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2020年5月8日更新

小屋組み生かし大空間にリノベーション|(有)トクマサ工業 La.fit

[こだわリノベ]|築約35年の4DK平屋をリノベーションしたMさん(38)宅。壁を抜き、木造小屋組み屋根の高さを生かして、理想だった開放的な2LDKの住まいにした。木や鉄など素材感のある室内のテイストは夫婦の好み。収納までの手数を減らした計画で家事動線もスムーズ。


リビングは天井板を取り払った木造小屋組みの屋根が伸びやか。細切れだった間取りは障子や壁を取り払い、広く大きく使えるようにした。照明はMさん夫婦の好みに合わせて提案してもらったという


リノベーション前
 

 改修前のお悩み 「雨漏りしない、開放的な家にしたい」

Mさん夫婦がリノベを選んだ理由

建て替えも検討したが、内装などを考えるのが好きな妻の希望もあって、リノベーションを選択。結果としてデザインにもこだわれたように思う。新築じゃないから、かしこまらずに生活できるのがいい。

小屋組み生かし大空間
Mさん宅
 全面改修/築35年余/一戸建て/CB造+木造 


リビングを東向きに見る。写真右手の白い天井の高さが元々の天井高。間仕切りがなくなり、3面の窓に囲まれて風が心地良く吹き抜ける。中央にある柱は小屋組みを支えており、補強のためリノベの際に取り換えたという。畳は使いやすさを考え、床とフラットにした

 

使いやすく好みに
築35年余り、コンクリートブロック造の上に木造小屋組みの赤瓦屋根が載った中古物件をリノベーションしたMさん宅。室内に入ってまず目につくのは、小屋組みがあらわになった伸びやかな天井だ。「うちに遊びに来る人みんな、まずこの天井に驚く」と夫人(39)はほほ笑む。天井板を剥がした際に現れた空間をそのまま生かしている。リビングは、元々狭い廊下に面した二間続きの和室だったが、壁や障子を取り払って一体にした。長男(3)と長女(1)が木の梁に取り付けられたハンモックで遊んだり、走り回ったりしていて、さながら児童館のよう。新しく取り付けたウッドデッキが庭とリビングをつなぎ、空間により開放感を与えている。リビングと壁1枚隔てて、ダイニングキッチンがある。以前は北西の追いやられた位置にあったが、「明るい場所に」との希望で、家の中央南側に移動した。「子どもたちが寝付いた後、夫婦でお酒を楽しむ場」と夫人は笑う。継ぎはぎの板模様のキッチンカウンターは「建築士と一緒に板の並びを考えた」とMさんは楽しそうに話す。収納は夫婦の身長や好みに合わせ、つり式ラックはMさんの、キッチンや背面収納は夫人の使いやすい高さやデザインにした。
 

リノベーション前

心地良く人が集う
同級生から、引っ越しを機に家を売ると紹介を受けたMさん。「僕の実家のすぐ隣という立地の良さがあって購入を決めた」。手に入れた家は各部屋が独立した4DKで、「天井も低くて圧迫感があった。開放感のある家にしたかった」。建て替えも考えて見学会などを回ったが、夫人は「この家の『ここはこうしたい』など考えるのが楽しくて、リノベを希望した」と話す。Mさんの親戚から紹介を受けた建築士に相談したところ、「リノベでも求めていることができると分かったし、何より話しやすかったので依頼した。照明や収納などいろいろと提案もしてくれた」。その一つがウオークインクローゼット、浴室を西側にまとめた造り。「家事や着替えが楽で、扉1枚閉めれば人が来ても隠せるのがいい」と夫人。自営業を営むMさんは「はじめは店舗兼住宅も考えたけど、居心地が良いから住まいとして充実させたい。親戚や友人を招くことも多いし、次はキャンプができるように庭を整えたいな」と話した。


外観。ウッドデッキは新設で、長男のエイサーの舞台やバーベキューを楽しむ場に


玄関は土間にし、棚を取り換えた程度で、写真正面のれんが調の壁は既存のまま。写真右手奥に見えるのがプライベートスペースで、扉で仕切れるようになっている


Mさん宅リノベのカギ
壁や天井板を取り払い、小屋組みを生かした開放感のあるパブリックスペースにした。扉のないウオークインクローゼットで家事動線をスムーズにした。

大きく広く勝手良く
Mさん宅のリノベーションを手掛けたのは、㈲トクマサ工業La. fitの建築士・德里政俊さんと空間デザイン担当・嘉手苅麗子さん。德里さんは「Mさん夫婦の場合、中古物件を購入してのリノベなので、残すことより使いやすさを重視していた」と話す。設計前に物件を見た時、天井の一部にはビニールハウスの膜が張られていた。雨漏りの原因は赤瓦の目地。まずは瓦と木造の軒を張り替えて屋根の防水・雨漏り対策を施した。「小まめなメンテナンスがされていて躯体には傷みがなかったので、雨漏り対策を施しても、内装など細部へのこだわりも実現できる資金的余裕も生まれたと思う」室内は、構造上問題ない障子や間仕切り壁を取り除き、「部屋数を少なくして大きく使えるようにした」。東側は最高天井高が約4㍍ある小屋組みを生かして、開放感のあるLDKを設けた。東側LDKと西側プライベートスペースを区切るのは、トイレ近くの扉1枚。家族全員の衣類が収められているウオークインクローゼットには扉がない。整理や収納などの暮らしに関する資格を多数持つ嘉手苅さんは「夫人に適した収納方法は収納するまでの手数を抑えたワンアクションタイプなので、扉を付けないことを勧めた」。家事動線を妨げるものがなく、トイレ近くの扉を閉めればプライベート部分を全て隠すことができる。


ダイニングキッチン。カウンター上の鉄製つり下げラックはMさん好みの造りでワイングラスが掛けられる。背面収納の人の目につく位置には「素材やかたちが違っても、出していてシンプルで落ち着きがあるもの、まとまり感があるものしか置かなくなった」と夫人


リノベーション前


家族全員の衣類を納めるウオークインクローゼット。掃き出し窓をふさいで壁にして、滑り出し窓を付けた。白地にグレーのリーフ模様が入った壁紙は夫人のお気に入り。出入り口に扉がついていないのは、設計に携わった空間デザイン担当からの提案。洗面脱衣所とは直線で行き来できる配置になっている。「扉があっても閉めなかったと思う。自分に合った収納方法で家事が楽」と夫人


今は来客用に使っているという寝室。グレーを基調に淡いトーンでまとめられている


夫人が「最初にイメージが固まった」というトイレは淡い青のタイルで北欧風のしつらえに

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[DATA]
家族構成 :夫婦+子ども2人
躯体構造 :補強コンクリートブロック造+木造
築年数 :約35年
1階床面積:97.12㎡(約29.37坪)
工期 :約4カ月
設計・施工:(有)トクマサ工業 La.fit
德里政俊・嘉手苅麗子
電気 :あゆむ電気工事
水道 :裕芯設備

[問い合わせ先]
(有)トクマサ工業 La.fit
098-974-0967
http://www.la-fit.net


撮影/比嘉秀明 取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1792号・2020年5月8日紙面から掲載

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スタッフ
川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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