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2023年7月7日更新

職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ

[こだわリノベ]築37年、賃貸併設住宅2階の2室をつなげ、住居兼ピアノ教室にリノベーション。「古いアパートがカフェのように。リノベが住まいの選択肢を広げてくれた」と上原夫妻。1階には妻の両親が暮らし、職住一体でにぎやかな2世帯住宅へ生まれ変わった。

職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
カフェのような雰囲気でくつろげる2階のLDK。リノベ前は続き間になった和室と寝室だった。その和室の腰窓をふさいで背面収納を設け、対面キッチンに。引き戸=写真左手=の奥にはピアノ教室がある
             
リノベーション前
職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ



 改築前のお悩み 
自宅からピアノ教室まで通勤。自宅も教室もそれぞれ賃貸料を支払っていた

職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
手前のリビングダイニングは、もともとは寝室だった部屋。隣室との壁を取り払って空間をつなげ、スタディースペースと子ども室を設けた。キッチンから一目で見渡せる
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リノベーション前
職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ


音楽と活気あふれる

妻・園美さんの実家の2階にあたるアパート2部屋をつなげてのリノベーション。階段を上って最初のドアが、園美さんが営むピアノ教室の入り口で、「教室の壁は、生徒と一緒にペンキを塗って仕上げました。楽しい思い出がたくさん詰まっています」。

教室は自宅LDKの隣で、内部で引き戸から出入りできる。夫の英明さんは「ときにはレッスン待ちの生徒とリビングで一緒にゲームをすることもある」と笑う。

自宅は、夫妻の好きなグレーを基調に、木の風合いを生かした温かみのある空間。LDKからはスタディースペース、子ども室までが見渡せる。3人の子どもは、高校生2人と小6。巣立ちを考えて個室を設けず、共同使用を決めた。

「子ども室に内窓をつけたので、キッチンに居ても様子がわかる。家族の気配を感じながら、それぞれ好きなことを楽しんでいます」
 

職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ

スタディースペース。隣の子ども室は寝るだけに機能を絞り、勉強やゲームをする場を独立させた。家族の気配を感じながら、親子それぞれ好きなことを楽しむ



納得、大満足の家

本部町の賃貸に暮らし、実家2階の1室をピアノ教室として借りていた。隣室入居者の退去をきっかけに、職住一体型住宅へのリノベを計画。リフォームとリノベの違いを踏まえ、費用を抑えつつ夫妻の思いをくんでくれる建築会社に出合い、設計を依頼した。

「それでも望む空間を造るには1千万円以上必要と納得し、予算も増額しました」と夫妻。愛犬の健康やインテリアまで細かく相談にのってもらい、「快適な家で家族と楽しく過ごせ、大満足」と英明さんは、ほほ笑んだ。



 上原夫妻がリノベを選んだのは 
1階で暮らす両親から、2階のもう一部屋の入居者が出ていくタイミングで、「住まないか?」と声が掛かったのがきっかけです。同じ町内で賃貸住まいをしていたので、自宅と仕事場の賃貸料をまとめ、経済的負担も軽減できることから、職住一体型のリノベーションを選択。私たちが2階で暮らすと、両親も安心なのではと思いました。


リノベーション前
職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
       
職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
子ども室。もとはピアノ教室として借りていた部屋で、板張りにリフォームされていた。睡眠と収納に役目を絞ったことで、コンパクトながら機能的



 上原さん宅 リノベのカギ 
「既存の玄関、水回りを生かして、2部屋を一体化。部屋配置の工夫で、家族のつながりとプライバシーに配慮」


公私の動線分け快適

アパート2室を一体化、そして職住一体型へのリノベーションを実現するにあたり、設計を手掛けた徳里政俊さんが大事にしたのは、プライバシーの確保と、既存の間取りを生かして使い勝手よくコストダウンにつなげる工夫だ。

既存の2室は2K。建物北側に通路と玄関、水回りがあり、南側に和室と洋室が並んでいた。2室を仕切る洋室の壁を取り払って一体化。階段に近い部屋の台所をピアノ教室に当て、二つの玄関を生かして、教室と自宅の出入り口を分けた。

「既存の水回りを利用して、教室部分にもトイレを設置。教室スペースだけで完結する造りにすることで、自宅への生徒の出入りを最小限に減らせるようにしました」と徳里さんは説明する。

自宅部分は、東西に細長い空間を有効活用。ピアノ教室に隣接してLDKを設け、スタディースペースから子ども室まで見通せるよう、一直線に配置した。寝室や子ども室、水回りは、自宅玄関のある西側にまとまっているため、「プライバシーをしっかり守りながら、どこに居ても家族を感じられる空間になりました」。

自宅とピアノ教室への行き来をスムーズにするため、LDKと教室の間には引き戸を設け、内部からも移動できるように。「ピアノの音が自宅に響き過ぎないよう、教室の天井に吸音板を張り、音の跳ね返りを抑えています」。細やかな配慮が、快適な職住一体の暮らしを支える。


職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
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リノベーション前
職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
       

職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
トイレは、脱衣室の一角を壁で仕切って設けた


 

職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
和室だった空間は、収納たっぷりのキッチンに

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リノベーション前
職住一体でつながり密|築37年のアパート 2室つなげ1室に|こだわリノベ
リノベ前の台所(写真手前)は、ピアノ教室に。左手の引き戸の奥にある和室が現在キッチン
       
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ピアノ教室。背後にはデスク一体型の本棚を設け、レッスンの質も向上。写真右奥は、自宅LDK



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
躯体構造:鉄筋コンクリート造
築年数:37年
2階施工面積:39.72平方メートル×2部屋=79.44平方メートル(約24坪)
工期:4カ月半
設計・施工:(株)アーキラボラフィット


[問い合わせ先]
(株)アーキラボラフィット
 電話=098・988・5128
 https://renobees.jp


撮影/比嘉秀明 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1957号・2023年7月7日紙面から掲載

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