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2025年6月13日更新

住宅のメガトレンドと資産価値|お財布とヒトにやさしい住まいのヒント③

当連載では住環境が家計や人間関係、幸福感にどのように影響するかを一級建築士の村山創さんが解説していく。今回は「マイホームの資産価値」について。「家を取得するということは、これからの暮らしをつくること。未来の流れ(メガトレンド)にも目を向けることが大切です」と話す。

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文・図表/一級建築士・村山創

当連載では住環境が家計や人間関係、幸福感にどのように影響するかを一級建築士の村山創さんが解説していく。今回は「マイホームの資産価値」について。「家を取得するということは、これからの暮らしをつくること。未来の流れ(メガトレンド)にも目を向けることが大切です」と話す。
 

住宅のメガトレンドと資産価値

社会の変化とお金

家を建てる・買うということは、「これからの暮らし」をつくることです。だからこそ、「今」だけでなく未来の流れにも目を向けることは、とても大切です。

目まぐるしく変化を続ける社会において、未来を予測するカギは「メガトレンド」の把握です。メガトレンドとは長期にわたって社会や世界に重大な影響を及ぼす構造変化や市場動向のことを指します。

例えば、今の日本では「人口の減少」「高齢化」という大きな変化が進行中です。これにより、住人が減少し続けている地域や、空き家が増加する場所が出てきています。そんな場所では、どんなに立派な家を建てても、将来売るときの価格(資産価値)は下がりやすくなります。さらに、売却価格だけでなく、家賃や固定資産税、修繕費などを合わせて考えると、「買うよりも借りた方が安かった…」ということもあるかもしれません。。
 
 日本の人口推移および生産年齢人口の推移 

経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題(2018年)」

お金のことでもう一つ大事なのが「住宅ローン」です。ローンを組むときも、未来を見据えた考え方が必要です。今の金利が低くても、これから金利が上がるかもしれません。市場のプライムレートによって金利が変動する「変動金利」を選ぶと、月々の支払いが途中で増える可能性があります。金利上昇に備えたゆとりのある返済計画を立てておくことが大切になります。

 
「これから」のために

また、今年4月から法律が変わり、すべての建物で「省エネ基準(エネルギーをムダにしない性能)」を満たすことが義務化されました。リフォームでも大きな工事をするときは、建築確認が必要になるなど、手続きが増えています。2030年には、さらに高いレベルの省エネ基準(ZE
 
 社会の変化と家の価値の関係 

「待って! 家選びの基準変わります 戸建て住宅編」(国土交通省)

こうした社会の動きやルールの変化を知らずに家を取得すると、将来的に住みづらい家を建ててしまったり、売りにくくなってしまったり、税金や修繕費がかさんだり…。それは、まるで“下りエスカレーター”に乗っているようなもの。

だからこそ、今の暮らしだけでなく、未来の動きも見ながら家を選ぶことが大切です。そうすれば、これから先も暮らしやすく価値が下がりにくい、納得できる家づくりができます。

家は「今の自分たち」だけでなく、「これからの自分たち」の大切な場所です。未来への地図を手に、前回お話ししたバケットリストというコンパスを見ながら、自分たちに合った選択をしていきましょう。
 


むらやま・はじめ
一級建築士、創環境Design代表。フラット35適合証明技術者。設計の仕事をしながら、住宅関係の講演会や一般消費者に向けて住宅づくりの情報をSNSで発信している

https://hajimemurayama.my.canva.site/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2058号・2025年06月13日紙面から掲載

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