色彩と形状が躍動する抽象画 沖縄・北谷町で個展 メキシコ出身の画家があえて「しなかったこと」｜アートを持ち帰ろう（55）

 

心のままに作品と向き合う

画家ダビッド・スアレス・ベラスケスの個展「Intuition　－直感－」のオープニングレセプションに招待され、北谷のMB GALLERY CHATAN BY THE TERRACE HOTELSに出かけた。ホテルに到着したのはサンセットタイム。まもなくオレンジ色に染まる海を楽しむため多くの人が海岸線に集い、夏の匂いが残る日差しと時折吹くやわらかい風が秋の気配を感じさせた。

ホテルの玄関をくぐると、そこは静かな雰囲気のアートギャラリー。絵画を展示するために設置されたモノトーンの大きな柱や壁、フロントのいたるところに作品がある。旅人も足を止め作品を眺めている。前触れもなしに絵画と向き合う心地よい時間を過ごしているとジャズの生演奏が始まった。

「No Title」

メキシコ出身のダビッドさんは、18歳から画家として国際的に活動し2015年から沖縄に拠点を置いている。レセプションは国際色豊かで通訳は沖縄出身の奥さまがされていた。色彩と形状が躍動する抽象画。油やアクリルで描かれた22点の作品には、鑑賞者の直感を大切にするためにタイトルが付けられてない。スピーチでダビッドさんは「自由に個々が楽しんでインスピレーションを感じとってほしい」と述べ、ゲストと会話し穏やかな時間を過ごしていた。リラックスした空気のなかで絵を眺めたり、音楽を聴いたり、久しぶりの友人と乾杯したり。私は「直感」という言葉の余韻に浸り帰路についた。その後、レセプションの終わりにはみんな踊り始めたそうだ。心のままに人生を謳歌（おうか）する。私が作品から受けた直感は「鼓動」だったかもしれない。

       

作家近況
ダビッド・スアレス・ベラスケス個展「Intuition －直感－」
会期9月27日～11月3日（月）まで
場所　MB GALLERY CHATAN BY THE TERRACE HOTELS 入場無料。
https://www.instagram.com/david.suarez.velazquez/
 

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もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2077号・2025年10月24日紙面から掲載