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2023年12月29日更新

[集合住宅・商業ビル 再生②]介護施設を用途変更し再生 |地域変える起爆剤に|(株)ASAKA ,(株)ナノ・アソシエイツ

那覇市唯一の海水浴場・波の上ビーチの真向かいにある、複合施設「シーバーグ」。1階は海と緑を間近に感じるテラスが心地よいシーフードレストラン。2、3階はリゾート感のあるゆったりした造りのホテル。そして4階は眺望抜群のルーフトップバー。洗練された三位一体の空間は観光客を中心に人気を集める。


 

【ビフォー】食堂だった1階。厨房の位置は変えずに使用した
     
海をイメージした1階のレストラン。駐車場だったスペースを生かし、自然を感じるテラスを設けた(写真:田中亨憲)


一等地を観光に活用

那覇市唯一の海水浴場・波の上ビーチの真向かいにある、複合施設「シーバーグ」。1階は海と緑を間近に感じるテラスが心地よいシーフードレストラン。2、3階はリゾート感のあるゆったりした造りのホテル。そして4階は眺望抜群のルーフトップバー。洗練された三位一体の空間は観光客を中心に人気を集める。

元は介護施設。「目の前がビーチという観光・商業にとって最高の立地が、購入の決め手に。取得時、建物は築8年で状態も良好。将来的な展開を踏まえ、コンバージョン(用途変更)を選択した」と、不動産開発を手掛けるASAKAの高野哲朗代表は話す。他事業でも連携するナノ・アソシエイツの浅雄一代表に企画・運営を相談し、協同事業がスタートした。

近隣にクルーズ船ターミナルや波上宮など観光・歴史の重要地がある一方、県内では知られたホテル街という2面性を持つ地域。浅代表は、「全国の街づくりをさせてもらう中で、ホテル街はネガティブに捉えていなかった。一つの店が地域のイメージを変えていく可能性は、十分にある。おしゃれな店が増える起爆剤になれば」と期待する。

地域住民からは、「雰囲気が変わっていくのがうれしい」という声が挙がる。「地元愛で、スタッフとして働いてくれる地域の方もいる」。


ビフォー
        

ゆったりとした2階の客室。仕切りの無い多目的室(上)の出窓を生かし、床高を上げてくつろぐスペースを設けた(写真:田中亨憲)
 
外観。海と琉球石灰岩と緑。波上宮のグラデーションを表現(写真:田中亨憲)

広いテラスのある4階(写真:田中亨憲)
 
ビーチの門前町へ

建物のリノベーションでは、既存の造りを最大限に生かし、コストダウンを図りつつギャップが楽しい空間デザインを創出した。厨房があった1階をレストランにすることを軸に、集客動線と施設全体の運営を踏まえ、2階、3階はホテルに改修。「前はワンフロアのホールだったので、出窓を生かして四つに区切ることで、ゆったりとした客室になった」と、設計を担ったUDSの富山晃一さん。波の上の歴史や自然景観も内外装に反映させた。

解体・施工を担ったALEXの外間俊社長は、「コスト削減のため、解体時から捨てる物を選定することや、無駄を減らす合理的な配管ルートなどを提案した」と振り返る。関わる企業すべてが提案し合い、融合して完成した施設。「それが、ここの面白いところ。那覇のウオーターフロントが変わる一助になれば」と高野代表。

4階のバーはブライダルやパーティー使用の引き合いもある。浅代表は「地域や他企業との連携で盛り上がりを増していくと思う。ビーチの門前町になれば素晴らしい」と未来へ思いをはせる。

文/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 年末年始特別号
第1982号 第1集 2023年12月29日紙面から掲載

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