庭・garden
2018年5月18日更新
花苗の流通が最も多い5月。挿し木して、沖縄育ちの丈夫な株を育てよう!|イングリッシュガーデン in 沖縄
[vol.2]ガーデニングショップを営む北めぐみさんに、高温多湿の沖縄でナチュラルガーデンを楽しむこつを紹介してもらいます。今月は、挿し木のやり方と水やりのタイミングについて教えてもらいました。
花苗の流通が最も多い5月。挿し木して、沖縄育ちの丈夫な株を育てよう!
私の庭には、猫じゃらしのような「ラグラス・オバタス」がたくさん咲いています。ドライフラワーにしても楽しめます。手前の斑(ふ)入りの葉は「パイナップルミント」
蒸れないよう梅雨対策
5月の庭は花園です! 私の庭もにぎやか。植物たちは太陽の光を求め、ぐんぐんと背丈を伸ばしています(上写真)。
沖縄では、本土より一足先に初夏から夏の花が咲きそろい、庭がもっとも美しい時期を迎えます。それに伴い、そろそろ終わりとなる春から初夏の植物の抜根や種の採取、挿し木などで、花園の舞台裏は大忙しです。
前回、沖縄で挿し木に向いているのは10月下旬~4月と説明しましたが、実は5月も挿し木に挑戦してほしいです。
なぜならば5月は、日本の花苗の流通が一番多く、多様な植物が入手しやすい時期なんです。このチャンスを逃すのはもったいない! 沖縄の5月は蒸し暑くなるため、発根率は下がりますが、気に入ったお花を挿し木して「沖縄育ち」にすれば夏越しがしやすい丈夫な株になります。挿し木にオススメなのが、品種改良によりバラにも負けないほど美しい品種が増えたペチュニアやバーベナ類などです。
★5月上旬 | ★5月下旬 |
・ペチュニア ・カリブラコア ・バーベナ ・ゼラニウム ・バラ |
・ニチニチソウ ・ペンタス ・サルビア ・カラーリーフ類 ・ブッドレア ・アジサイなどの花木 |
※花苗は種苗法で守られているものも多数あり、営利目的の繁殖・販売は禁止されています。趣味の範囲で楽しみましょう。 |
また、梅雨対策も忘れずにしてくださいね。梅雨の晴れ間には、植物の剪定(せんてい)や株数を減らすなどして風通しを良くし、植物が蒸れないようにしましょう。花がら摘みもマメに行ってください。枯れた花を放っておくとカビが生えて病気の原因になります。切り花で楽しんでください。
挿し木の仕方
①まずは挿し穂の準備をします。長さは10センチ程度。先端の花は切り落とし、下葉は取ります。
②準備した挿し穂は、30分~1時間ほど水につけ、水あげします。このとき、発根促進剤を切り口に付けると成功率が上がります。
③湿らせた挿し木培養土に挿し穂を挿します。半日陰(午前中に日が当たる場所)におき、土を乾かさないようまめに水やりします。(土が湿っているときは水やりしなくて良い)。
④3週間~1カ月ほどで発根します。5月の沖縄は蒸し暑いので発根率は低いでしょう。挿し穂の半分くらいが発根すれば合格です。腐ったりカビた挿し穂は抜いてください。
⑤発根し始めたら日当たりの良い場所に移します。新芽が出始めて充実してきたら鉢に植え替えましょう。
夏場の水やりは夕方に
「毎日お水を上げているのに枯れてしまう」という相談をよく受けます。かわいいお花には毎日、水をあげたいものですが、実はお花のためには良くないことなんです。
土の中が常に水分でいっぱいだと、根は酸素が取り込めず窒息状態になってしまいます。これがいわゆる「根腐れ」という現象です。
水やりは、土が乾いたらたっぷりと与え、乾くまで与えないのが基本です。水やりのタイミングは季節によっても違いますが、表土から1~2センチ深さに指を入れて、指に土が付かないくらい乾いてから。植物の葉先が少ししおれかけてからでも遅くはありません。
水をやり過ぎないことで植物は水を求めて地中深くに根を張り、丈夫に育ちます。これが花をたくさん咲かせるこつでもあります。
そしてもう一つ、重要なのが水やりの時間。園芸の常識では「水やりは朝が一番」と言われていますが、私は、暑い時期(3月~10月)には夕方6時以降にあげるようにしています。理由は、沖縄の日差しは午前中の早い時間から強くなり、湿度も上がって植物は蒸れてしまうから。沖縄でガーデニングを始めたばかりのときは、それで何度も枯らしてしまいました。
そこで、夕方のみの水やりに切り替えたところ、今までよりも夏越しできる植物が増えました。涼しい気候を好む海外原産の植物は、亜熱帯特有のスコールや台風後の高温多湿を最も苦手とします。実は、朝の水やりはそれらと同じ状況をつくり出してしまうようです。
ガーデニングのやり方は人それぞれ。育てる植物や環境によっても違いますが、私は夕方の水やりでうまくいきました。自分の庭にあった水やりのタイミングをマスターすると、今まで以上にお花を上手に育てられるようになりますよ♪
4月下旬~5月上旬
色とりどり北さんの庭
大人気の黒いナデシコ、「ダイアンサス・ブラック&ホワイト」。種から育てれば、意外と暑さに強く何年も開花しています。真夏でも何度も開花するほど丈夫。
まりも!? まんまるがかわいい「てまりナデシコ」です。暑さに強く、ことしも開花しました。花持ちもいいです。
キャンディーピンクがキュートなガーデンサルビア「天使のシンフォニー」です。もう何年育てているか分かりません。丈夫だしかわいいし、言うことなし!
お客さまから譲り受けたすてきな「ダリア」。品種名は分かりませんが、あまりの美しさにうっとりです。ダリアは葉などがカビて白っぽくなる「うどんこ病」にかかりやすいのですが、消毒をすれば毎年きれいな花を咲かせてくれます。
手前は「チドリソウ・ブルースイング」で、奥の赤紫色の花は「ペンステモン・ブラックバード」。
ワイン色の穂がかっこいいオシャレな多年草「リシマキア・ボジョレー」。1株でこんなにも大きくなりました。西日が強くないところであれば夏越しもできます。沖縄でもこぼれ種で増えることもあります。
<そのほかにも>庭に咲いている花々や年間のガーデンイングスケジュール
きた・めぐみ/愛知県で生花店や園芸店に勤務したのち、沖縄に移住。浦添市で小さなガーデニングショップ「庭のおくりもの」を営む。
沖縄県浦添市港川2-29-5(地図)
098-878-0355
ブログ:http://niwano22.ti-da.net/
「庭のおくりもの」
営業時間:午前10時~午後6時、日・月定休。珍しい植物の苗や寄せ植え、ガーデニング雑貨、ポーランド食器を販売しています。庭の見学もどうぞ。インスタやっています!
https://www.instagram.com/niwanookurimono/?hl=ja
イングリッシュガーデン in 沖縄
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1689号・2018年5月18日紙面から掲載
この連載の記事
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
これまでに書いた記事:351
編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。