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2018年4月20日更新

イングリッシュガーデン in 沖縄『私の庭物語』

高温多湿の沖縄では育ちにくいとされる海外原産の植物を栽培し、自然な雰囲気のイングリッシュガーデンを目指す北めぐみさん。今月から沖縄でも育つナチュラルガーデン向きの植物や、育て方を教えてもらう。

イングリッシュガーデンin沖縄

沖縄特有の高温多湿に苦戦。園芸書通りにやっても植物が育たず、失敗の連続でした。

北めぐみさんは浦添市でガーデニングショップを営みながら、「沖縄で憧れのイングリッシュガーデンを作りたい」と庭に愛情を注ぐ。今でこそ、その庭には海外原産の花々が咲き誇るが、ここに至るまでは「失敗の連続だった」と語る。


4月6日の庭の様子。一番手前の白い花はスーパーアリッサム、その後ろの紫色の花がチェイランサス・プルプレアです。​


浦添市でガーデニングショップを営んでいます。お店の庭でガーデニングを楽しんでいます
 

私のガーデニング歴

こんにちは。北めぐみと申します。9年前に沖縄に移住し、浦添市港川でガーデニングショップ「庭のおくりもの」を営んでいます。店の庭は、植物の自然な姿を生かした「イングリッシュガーデン」を目指して手入れをしています。長年花の仕事に携わった経験を生かし、沖縄でのガーデニングを勉強中です。

沖縄で庭づくりを始めたころは、失敗の連続でした。

日本全国、気候はさまざまですが、一般的な園芸書や植物の図鑑は東京を基準としたものがほとんどです。憧れの沖縄でしたが、他県とは全く違う亜熱帯気候に苦労しました。憧れのイングリッシュガーデン向きの海外原産の植物が、園芸書通りに育ってくれません。高温多湿の気候では育ちにくい植物が多いということを理解するのに時間がかかりました。

沖縄の年間の気温や天気、地質を調べるなど試行錯誤を繰り返し、ようやく私なりの「オキナワンイングリッシュガーデン」の記録ができてきました。これからの連載では、月ごとにどんな作業が必要か、どんな花が咲くかなどを紹介していきます。

植物や自然は奥深く、知らないことがいっぱい。まだまだ未熟な私ですが、植物が好きな方々や農家さんなどと紙面を通して交流できたらうれしいです。どうぞよろしくお願い致します。


手前は毎年咲くニーレンベルギア。その奥の昨年3月に植え付けたチェイランサス・プルプレアは3倍以上に大きくなり、今年も満開です


こぼれ種で増えたフロックスのクリームブリュレが咲き始めました
 

植物の「家」快適に

沖縄でイングリッシュガーデン風の庭をつくり始めて一番悩んだのは、実は気候よりも「土」でした。

庭土のほとんどが、水はけの悪い粘土質の赤土でした。もともと亜熱帯気候に自生する植物には良いかもしれませんが、私の憧れるヨーロッパや地中海地方を原産とする植物は、なかなか生育しませんでした。なぜならば、それらの植物は、夏は比較的涼しく雨の少ない気候を好むからです。

どうしたら、大好きな沖縄で、ヨーロッパ風の庭がつくれるかを考えました。

たどり着いたのが庭土を改良する、ということ。植物の家である土を快適にしてあげたら沖縄の長くて暑い夏を越してくれるかも!という期待を込めて土の改良に励みました。

まずは、庭に赤土を入れ、2トンの牛ふん堆肥、何十袋ものバーク堆肥、腐葉土、何万円もする微生物活性剤などを入れ、有機物の比率にも試行錯誤しました。

結果はイマイチ。たくさんの時間とお金をかけた割には、納得できるものでありませんでした。

庭は畑とは違い、定期的に有機物をすきこんで耕運機で耕すなどができません。植えっぱなしの多年草の周辺の土は雨や水やりのたびに泥になり、乾くと固く締まります。そんな土では雑草を根から抜くことができません。このころは、ガーデニングを楽しむどころか、庭仕事がストレスでした。

ならばと、庭の土をすべて入れ替えてみることにしました。


多種多様な植物を育てるために、一番大切なのは「土」なんです。
 

土壌改良で大成功!

何年もかけてつくった、赤土ベースの土を全部取り去り、新たに赤玉土と、バーク堆肥、腐葉土、牛ふん堆肥などの有機物、そして石灰、元肥などオリジナル培養土を庭全部に惜しみなく入れました(配分参考)。

たかが花に大げさな、と思う方もいるかもしれませんが…、結果は大成功! 植物は元気にイキイキと育ち、しっかりと根を張り、夏越しできる植物も増えました。私の好きな海外原産の植物でも、こぼれ種で毎年発芽するという自然のサイクルが沖縄でも実感できるようになりました。

何よりも良かったのは、雑草取りが楽になったことです。赤土と違い、オリジナル培養土は軟らかいので根っこからスッと抜けるようになりました!

気候を変えることはできませんが、土壌をすべて入れ替えることで地温を下げ、多種多様な植物を育てることができるんだと8年をかけて実感しました。

ここまで読んで「今ある土をすべて替えなきゃいけないの?」とガッカリされた方もいるかもしれません。 ですが、まずは小スペースで挑戦してみてください。庭がなければプランターでもいいと思います。どうか、「花を育てるのは楽しいけど、土にお金をかけるのはもったいない」と思わないでほしいのです。植物にとって、土はオウチです。居心地の良い場所を作ってあげれば、必ずすてきなお返しがありますよ♪


赤土ベース=右写真=では、なかなかヨーロッパなどを原産とする植物が育ちませんでした。そこで赤土ベースの土をすべて取り除き、赤玉土ベースの土(団粒構造)=上写真=にしたところ、植物は元気に育ち、沖縄の厳しい夏を越してくれるようになりました。土が軟らかくなったので、雑草も取りやすくなりました!


土壌改良前の土

【北めぐみ流の土の配合】
・庭土の場合
 赤玉土(中粒)6:腐葉土4(バーク堆肥でも良いが保水性が劣る)
 +有機肥料(牛ふんなど)+元肥
・鉢植えの土の場合
 赤玉土(小粒)6:腐葉土4



イングリッシュガーデン in 沖縄
●私の庭物語
●北さんのオキナワンガーデンダイアリー
●肥料の選び方
 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1685号・2018年4月20日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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