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お住まい拝見

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2024年3月8日更新

打ち放しの洗練空間|(株)NDアーキテクトン[お住まい拝見]

[「守る壁」と「動く壁」で機能的に]
築約20年の夫人の実家同様、打ち放しを希望したMさん。意匠は踏襲しつつ、庭まで壁で囲ってプライバシーと採光・通風を両立。室内は稼働式の壁で柔軟に間取りを変えられるなど、現代的に進化させている。

広々としたLDK。打ち放し壁とダークブラウンの建具、高い天井が相まって洗練された雰囲気。写真左奥には壁で囲われた坪庭があり、光を取り入れつつプライバシーは守る
広々としたLDK。打ち放し壁とダークブラウンの建具、高い天井が相まって洗練された雰囲気。写真左奥には壁で囲われた坪庭があり、光を取り入れつつプライバシーは守る


建具で間取り自在

Mさん宅
 RC造/自由設計/家族4人 

M夫人の実家は、コンクリート打ち放しだった。実家の隣地を譲り受け、新居を建てる際も「同じように、打ち放しでスタイリッシュな住まいにしたかった」と話す。

約20年前に実家を手掛けた建築士に依頼したところ、「その息子さんも建築士になっていた。2代目同士で『新世代の打ち放し住宅を作りましょう!』と意気投合した」

内外ともコンクリート打ち放しの空間に、ダークブラウンの建具や床が映える。家具や照明などの黒も効いて洗練された雰囲気だ。LDK周辺にはパントリーやファミリークローゼットなど、収納をたっぷり設けてもらい「なるべくモノを表に出さないようにしている」と夫人。

家の中央には対面式キッチンが配されており、家事をしながらも子どもたちに目が届く。キッチンの真横にはランドリールームがあり「家事動線がコンパクトなのも気に入っている」とMさん。

家族が集うリビングは広々としており、南東側のコートテラスから光と風が入ってくる。「プライバシーを確保したかったので、テラスも壁で囲ってもらった。気兼ねなく窓を開けられるし、防犯にもなっている。さらに、昨年の大きな台風でもまったく被害がなかった」と、想定以上のメリットを感じている。
 

リビングの隣には、壁で囲われたコートテラスがある。外からの視線を気にせず開け放て、光と風を取り入れられる
リビングの隣には、壁で囲われたコートテラスがある。外からの視線を気にせず開け放て、光と風を取り入れられる
 

LDKの隣にある子ども室は、稼働式の壁で3部屋に仕切ることができるLDKの隣にある子ども室は、稼働式の壁で3部屋に仕切ることができる
 

モダンな和室。普段は襖(ふすま)を戸袋にしまっているが、閉めれば客室としても使える


新世代の住まいを

東側にある子ども室は、稼働式の仕切り壁で3部屋に分割することもできる。

リビングの隣にある和室も普段は引き戸を戸袋にしまってLDKと一体化させているが、閉じれば客間としても使える。和室の外は坪庭。南東側のコートテラスと同様、壁で囲って道路側からの視線をシャットアウトしている。

外は壁で囲ってプライバシーを守り、内は柔軟に形を変えられる。Mさんは「希望通りの“新世代の住まい”です」と満足げに語った。

外観も打ち放し。しっかり壁で囲いつつも左右の細長いスリットから風を通す。玄関扉は中央凹部の左側にあり、扉を開けても外から室内が見られにくい
外観も打ち放し。しっかり壁で囲いつつも左右の細長いスリットから風を通す。玄関扉は中央凹部の左側にあり、扉を開けても外から室内が見られにくい
 

キッチンは最も天井が高く、3.6メートルある。写真中央の高窓から光が注ぎ、明るい

キッチンは最も天井が高く、3.6メートルある。写真中央の高窓から光が注ぎ、明るい
 

タイル張りで高級感のある浴室。コートテラスやトイレなどのタイルと色違いだが、まったく雰囲気が異なる

タイル張りで高級感のある浴室。コートテラスやトイレなどのタイルと色違いだが、まったく雰囲気が異なる
 

トイレに至るまで、造作家具や建具はダークブラウンの木で統一している
トイレに至るまで、造作家具や建具はダークブラウンの木で統一している
 

リビングに隣接する南東側のコートテラス。広々としていて、バーベキューなども楽しめるリビングに隣接する南東側のコートテラス。広々としていて、バーベキューなども楽しめる



ここがポイント
囲っても明るく開放的

Mさんが強く希望したのは「打ち放し」と「プライバシーの確保」。

「Mさんは“ホテルライクな打ち放し”を希望していたので、内装や造作家具の色を絞った。ダークブラウンとブラックの落ち着いた色で統一して、洗練された雰囲気になるよう配慮した」と設計を手掛けたNDアーキテクトンの大城航平さんは話す。

プライバシーの確保については、「南側にある道路からの視線は遮りつつ風と光を取り入れるため、南側に壁で囲った二つの庭を配置している」。二つの庭の上部や細長い隙間から風が入る。「そこから、北側の勝手口へ抜ける風の通り道を作った」。

また、囲っても開放感を演出するため、LDKは天井高を上げた。リビングは3メートル、キッチンは3.6メートルある(そのほかは2.4メートル)。「キッチンは家の真ん中にあり、四方に窓を設けられない。ほかより天井高を上げて高窓を作ることで、採光を確保している」と説明する。この高窓は癒やしの副産物も。M夫人は「夜は星や月が見えて、家事中も和む」と喜ぶ。

施主と建築士、2代目同士で気が合い「設計はスムーズだった」。合言葉だった「新世代の打ち放し住宅」を建てるにあたって「課題となったのはコスト。昔より建築費が高騰している中で、上質なホテルライク空間を実現するために取捨選択した。一部の壁をコンクリートでなく木の稼働式にしたり、ファミリークローゼットは通路を兼ねたりしながら、ムダを省いた」と大城さんは説明した。



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:327.65平方メートル(約99.1坪)
1階床面積:111.80平方メートル(約33.8坪)
建ぺい率:36.13%(許容70%)
容積率:34.62%(許容200%)
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式構造
用途地域:指定なし
設計:(株)NDアーキテクトン 大城航平
構造:Life tect一級建築士事務所 宮里尚志
施工:山幸企画 山内昌彦
電気:城間電設 城間盛章
水道:泉水設備(株) 糸数久
照明:パナソニック(株) 上江州昌子


問い合わせ
 (株)NDアーキテクトン
 電話=098・958・3522
 https://www.nd-arkhitekton.com/


撮影/矢嶋健吾  文/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1992号・2024年3月8日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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