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2024年11月8日更新

[お住まい拝見]伸び伸び遊べ目届く家|(有)ロフト建築設計事務所

[芝庭囲むL字型の住まい]Oさん宅は、芝庭をL字に囲む造り。キッチンがL字の中心にあり、室内外を走り回る子どもにも目が届く。LDKの上部には大容量のロフト収納がある。ロフトの分、下がった天井と外の庇(ひさし)がつながり、内外を一体的に見せる。

L字の長辺にリビング・ダイニング・キッチンが直線に並ぶ。庭に面する掃き出し窓は6枚引きで開放感たっぷり。その窓の上部(室内側)にロフト収納がある。外の庇と仕上げをそろえて内外の一体感を演出している


中庭やテラス 来客時にも重宝

Oさん宅
 RC造/自由設計/家族4人 

これからやんちゃ盛りを迎える2歳と0歳の子どもも、アウトドア好きのOさんも「伸び伸びと楽しく暮らせる住まい」が一番の条件だった。

ことしの夏に完成した新居は、80平方メートルの庭をL字型の建物で囲む。リビング・ダイニングは芝庭に面しており、6枚引きの掃き出し窓をフルオープンにすると抜群の開放感。庭まで一体となる仕切りのないLDKは「家族の顔が見える。それも要望の一つだった」とOさん。

広い芝庭の一角には、コンクリート土間のバーベキューテラスを作った。水栓も設けてもらい「プール遊びにも便利」と話す。友人を招いたりして、にぎやかに過ごしているそうだ。


キッチン側からリビング・ダイニングを見る。ダイニングわきにデスクスペースも設けた


玄関に面した中庭。奥の窓はリビングに面しており、LDKからもこの中庭を通して玄関の様子がうかがえる



小上がり寝室

L字の長辺部にあるLDKや玄関は広く開放的に。一方で、短辺部にある寝室や水回りなどのプライベートスペースは、コンパクトにして機能性を重視した。

洗面台はトイレの手洗いや化粧台も兼ねる。「ちょっとした作業スペースや収納もほしいとお願いした。可動式の鏡も便利で、自慢の空間」と夫人は笑う。

寝室は約20センチの小上がりにしたことで「ベッド要らず。マットレスだけで眠れる」。段差に入った間接照明が落ち着いた雰囲気をかもしながら、フットライトの役割も果たす。

「建築士さんとはフィーリングがぴったり合った。こちらの希望をイメージ通りにくみ取ってくれた」とOさん。建築士と二人三脚で細部までこだわりを反映した。



寝室はOさんの要望から、約20センチの小上がりにした。マットレスを敷いて寝ている。段差の間接照明はフットライトも兼ねる
 


キッチンは、置く予定の冷蔵庫や収納のサイズなどを建築士と相談しながら広さを決めた
 


洗面室は化粧台も兼ねるため収納や作業スペースもしっかり確保した。鏡はスライド可動する



ここがポイント
デザインに機能もプラス


建物に囲まれた芝庭。建築士の前里さんは「Oさんから芝生にしたいと言われたので、芝刈り機を置くスペースや電源なども準備した(写真右側)

Oさんが親から譲り受けた約92坪の土地での計画。「希望予算から逆算して、建物(ガレージを除く)の規模を約30坪と決めた」とロフト建築設計事務所の前里敬さん。

また、Oさんの要望には「なるべく庭を広く取りたい」「外とつながるオープンな造り」などもあったことから、「建物をL字型にして南側の庭を囲むプランを提案した。この方が庭を広く取れるし、室内外を効果的につなげることができる。また、夏場の南風も取り込める」と説明する。

LDKは天井高が3.5メートルあり開放的。だがLDの掃き出し窓は、予算やメンテナンス性を考慮して2.3メートルの既製品を使用した。天井高との差は、ロフト収納に活用。「このロフト部と外の庇(ひさし)は、高さや仕上げを同じにして内外がつながって見えるようにした」。さらに、ロフトによる高低差のギャップは、より天井を高く感じさせる効果がある。


LDK上部にはロフト収納がある。「リビング・ダイニングに物を置きたくないということだったのでLDの収納は少なめ。でもお子さんがまだ小さく、物が増える可能性があることからロフト収納を準備した」と前里さん

ロフトを設けたのは、もう一つ理由がある。「Oさんは、生活感を出したくないから物は増やさないとおっしゃっていた。そのため、リビング・ダイニングは設計段階で必要な物の置き場を決めて、収納は作らなかった。しかし、お子さんの成長に伴って捨てられない物が増える可能性がある。そこで、収納としても使えるスペースを用意しておいた」と話す。

「デザイン(見た目)というのは、人それぞれ感じ方が違う。そこに機能を付加して、満足度を上げられるような提案を心掛けている」前里さん。

その配慮は玄関そばの坪庭にも。「せっかくなのでリビング側からもこの坪庭を眺められるよう、窓を設けた」。そうすることで、坪庭がLDKと玄関とのパイプになり、家族の帰宅などを知らせてくれている。
 

風雨対策やプライバシーに配慮して玄関前=写真右側=には壁を設置。下部を浮かせて圧迫感を軽減した


[DATA]

家族構成:夫婦+子ども2人
敷地面積:306.0平方メートル(92.57坪)
1階床面積:117.36平方メートル(約35.5坪)※ガレージを抜くと約30.95坪
建ぺい率:42.75%(許容60%)
容積率:38.35%(許容200%)
用途地域:市街化調整区域
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式構造
設計:(有)ロフト建築設計事務所 前里敬
構造:(有)ライサス建築研究所 戸倉雅幸
施工:(株)知花工務店 知花勉
電気:(株)大幸電設 伊良波光雄
水道:(株)Hys企画 前城裕二

問い合わせ
(有)ロフト建築設計事務所
電話=098・858・1134


撮影/比嘉秀明 文/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2027号・2024年11月08日紙面から掲載

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