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2023年12月29日更新

[集合住宅・商業ビル 再生①]築36年のアパートを再生 |賃貸でも間取りフレキシブル|(株)屋島組

子どもが小さい間はワンルームで広々と、思春期になったり仕事でリモートワークが必要になったら個室を増やし3LDKに、子どもが独立したら夫婦それぞれ趣味が楽しめる2LDKへ―。そんな家族の成長に寄り添う、夢のような賃貸住宅をカタチにしたのが、企画設計・建築を手掛ける屋島組の「グローイングハウス(成長する住まい)」だ。


 

ビフォー
           
那覇市曙のグローイングハウス基本プランの1室。LDKと居室エリアを仕切る引き戸は全開でき、ベランダまでつながるワンルームに


「成長する住まい」

子どもが小さい間はワンルームで広々と、思春期になったり仕事でリモートワークが必要になったら個室を増やし3LDKに、子どもが独立したら夫婦それぞれ趣味が楽しめる2LDKへ―。そんな家族の成長に寄り添う、夢のような賃貸住宅をカタチにしたのが、企画設計・建築を手掛ける屋島組の「グローイングハウス(成長する住まい)」だ。

2年前、自社で所有する那覇市曙の築36年の賃貸アパートを改修。空き室だった19世帯のうち、状態の悪かった4世帯をフルリノベーションしたのが始まり。一般的な3DKの壁や天井を取り払って室内容積を広げ、LDKと約15帖の居室がつながる広い30帖のワンルームへ変更した。室内を可動式クローゼットや引き戸で仕切ることで、3LDKまでフレキシブルに変えられる造りが最大の特徴だ。

「賃貸でもライフスタイルに合わせて間取りを変えられれば、長く住んでもらえるし資産価値も上がる。でも画一的な間取りに慣れたオーナーさんはなかなか首を縦に振ってくれなくて。ならばと自社物件で実験的に取り組んだ」と屋冨祖秀清社長。

デザインは前述の①基本プランをベースに、②LDKと居室エリアの間にS字の曲線壁を設け「ゆとりや広がりを演出した」プラン、③玄関から続く楕円の土間空間を世帯中央に大胆に配した「使い方いろいろ」プランの三つ。うち一つは庭も設けた。


居室エリアを可動式クローゼットで仕切った例。壁には収納棚と、ハンガーが掛けられる長押(なげし)も
 

(上写真・下写真)居室エリアとLDKの間に楕円の土間を設けたプラン。左が室内からの眺めで、右が玄関から見た写真。土間空間は靴を履いたまま出入りできるよう室内とは床材を変え、玄関と同じ床高さに。在宅ワーク時の打ち合わせや趣味にと、使い方はアイデア次第


コスト削減 新築にも

埼玉県にも設計事務所を構え、長年行き来する屋冨祖社長。本土の売買マンションの間取りやリノベーションの傾向についても情報収集し、「売る側は2LDKや3LDKといった画一的な間取りにとらわれがちだが、購入者が改修する際は個室を取り払ってワンルームにするケースが増えている」と分析。グローイングハウスの実現を後押した。

実際、1室あたりの改修費は約400万円で家賃は2万5千円~3万円アップしたが、高い部屋から入居者が決定。借り手は30~40代の夫婦や単身者という。

曙の改修物件を見たオーナーから「グローイングハウスでアパートを建てたい」との依頼も寄せられ、昨年は那覇市首里に5階建て14世帯、今秋は西原町に全9世帯、那覇市泊に6世帯の新築が完成した。

屋冨祖社長は「天井懐を取り払うため1層分の高さを通常より約40センチ抑えることができ、型枠やコンクリートも減らせる。入居者の愛着を育み長く住み続けてもらえる新しいカタチの賃貸を提供し続けたい」と話した。

取材/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 年末年始特別号
第1982号 第1集 2023年12月29日紙面から掲載

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