般的に気候風土適応住宅は開放型で自然志向、ZEHは閉鎖型で設備志向と異なるが、両方の性質を持ち合わせることで、季節ごとの住まい方が可能である。

室内はシンプルな空間で、動線の短縮や心地よい空間の演出がされている。オリジナリティーあふれるシステムキッチンのほか、風を呼び込む花ブロック、適度に光を取り込むトップライトなど、細かい部分まで配慮がなされている。一見どこにでもありそうな建築に見えるが、そこにある空間、機能性、たたずまいは非常に個性的。

加えて、数多くの工夫で建設コストが抑えられている。来年度は建築物省エネ法の改正に伴い、省エネ基準の適合が義務付けされる中で、今後の模範となる作品である。



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◇古谷誠章審査委員長から総評
入選作品紹介

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2021号・2024年09月27日紙面から掲載

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