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お住まい拝見

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2020年7月17日更新

西日より景色を重視|デザインネットワーク

〔お住まい拝見〕「西日を気にするよりも楽しみたい景色があった」というAさん(47)宅は、北西向きの大きな窓から夜景や海の景色を室内に取り込む。2階リビングからは自作のウッドデッキが張り出し、室内外を一体に使って家族・親族とともに楽しむ場になっている。


Aさん宅の2階LDK。大開口からは東シナ海を望む風景を室内に取り込み、風が抜ける。リビングの先に張り出すウッドデッキはDIY好きの夫婦が自作した
 

2階のLDKに人招く

Aさん宅
 RC造一部木造/自由設計/家族4人 


キッチンからデッキテラス、LDK、和室を一体に見る。足腰が弱いAさんの母のため、和室は小上がり・掘りにして、収納も設けた。「趣味の本や仕事資料以外にも荷物が多いので収納がたくさんあっていい」と夫人

柔軟で夢膨らむ家
「夕食の準備でキッチンに立った時に見える、街の外灯が広がるきれいな夜景が好き」とAさん夫婦。2階リビングにある6枚引き戸の大きな窓のおかげで、高台から街を見下ろし、その先の東シナ海までを室内から楽しめる。窓は北西に向いているが、「西日を気にするよりも、この景色を楽しみたかった」と2人ともうれしそうに話す。

大きな窓の先に張り出す奥行き2・7メートルのデッキテラスは、DIY暦8年の夫婦自ら木を張ってウッドデッキに。家族でバーベキューをしたり、よく親戚が集まって宴会をしたりと、アウトドアリビングとして使っている。「離島で暮らす母が泊まりがけで来ることもある」とAさん。人数が多い宴会の場は、リビングからデッキまで広がり、畳間はゲストルームのようになるという。「みんな、直接ウッドデッキにつながる外階段を通ってくるから、荷物が多い1階の寝室を見られることがなくて助かる」と夫人(44)は笑う。


デッキテラス。テーブルベンチも夫婦作。来客はここからリビングに上がる。デッキと同じ分だけ軒を深くして、日差しが入り込み過ぎないようにしている

DIYでアレンジする
元々、同じ敷地に立っていた外人住宅に住んでいて、「古かったから自分たちでDIYで好きに改造して住んでいた。平屋だったから、屋上に上らないと景色は楽しめなかった」とAさん。建て替えにあたり、建築士が集まるイベントなどを見て回って、「室内は木を多用していて、見た目がかっこよくて気に入った」建築士に依頼した。

建築士は、鉄筋コンクリートの箱の中に木造の家が入ったような造りを提案。壁でも床でも木の部分なら自在に変えられるようになっている。「これから子どもたちも大きくなるし、将来、夫の親と同居する可能性も。ライフステージに合わせて柔軟に増改築しやすいのもいい」と夫人。

家づくりで一番悩んだのはキッチン。夫婦どちらも料理好きといい、広い調理台があるアイランドキッチンを望んだが、「予算的に厳しかった」。そこでキッチンカウンターをDIYして広さを確保するなど、好みに合わせてアレンジを加えている。夫人は「5年後、10年後はもっと楽しい家になっていると思う。子どもたちが独立したら小さなセミナーが開ける貸しスペースみたいに使えたらいいな」と、声を弾ませた。


キッチン。調理台手前のウッドカウンターは夫婦がDIY。キッチン背面に張ったタイルなどの配色は夫人好みに。収納スペースになっている上のロフトは、「まだ小さい子どもたちが、いつ上れるのかとワクワクしている。将来は子ども部屋にするかも」とAさん

ここがポイント
景色・風取り込み外に開いた生活

設計を手掛けた(株)デザインネットワークの島田潤さんは、「夫婦からは、景色が楽しめ、光や風といった自然を感じて、アクティブに暮らしたいという要望があった」と話す。敷地は傾斜地で北西に視界が開けている。そこでリビングを2階に上げて大開口を取り、景色を生活の中に取り入れた。「北西の西日がきついのはほんの数時間」だというが、強い西日が長時間あたる真西側は、断熱を施した鉄筋コンクリート(RC)の外壁で一面を覆い、水回りなどを配して、熱がLDKに伝わりにくいようにした。


外観。オープンな見た目で「『カフェですか?』と尋ねてくる人もいて、『違いますよー』と言いながらお茶をだすこともある」と笑う夫人。家族以外は外階段からデッキや室内にあがる。庭いじりも趣味で、子どもたちが植えたヒマワリが大きく育っていた

大きなデッキテラスは「沖縄古民家のナー(前庭)のようなもの。室内と外を曖昧(あいまい)につなぎ、外に向かって生活が広がるようにした」。人が集まっても動きやすい十分な奥行きを取ったほか、室内の天井や床面との段差をなくして一体的に見せることで、内から外に延びるような空間になっている。

構造は、家の内側半分を木造にし、RC造の外壁で囲ったつくり。「比較的間取りが変えやすい木造でライフステージの変化に合わせる一方、デッキテラスの支えや台風対策など、耐力上必要な部分だけをRC造にした合理的なつくり」だという。

崖になっていて湿気がたまりやすい敷地南側は、光と風が入るよう庭で余白を取った。島田さんは「庭から入った風は大開口の北西に向かって室内を抜ける。沈む日の光、開放的な眺めも取り込み、自然の心地よさを五感で感じられる家になっている」と話した。


家族全員が寝る1階寝室。木造になっていて、天井は2階子ども室の床があらわになっている。奥は夫婦の書斎とウオークインクローゼット


上下階をつなぐ室内階段。下の収納は物が出し入れしやすいよう奥行き約45センチに。踏み板の浮いた部分は格子でつって支える。構造的役割と、目隠しのデザインを兼ねる

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[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:274.96㎡(約83.17坪)
1階床面積:78.51㎡(約23.79坪)
2階床面積:95.65㎡(約28.93坪)
建ぺい率:39.21%(許容70%)
容積率:50.67%(許容160%)
用途地域:第一種中高層住居専用地域躯体
構造:鉄筋コンクリート造一部木造
設計:(株)デザインネットワーク 島田潤
構造:(有)建築構造研究所
施工:(株)ナイソ
電気:克電気工事(株)
水道:(有)海西工業

〔問い合わせ先〕 
 デザインネットワーク
 ☎ 098-858-2008
 http://www.dn-okinawa.com


撮影/矢嶋健吾 取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1802号・2020年7月17日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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