庭・garden
2019年2月15日更新
2月中に株分け&整理・見て食べて楽しい「ポタジェガーデン」|イングリッシュガーデン in 沖縄
[vol.10]2月にしておきたい、多年草の株分けや古枝の整理についてと、収穫も観賞も楽しめる一石二鳥の庭「ポタジェガーデン」。北さんはなるべく農薬を使わずに、ゆるーく楽しんでいるそうです。ポタジェにおすすめの植物などを教えてもらいました。浦添市でガーデニングショップを営む北めぐみさんが説明します。
多年草は2月中に株分け&整理 害虫や病気にも注意しよう!
子株は丈夫に育つ
多年草の株分けや挿し木、古枝の整理はなるべく2月中には済ませましょう。
せっかく大きくなったのに株を分けるの? と思うかもしれませんが、多年草の生育において、株分けは重要です。
暑さに弱い多年草は、気温の上昇とともに株元が蒸れて生育が悪くなってきます。ですから、冬の間に株分けをしておきましょう。
また、挿し木にも良い季節です。早めに挿し木をし、夏までにしっかりと根を張らせましょう。株分けや挿し木をした子株は、親株よりも丈夫に育ちますよ。
この時期は害虫や病気にも注意が必要です。野菜類にはアオムシ、草花にはアブラムシやケムシ、バラにはゾウムシや葉ダニなども増えてくてきます。
植え替えついでに根の状態や葉の病気、害虫などのチェックもしましょう。
多年草の株分け
わが家の庭もいろいろな多年草を株分けし、消毒もします。ペンステモンやエキナセア、ラディヴィダ、アカンサスなど。沖縄の暑さが少し苦手なエキナセアですが、株分けすると子株は丈夫に育ちます
大株になったアメジストセージは枝を整理しました。大きくなり過ぎる植物は2年に1回は根を抜き、硬くなった古い枝を取り除きましょう。伸び過ぎた根も切り詰めます
株分けした苗はすぐに庭植えすることも可能ですが、庭土が硬いとか苗が小さ過ぎる場合は、一度鉢植えにして、ある程度生育したら土ごと庭に植えると安心ですよ
葉ダニにやられたつるバラ 葉や枝落としリセット
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私のお気に入りのつるバラ(コーネリア)は、葉ダニがいっぱい付いてしまっていたので、葉をすべて落とし、古くなった枝も切り落として、誘引(枝を壁に固定)し直しました。消毒と追肥も済ませ、また春に開花するのが楽しみです
野菜や草花、ハーブを一緒に植える 見て食べて楽しい「ポタジェガーデン」
植え合わせで減農薬
最近、「ポタジェガーデン」という言葉を耳にすることはありませんか? フランススタイルの家庭菜園で、果樹や野菜、ハーブや草花を混植して楽しむ庭のことを言います。
草花と菜園が一度に楽しめ、小さなスペースやベランダでもOK.日本にも適した緑の楽しみ方だと思います。私も庭でポタジェを楽しんでいます。
さて、今回はポタジェを楽しむこつをいくつかご紹介します。
草花と違い、食べられる野菜を植えるなら、なるべく無農薬や低農薬で育てたいですよね。そこでおすすめしたい植え方が「コンパニオンプランツ」を利用すること。
野菜には、それぞれ集まりやすい特定の虫や、かかりやすい病気があります。一緒に植えるとそういった病害虫を抑えられる植物があるんです。
例えば、トマトの横にバジルを植えておけばアブラムシが付きにくくなります。キャベツやダイコンなどアブラナ科の野菜の合間にレタスやシュンギクなどを植えると、モンシロチョウ類が卵を産み付けに来るのを減らせますよ。マリーゴールドは、地中に生息する「センチュウ」を減らすので、根菜類と一緒に植えると良いことが知られています。
ユニーク野菜は種から
私のお庭では、毎日食べたい野菜のほかにも葉色や形が美しい野菜も育てて、料理も楽しんでいます。
なかなかスーパーではお目にかかれないような野菜にあえて挑戦するのが面白いんです♪
野菜の種は比較的大きく、発芽しやすいので、あまり苗が出回らないユニークな野菜は種を入手するのが良いと思います。
私はその野菜の周りに草花などのお花も自由に植えています。野菜畑に似合う黄色やオレンジ色の花、赤い花がかわいいクリムゾンクローバーやパンジー、ビオラ、チューリップなどの球根花など。農家さんには叱られるかもしれませんが、害虫を呼ぶ(?)草花も一緒に植えてみたりしています。確かに害虫は困りますけど、「少しくらいはお裾分け」という気持ちでゆるーくポタジェを楽しんでいます。
ポタジェにおすすめの野菜やお花も紹介しますね。
北さんの「ポタジェ」
色とりどりのカラーリーフ野菜と花を混植しています。アブラムシ対策には薄めた牛乳を散布すると、無農薬で駆除できます
マリーゴールドは土中のセンチュウを減らすコンパニオンプランツとして知られています。私はスイスチャードやクリーピングタイムと一緒に植えています
華やかでオシャレ色のフリンジのケールは、サラダの彩りにどうぞ!
