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沖縄建築賞

2024年9月27日更新

【第10回沖縄建築賞】奨励賞 一般建築部門|「勝連のリゾートオフィス」(うるま市)|濱元宏氏(61)、 豊崎孟史氏(38)|(株)GAB

沖縄県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」。ここでは奨励賞を受賞した6作品の1つ「勝連のリゾートオフィス」を紹介する。


中央上部の立方体の中に高架水槽を収めている。ここは物見台も兼ねている

 


奨励賞 一般建築部門
「勝連のリゾートオフィス」(うるま市)


高架水槽ごと「リゾート」に

支柱見せず眺望確保

濱元氏、豊崎氏が手掛けた「勝連のリゾートオフィス」は一見、左右対称でシンプルな造りの施設。建物半分をオフィス、もう半分を浴室などの水回りを有する宿泊施設としてプランした。

眺望は良いが、街から離れた高台に位置するため「ライフラインを確保するために苦労した」と豊崎氏。建物の中央上部には高架水槽を収めている。給水を600㍍ある遠方から引き込むことで生じる水圧不足を確保するために設置し、物見台を兼ねた空間とした。

また、ここから支線で1階の屋根をつり上げることで支柱の数を少なくしたり、支柱をサッシ内部に収めたりして、1階の見晴らしを確保。非日常感を演出している。

施主は県外の会社。沖縄出張や家族で宿泊できる保養所として使用している。同社のスタッフは「社員からとても人気で、毎週末スケジュールが埋まっているような状況」と話す。

審査員も「リゾート気分が味わえ、絶景を抱きながら仕事や休息できる場所だと感じた」と評価した。
 


中庭。2階回遊デッキにつなげることで立体的な遊び場となり、多角的な捉え方を養う

建物断面図

 


設計者/濱元宏氏(61)=右、豊崎孟史氏(38)=左  (株)GAB


施主さまには利用頻度の高い施設にもかかわらず、現地審査のためにスケジュールを調整して頂き感謝しております。工事に携わっていただいた職人の皆さまへも感謝申し上げます。この賞を今後の励みにして参ります。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
 

審査講評・能勢裕子氏(彫刻家)
 


眺望や外観に生きる「支線」

太平洋を一望できる絶景の高台に建つ事務所兼保養所である。

絶景の高台ゆえにインフラ整備が不十分。それを、浄化槽の汲み取り処理や本管からの引き込みによる貯水タンクの設置などの労力をもって解消を図っている。

貯水圧を得るため、高架水槽などを収めたキューブが屋根の上の中心部にあり、構造体のコアとなっている。そこから4本の支線を伸ばし屋根をつり上げている形態が、象徴的な印象を与えている。

建物半分は眺望抜群の広い浴室などがある保養スペース、もう半分は給湯スペースなどがあるワンルーム的なオフィス。屋上キューブから伸ばした4本の支線により、鉄骨支柱を少なくしたガラス張りの空間は明るく、広さが感じられ、リゾート気分を味わえる。

外回りは施主や利用者の手によって砂や砂利、植栽など日々手が加えられているとのこと。絶景を抱きながらの仕事や保養を楽しめる建築であると感じた。


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◇古谷誠章審査委員長から総評
入選作品紹介

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2021号・2024年09月27日紙面から掲載

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