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2024年3月8日更新

安心得られる最小単位のコミュニティ|向こう三軒両隣と助け合い|コミュニティアパートができるまで⑫

文・写真/守谷光弘(「コミュニティ・アパート 山城のあまはじや」オーナー)

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「コミュニティ・アパート山城のあまはじや」に暮らす3世帯と共に。右から4人目が守谷さん。ちなみにあまはじやは今年、伝統的な沖縄の建築手法を取り入れつつ自然エネルギーを活用した持続可能な木造建築として「第18回木の建築賞」を受賞した「コミュニティ・アパート山城のあまはじや」に暮らす3世帯と共に。右から4人目が守谷さん。ちなみにあまはじやは今年、伝統的な沖縄の建築手法を取り入れつつ自然エネルギーを活用した持続可能な木造建築として「第18回木の建築賞」を受賞した

安心得られる最小単位のコミュニティ
向こう三軒両隣と助け合い


あまはじやでコミュニティを形成する上で、私が自世帯を含めて4世帯にしたのには理由があります。

全体を3世帯とした時に、助けを必要とする世帯が一つの場合、残りの2世帯のどちらかが担わなければなりません。常に確率2分の1だと少し荷が重いのかなと考えると同時に、それを引き受けることになる2世帯が常に1対1で対(たい)峙(じ)してしまうのは、あまり良くない気がしました。それが4世帯になれば確率が3分の1になりますから、そのくらいであれば担えそうな気がしたのと、1対1の対峙を避けられると考えたわけです。また同時に2世帯が助けを必要とした場合には、3世帯だと1世帯のニーズに応えられなくなりますが、4世帯なら他の2世帯でカバーできるかもしれません。

コミュニティで何かを相談して決めるケースでは、偶数だと1度は同数になる可能性もあり、十分な話し合いをへて、より平和的な解決ができそうな直感もありました。実家の敷地を分譲した東京でも、現在暮らすあまはじやでも4世帯のコミュニティを実現してみて思うのは、私の根拠のないイメージがそれほど外れていなかったという実感です。


近くに信頼できる人

地震、豪雨、噴火、台風…と自然災害がとても多いこの国では、常にどこかで被災者が避難生活を送っていると言っても過言ではないでしょう。そのような被災地では犯罪が増えるのも常であり、今年1月1日に起きた能登半島地震の被災地でも、避難中の家屋への空き巣などが発生していて、疲弊している被災者をさらに傷つける、不届き者が居ることが明らかになっています。そのような事実を知る機会にも、私はコミュニティの在り方を見直す必要を感じています。

今回の被災地でも避難所には行かないで、慣れ親しんだご近所同士で自ら集える場所を作る被災者が居るように、安全よりもむしろ安心を選択するのは、心情的に当然のことだと思うのです。家を建てる土地を十分に吟味することや、自然災害に強い家を建てることももちろん重要ですが、何よりも安心なのは近くに信頼できる人が居て、お互いに寄り添い助け合える関係性があることなのです。


自助の次は「近助」

防災を考える時に最近言われているのが「近助(=ご近所)」という言葉で、自助(家族)の次にこれが当てはまり、その次に共助(自治会他)、公助(自治体、警察、消防、自衛隊他)があるとされています。発災時には地域のすべての住民が被災者になっているので、共助や公助が機能するまでの間、自助や近助でなんとかしのごうとするものです。つまりは向こう三軒両隣との助け合いが大事であるということです。この向こう三軒両隣の存在こそが最小単位のコミュニティだと考えているのです。

昨年4月から書かせて頂いたこのコラムも、今回が最終回となりました。果たして12回も書けるだろうかと思いながら書き始めましたら、意外にも伝えたいことが多くあってすぐに所定の字数を超えてしまい、毎回編集者の手を煩わせてしまいました。起承転結もままならない情報の羅列になり、つたない文章で失礼しました。=おわり

 


もりたに・みつひろ
1966年東京都世田谷区出身。2007年より沖縄県在住。「コミュニティ・アパート 山城のあまはじや」オーナー 兼 管理人 兼 住人。糸満 海人工房・資料館を運営するNPO法人ハマスーキ理事。2020年、小規模土地分譲『等々力街区計画』の街区デザインでグッドデザイン賞受賞    


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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1992号・2024年3月8日紙面から掲載

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