巻頭特集・企画
2025年7月4日更新
【創刊40周年特集③】鉄筋コンクリート造、頑丈でデザイン性高い
県内で根強い人気のある鉄筋コンクリート造と、急激に需要を伸ばしている木造。それぞれの長短所を各組合に聞いた。

鉄筋コンクリート(RC)造、木造 どっちもいい!①
RC造の三大長所
①頑丈で災害に強く、定期メンテにより長持ちする
②デザイン性が高い建築が可能
③生コンの品質にバラつきが少ない

RC造は、型枠次第でこうした曲線的な造りにもできる。また、他の構造に比べて大開口も設けやすい(平田設計が手がけた平田歩さん宅)
市 街地を眺めると、鉄筋コンクリート(RC)造建築がずらりと立ち並ぶ。そうした沖縄ならではの風景は戦後、米軍がRC造の普及を促したことに始まる。その後、1972年の日本復帰や75年の沖縄国際海洋博覧会の開催などに伴う建築ラッシュで急増した。「RC造がこれだけ増えて定着したのは、台風やシロアリに強く、沖縄の地域性に合っていたからだと思われる」と、沖縄県生コンクリート工業組合理事長の運天先俊さんは話す。
耐久性の高さはRC造の最大の長所。「台風だけでなく、大雨や地震、津波など近年、激甚化する自然災害に対する備えとしてRC造は有効。ただし、定期的にメンテナンスを行うことが大切」と注意を促す。しっかりメンテナンスを行えば、「子や孫の代まで安心して住み続けることができる」と力を込める。
県内で現存する最古のRC造・大宜味村役場旧庁舎(1925年落成)は今年5月に落成100周年を迎え、今も地域のシンボルとして親しまれている。
外観・内部とも自由度高い
型枠に生コンクリートを流し込んで成形するRC造は、「型枠次第で曲面や斜面など、さまざまなデザインが可能」。また、吹き抜けや大開口などを設けやすく外観・内部空間ともに自由度が高い。
一方で、生コンが固まるまでの養生期間が必要なため工期が長い。「その分の人件費が掛かることから、建築コストが高くなりがち」。蓄熱しやすいのもRC造のデメリット。そうした短所の解決策として「建物全体をRC造にするのではなく、重要な躯体部分はRC造にして、あまり力が掛からない部分を他の構造にするなど、〝ハイブリッド混構造〟にするのも一つの手だと思う」と話す。
高品質の生コンを安定供給

那覇市内の街並み。RC建築が立ち並ぶ
コンクリートの原料はセメント、砂、砕石、水などだが「ほとんどを県内で調達できるため、輸送のエネルギーを削減できる。一方で木材は本土から移入するため、RCに比べると県経済に対する効果は薄いと思われる」と話す。
また、「コンクリートは人工物だからこそ、品質にバラつきが少ない。特に当組合員の生コン工場は、JIS規格の審査に業界独自の基準を上乗せした統一の『品質管理監査制度』に基づいているため高品質の生コンを安定供給できる」。
業界では、品質の安定だけでなく「進化」にも力を注いでいるそうだ。「長所である耐久性をさらに高めたり、デメリットである施工期間を短縮すべく、新しいコンクリートの開発・施工が進んでいる」と話した。

運天先俊さん
沖縄県生コンクリート工業組合 理事長
沖縄県生コンクリート工業組合沖縄県生コンクリート工業組合 理事長
電話=098・868・2662
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第2061号 2025年07月04日紙面から掲載