建築士の日
2020年6月26日更新
無塗装の木素材 変化を楽しむ|仲地正樹さん宅 [LITTAI space works]
7月1日の建築士の日にちなみ、5人の建築士の自邸を紹介する。自身で設計し、住んでいるからこそ実感している「やって良かった」「改善の余地あり」ポイントを教えてもらった。
LITTAI space works
仲地正樹さん
家はコンクリートブロック造だったが、混構造もやってみたかったため、木造で増築。広いフリースペースと子ども室、寝室がある。床はひのきの集成材、天井はシナ合板、壁は杉材やラワン合板、ペンキ塗装、珪藻土など、さまざまな素材を使用。木材は塗装などの仕上げをせず、経年変化を観察できるようにした。
使える! 片流れ屋根に通気層
増築時、仲地さん自身に木造の経験が少なかったので、屋根は片流れにして施工しやすくした。
屋根表面と天井面との間には通気層があり、低い方の庇(ひさし)から入った空気が、屋根の中を通りながら暖められ、高い方の庇から抜けていく。「断熱効果も感じられるため、今では手掛ける物件によく取り入れています」。
改善の余地あり サッシなしの窓で結露跡
東側の全面ガラスはサッシなどを設けず、柱や床に外から押さえる形で収めた。「窓がないように見え、外に広がる山々との一体感を感じられる。しかし、結露が起きた際にガラスと木材の間に水が染み込み、跡が残ってしまった=右写真。ガラスを単板ガラスではなく、2枚のガラスで空気層を挟んだペアガラスやLow-Eガラスなどにすれば防げるかもしれない」。
おすすめ! 日差し和らぐ植栽
増築時、建物を囲むように植栽を設けた。今では大きく成長し、強烈な西日や台風の風を和らげるのに役立っている。
また、山に囲まれ、湿気も多いため、床下は通常の倍以上の数と大きさの換気口を設けた。「湿気をたくさん吸ってくれる無塗装の材料の効果もあり、室内は梅雨時もジメジメしない。床下の乾燥状態を保つことで、シロアリ対策にもなっている」。
[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人、母
敷地面積:630㎡(200坪)
1階床面積:113㎡(約34坪) ※うち、増築部分は40㎡(約12坪)
躯体構造:コンクリートブロック造 ※増築部分は木造軸組み工法
築年数:約20年 ※増築部分は9年
[問い合わせ先]
LITTAI space works
0980-51-9027
http://littai.com/index.html
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1799号・2020年6月26日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 出嶋佳祐
これまでに書いた記事:224
編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。