右側がビーツで左側はスイスチャード。ビーツはほんのりトウモロコシのような風味。ゆでるだけでもおいしいですが、トマト煮込みやグリルにするのもおススメ!カラフルなスイスチャードはポタジェに欠かせない葉野菜です
レモンタイム。フレッシュなレモンの香りがたまらない良い香りのキッチンハーブです
美しい空色のハーブはボリジ。草丈が高くなり、たくさんの花をつけるのでポタジェのアクセントにおすすめです
紫葉のダークオパールバジル。スイートバジルの方が食味は良いですが、美しい葉とピンクの花はポタジェの彩りに欠かせません。バジルの香りはアブラムシ除けにも効果があります
カラーレタスは、レタスのミックスシード(さまざまなレタスの種が一袋にまとまったもの)をまきました。新鮮で柔らかいレタスが食べられます!
ポタジェにおすすめの野菜・花・ハーブ
★彩りがきれいな野菜
ビーツ、ケール、コールラビ、スイスチャード、西洋ナス、カラフルトマト、 赤すじソレル
★虫がつきにくく育てやすい野菜
ホウレンソウ、ニンジン、ニラ、カラシナ、リーフレタス、ネギ、タマネギ、 シュンギク
★料理に使いやすいハーブ
コリアンダー、バジル、ローズマリー、フェンネル、ワイルドストロベリー、
タイム
★花もかわいいハーブ
マリーゴールド、ジャーマンカモミール、ナスタチウム、ボリジ、キンセンカ、 レモンベルガモット
※沖縄ならではのゴーヤーは花もキレイです。グリーンカーテンにするのも良いと思います。ハンダマは、なんといっても彩りが美しい。オクラは花もかわいいし、自分で育てるとやわらかくておいしいのでおすすめです。
収穫して食卓も華やかに
ケールのサラダです。もこもこの葉はドレッシングが絡みやすいんです。意外と苦みも少ないです。ベリー類、ナッツを入れて彩りも楽しんでいます♪
▲ケール
花もかわいいコリアンダー(パクチー)。アジア料理の定番。私はアボカドディップにたっぷり混ぜ、トーストにのせて食べています
▲コリアンダー(パクチー)
淡い色でキュートなオクラの花。自分で育てたオクラは柔らかいので、大きくカットして明太子とパスタにしました!
▲オクラの花
★タイムス住宅新聞のホームページ
(sumai.okinawatimes.co.jp)では、紙面に入りきらなかった情報を紹介中。年間のガーデニングスケジュールや、12月上旬の北さんのお庭様子などをアップしています。(こちら)
きた・めぐみ/愛知県で生花店や園芸店に勤務したのち、沖縄に移住。浦添市で小さなガーデニングショップ「庭のおくりもの」を営む。※お店は現在、庭のリニューアルのため休業中。ことし3月から再開予定。
沖縄県浦添市港川2-29-5
098-878-0355
ブログ:http://niwano22.ti-da.net/
https://www.instagram.com/niwanookurimono/?hl=ja
イングリッシュガーデン in 沖縄
- 12月上旬の北さんの庭の様子
- 11月は植え付けや種まきの適期
- 蒸し暑さに強い植物
- 植物は環境の変化に敏感(台風対策)
- これからの季節に入手しやすい夏の草花
- 蒸れないよう梅雨対策
- 北めぐみさんの庭(4月下旬〜5月上旬)
- 肥料の選び方
- 北さんのオキナワンガーデンダイアリー
- イングリッシュガーデン「私の庭物語」
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1728号・2019年2月15日紙面から掲載
この連載の記事
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
これまでに書いた記事:350
編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。