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2018年12月21日更新

多年草の植え付けに最適な12月。 夏が来る前に丈夫な根を張らせる|イングリッシュガーデン in 沖縄

[vol.8]ガーデニングシーズン本番。種まきや植え付けなど、やることいっぱい。北めぐみさんは、「この時期に種をまき、『沖縄生まれ、沖縄育ち』にすると、丈夫に育ちます」とアドバイスします。

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涼しい気候好む多年草

沖縄では、やはり熱帯植物が育てやすいのですが、イングリッシュガーデンを目指しているガーデナーが憧れるのは地中海周辺が原産の草花。すらっと伸びたしなやかな花茎に、優しい色合いの小花が風に揺れるロマンチックな雰囲気が、自分の庭でも楽しめるといいですよね。
植物図鑑を見ると、それらは比較的涼しい気候を好む「宿根草」や「多年草」と書かれています。
「宿根草」は地上部は枯れても、根は枯れずに地中で春を待っています。しかし、沖縄では地上部も枯れずに青々としているので、数年生き続ける植物を指す「多年草」という表現の方が伝わりやすいようです。
沖縄では多年草の植え付けは、10月下旬~2月がおすすめです。本格的な夏が来る前にしっかりと根を張らせておくことで夏越ししやすい丈夫な株になります。

寒さがないと開花せず

沖縄に移住してきて感じたのは、ヨーロッパ原産の多年草を咲かせる難しさ。本土基準の植物図鑑では参考にならないことも多く、悩みました。
通信販売で苗を購入したら、輸送のストレスもあり、届いてすぐ枯れてしまったり、何とか生き残った苗を植えつけても失敗続き…。こうなったら自分で種をまいて苗から育てるしかない! と種まきや植え付けのタイミング、開花の時期などを試行錯誤しました。
発見したのが、多年草は一定の寒さに当てないと咲かない品種が多いということです。
例えば、移住後ずっと育てているクリスマスローズ。枯れもせず、花も咲かせません。そして、与論島に住んでいたときは咲いたバラ科の多年草、ポテンテイラは、本島に移住してからは花をつけなくなりました。与論島の方が沖縄本島より気温が下がるのでしょう。その微妙な温度差を植物は感じ取るのです。
試行錯誤を続け、寒さに当てずともお花を楽しむことができた多年草を左記で紹介します。


沖縄でも楽しめる多年草
比較的暑さに弱いと言われる多年草ですが、私が育ててみて沖縄でも夏越し可能だったものを一部紹介します。10月下旬~6月ごろに開花予定です。水はけのよい園芸に適した庭土で育ててくださいね♪


「ルドベキア」 品種によって開花しづらいものもありますが、割と暑さに強いです。一重咲き、八重咲きどちらもおすすめです


「バーバスカム・サザンチャーム」 本来、暑さに弱いとされますが、意外にも毎年元気で、株分けもできます


「マーガレット類」 親株は若干暑さに弱いのですが、挿し木をすると丈夫になり、夏越ししやすくなります

ほかにも
「ペンステモン・スモーリー」 多くの品種が夏越し可能ですが、青花・白花系は開花しにくい
「トウテイラン」 比較的暑さに強く夏越し可能ですが、カイガラムシが付いたら駆除しましょう
「宿根フロックス」 暑さに強いとまでは言えませんが、毎年開花します
「メキシカンハット」 こぼれ種で増えた苗は毎年残っています
「ブラックレースフラワー」 こちらも、こぼれ種で増えた苗は夏越しできます
「キキョウ」 一度植えると毎年開花しますが、モモバキキョウは沖縄では開花しません
「シュウメイギク」 夏の西日をなるべく避けましょう。大株になるほど開花します
「ナデシコ類」 さまざまな品種が夏越し可能です
「チェイランサス」 アブラナ科の植物にしては暑さに強く、寒さに当てなくても開花します
「アキレギア」 多品種が夏越しできますが、大株になると蒸れやすいので株分けしましょう


下の写真は今の時期(11月中旬~12月下旬)の私の庭の多年草たちです。厳しい暑さを乗り切って、青々と葉を広げています。頑張ったね~と褒めてあげたくなります!


「アカンサスモリス」 梅雨どきに枯れたようになりますが、10月ごろ再び新芽が出ます


「エキナセア」 一重咲きの方が耐暑性がありますが、八重咲きもお花が楽しめます


「アガスターシェ」 ライム色葉や銅葉の品種は少し弱いですが、挿し木で丈夫になります


多年草を一年草として楽しんでみる

憧れの庭に近づけるコツ

こぼれ種で増やす手も

数年生き続ける「多年草」と紹介されている植物でも、国や地域によって一年ごとに種をまく必要のある「一年草」となることもあります。
例えばヨーロッパやアメリカの涼しい地域では多年草とされる植物も、日本の高温多湿では夏越しできず、一年草となることがあるのです。その逆もあります。
ですから、より高温多湿の沖縄では「多年草」でも「一年草」として楽しんだ方が良いものも少なくありません。「夏越しできないから…」と植えるのをあきらめず、毎年種まきをしたり、こぼれ種で増やせば植栽の幅が広がります。
わが家の庭でも、いろいろな多年草がこぼれ種で増えています。本来暑さに弱く、沖縄での栽培が難しいとされる植物でも、種を採取して苗を育てることで「沖縄生まれ、沖縄育ち」になり、夏越しできるものもあります。
気になる多年草があれば、花を咲かせることより種を採取する目的で苗を購入して育てるのも良いと思います。種を採取することで何年も楽しむことができますよ!

わが家の庭で一年草として楽しんでいる多年草


「レモンベルガモット」 何回植えても夏越しはできなかったのですが、花後に種をばらまいたら毎年10月ごろ、あちこちから発芽します


「テウクリウムヒルカニカム」 花が咲いた後に種を採取してすぐに庭にばらまけば毎年発芽し、エレガントな紫色の花を咲かせてくれます



種まき、進んでいますか?

前回(こちら)では、種まきの方法をご紹介しました。早春から初夏に開花する「比較的暑さに弱い植物」は、12月いっぱいには種をまき終えましょう。種から育てて沖縄生まれにすることで、沖縄の気候にも順応しやすくなります。私もさまざまな種をまいているところです。すくすくと育っている苗の一部を紹介します。


左上から時計回りに「シレネ」「ダイアンサス」「ペンステモン」「アガスターシェ」。弁当トレーにまいた種も、本葉が出そろってきました。移植までもう少し。このくらいまで育ったら水の入った下のトレーを外して、上から水をあげましょう。※トレーは二つ重ねていて、種が発芽するまでは土を乾かさないよう下のトレーに水を入れてあります




上から「イベリス」「セリンセ」「リナリア」です。移植を嫌う植物や種が大きい植物はポットに植えます。もう少しこのまま育てた後、根を崩さないようにしながら庭に移植します



★タイムス住宅新聞のホームページ
sumai.okinawatimes.co.jp)では、紙面に入りきらなかった情報を紹介中。年間のガーデニングスケジュールや、12月上旬の北さんのお庭様子などをアップしています。(こちら)

『北さんのお庭』


きた・めぐみ/愛知県で生花店や園芸店に勤務したのち、沖縄に移住。浦添市で小さなガーデニングショップ「庭のおくりもの」を営む。※お店は現在、庭のリニューアルのため休業中。来年3月から再開予定。
沖縄県浦添市港川2-29-5
098-878-0355
ブログ:http://niwano22.ti-da.net/​
https://www.instagram.com/niwanookurimono/?hl=ja​




イングリッシュガーデン in 沖縄


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1720号・2018年12月21日紙面から掲載


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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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