巻頭特集・企画
2025年11月14日更新
【特集】沖縄の鉄筋コンクリート造③ 職人と丁寧に造り込み|松島デザイン事務所
丈夫で表現方法に富み、職人の技と知恵が息づく沖縄の鉄筋コンクリート(RC)造。近年は、デザインはもとより、建築コストや環境負荷にも配慮した住まいやまちづくりの提案が広がっている。今号ではそんな創意工夫あふれる5社をクローズアップ。ローコストやZEH、建て売り、自由設計、プレキャストまで選択肢は多彩だ。
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コートハウスの事例。住宅密集地でも屋外空間を確保でき、LDKと隣接させることで開放的だ
用・強・美が整う空間設計
幾 何学図形を基調に、松島デザイン事務所は依頼者の要望と敷地が持つ力をかたどる建築を提案している。設計から施工まで一貫して各プロジェクトに携わり、住み手が意識しづらい細部まで提案し、自社職人らとともに造り込んでいく。
建築模型の作成風景。2次元の図面ではイメージしづらい空間を、3次元の模型で効果的に伝えられるよう細部まで作る
同事務所の設計で肝となるのが「寸法・図形の均整」だ。施主家族の身体サイズや趣味などで使う道具の寸法、敷地の大きさなどから、「単位となる寸法・図形を導き出し、それを基に各部屋の広さを取っていきます」と松島さん。例えば、3.2メートル四方の正方形を核に、リビングは6.4メートル四方(2倍)、水回りは1.8メートル四方(0.5倍)の広さのように間取りを構成していく。「基本の幾何学図形が連続することで、韻を踏むような心地よい空間につながると考えています」。また、無駄を極限までそぎ落としたことで、「シンプルな施工で費用圧縮につなげています」。
その分、「鉄筋はダブル配筋とし、コンクリートは基礎を含む建物全体にスランプ値8(水気が少ないコンクリート)を標準仕様にしています」。建材価格が高騰している中でも予算配分を考え、「住宅が頑丈な造りになるように計画を練ります」。

コンクリートを流し込む型枠は工事の要。同事務所のチームで型枠工事は粘り強く行っている

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施主望む建築像を
チーム一丸で形に
設計だけでは絵に描いた餅。練り込んだ設計を具現化するのに欠かせないのが、自社職人と信頼を置く外部職人の存在だ。

造作家具は細かい寸法を測りながら、職人が製作
仕上がりを左右する型枠は自社の型枠職人が表面・側面の汚れを隅々まで落とし、凹凸の少ないコンクリートの構造体となるように仕上げる。型枠を外した後には、「滑らかな表面になるよう、コンクリートをやすりや雑巾で磨き上げています」。

何より施主に後悔させないよう、「初めの打ち合わせから私が要望をヒアリングします。そのため、営業担当はいません」と松島さん。施主が希望する建築像を松島さんが基点となり、事務所メンバーと各職人で構成するチームに共有している。「各工事の質と建物全体の仕上がりをしっかり担保。同じチームで設計から施工、引き渡し後のメンテナンスまで責任を持って行っています」と力を込めた。
〈問い合わせ〉
松島デザイン事務所
住所=中城村字南上原817
電話=098・961・2182
↓画像をクリックすると、松島デザイン事務所のホームページに移動します

毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2080号・2025年11月14日紙面から掲載
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