地域情報(街・人・文化)
2025年7月11日更新
野生化したナス科花木|ルリイロツルナス、ヤコウカ|身近で見られる帰化植物㉘
文・写真/比嘉正一 沖縄文化スポーツイノベーション(株)顧問
海外から入ってきて、今では県内で普通に見られる帰化植物を解説。今回はナス科のルリイロツルナスとヤコウカを紹介。2種とも以前は観賞用として植えられていましたが、最近では野生化してきているようです。
野生化したナス科花木
「ルリイロツルナス」「ヤコウカ」
ルリイロツルナス/熱帯アメリカ原産

花は茎の途中から房状につく

紫色の花と赤い実、緑の葉のコントラストが美しい
紫の花と赤い実
ルリイロツルナスは、熱帯アメリカ原産で長さ2~4メートルに延びるつる性多年草です。葉は羽状複葉で、切れ込みがあります。花は茎の途中から房状につき、花弁は紫色です。ほぼ1年中咲いています。果実は球形で直径は約1センチ程度で、赤く熟します。緑の葉と紫色の花、赤い実のコントラストがよい景観を作り出します。
沖縄では1950年代に観賞用として栽培されていて、各種の図鑑には熱帯花木として紹介されています。
しかし、2000年代頃から野生化が目立ち始め、今では観賞用というより、低地の野山に野生化している姿をよく見かけます。
ヤコウカ/メキシコ~ベネズエラ原産

ヤコウカの花

ヤコウカの実
花に強い芳香
ヤコウカは別名ヤコウボクとも言われます。メキシコからベネズエラ原産で、高さ1~4メートルに成長する常緑小低木です。花は筒状の白色で、房状に咲きます。果実は白い球形で直径は1センチほど、これも房状になり、かなり目立ちます。
「夜香花」の文字通り、夜になると強い芳香があたり一面に漂います。あまりにも強いので、「自分の庭に植えるものではなく、隣の家に植えてもらって楽しむ方が良い」と言う人もいるくらいです。
日本には明治初年に渡来し、沖縄にはその後入ったと思われます。ルリイロツルナスと同じように観賞用として庭園、公園、生垣に広く植えられていましたが、その後は野生化したようです。今では民家近くの野山などに帰化し、普通に見かけるようになってきました。
**********************************
7月~8月の公園情報
※諸事情で日時が変更になる場合があります。問い合わせ先にご確認ください。
【県民の森(恩納村)】
◆夏休み自由研究・親子でどんぐり工作
日時/7月19日(土)午後1時30分~同3時
場所/木のふれあい館2階「研修室」
料金/2000円
定員/15人(小学生以上対象)
講師/照屋寛信氏(工房ふぁーかんだー)
沖縄産のどんぐりと木々の枝を使い、世界に一つだけのどんぐり作品をつくる。
電話=098-967-8092
【中城公園(中城村)】
◆夏休み自由研究・親子でどんぐり工作
日時/7月26日(土)午後1時30分~同3時
場所/同公園会議室
料金/2000円
定員/15人(小学生以上対象)
講師/照屋寛信氏(工房ふぁーかんだー)
※上記県民の森の内容と同様
電話=098-935-2666
【平和創造の森公園(糸満市)】
◆樹木について調べてみよう
日時/8月2日(土)午前9時30分~同11時
場所/同公園管理事務所前集合
料金/1000円
定員/15人(小学生以上対象)
講師/比嘉正一氏(学芸員)
公園内を散策しながら見つけた樹木についてどんな特徴があるのか、どこに生えているのかなどを紹介。夏休みの自由研究にもぴったり。
電話=098-852-4033
【名護城公園(名護市)】
◆アダン根の筆づくり体験
日時/8月9日(土)午後1時30分~同3時
場所/同公園「学習室」
料金/1500円
定員/10人(小学生以上対象)
講師/岩田亜久梨氏
アダン根をトンカチで叩いて繊維をほぐし、オリジナル筆を作る。自分で作ったアダン筆は、世界に一つ。何回でも繰り返し使え、記念になる。
電話=0980-52-7434
**********************************

執筆者
ひが・まさかず/1956年生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て沖縄文化スポーツイノベーション(株)顧問に。沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2062号・2025年7月11日紙面から掲載