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2019年2月15日更新

親は上質 子はカフェ風|(有)エバデザイン

[お住まい拝見・築25年の実家2世帯にリノベ]築25年の実家を2世帯住宅に全面改築したOさん(58)、Tさん(31)親子。親世帯はタイル張りで上質、子世帯はれんがタイルでカフェ風に。どちらもコンパクトながら開放的だ。

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2階親世帯、Oさん宅のLDK。寄棟屋根の形状を生かした三角の天井が印象的。内装は白で統一、タイル張りの床が光を反射し、明るく上質な空間に。
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リノベーション前
以前は吹き抜けだった部分に床を張り、完全分離の2世帯住宅に


孫がパジャマで行き来

Oさん宅(親世帯・2階)・Tさん宅(子世帯・1階)
築25年/RC造/夫婦、娘夫婦・子ども2人

リノベーション前のOさん宅は1階に家族が集まるLDK、2階に個室があり、南の吹き抜けが両階をつないでいた。「子どもたちが自立してから、2階が死んだ状態だった」とO夫人(58)は振り返る。そこで、外階段を新たに設け、吹き抜けに床を張り、上下階で住戸を完全に分けた。

「夫は車いじり、DIY好き」と話す娘のT夫人(32)。娘婿のTさんが気兼ねなくガレージが使えるようにと、あえて親世帯が2階、子世帯が1階で暮らす。両階とも南北で公私を分け、LDKと隣接する居室が一体で使える間取りはほぼ同じものの、室内の雰囲気が全く違うことに驚く。

2階の親世帯では、屋根の形に沿うように三角に作られた天井が目を引く。天井高最高3.3メートルと伸びやかで、光沢のある白タイルの床も相まって、O夫妻好みのホテルのような上質な空間に。「白は清潔感があるし、家具など置くものが主役になる」とOさん。「住み始めて気付いたんだけど、床がタイルだからか音の鳴りがいい」とも。取材中はクラシック音楽が流れ、音響にこだわるOさんは満足げな笑顔を見せた。


むき出しの梁やれんがタイルなど、素材感を生かしたカジュアルな雰囲気の1階子世帯のLDK(下写真)。高級感ある2階親世帯のLDK(上写真)とは雰囲気がガラリと変わる


車庫側から1階子世帯のLDKを見る。天井板を取り払い、以前よりも伸びやかに。奥に見える子ども室の引き戸は戸袋に収納
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リノベーション前(1階LDK)

子世帯から相談受け
一方で、1階の子世帯はカジュアルに。れんがタイルの壁や梁(はり)が見える現(あらわ)し天井、Tさん夫婦が選んだカウンターの照明が、個性的なカフェ風の空間を演出する。Tさんたっての要望だった掘りごたつは「人数が増えても平気。天板の片面は床と同じ素材で作ってもらった。未完成だけど脚はDIYで、たためば床と一体になる」と楽し気。ダイニングテーブルは置かず、朝食はカウンター、夕食は掘りごたつとシーンを切り替える。

以前は実家近くのアパートに住んでいたTさん家族。「新築するつもりだったけど、土地が見つからなくて」。共働きで、親であるO夫妻にしか頼れなかったため、「それならいっそ2世帯住宅にできないか」と相談したのが改築のきっかけだった。Oさんが探して気に入った建築事務所に依頼し、両世帯のこだわりを相談しながら進めたという。「子どもたちが両世帯をパジャマで行き来できる安心感が何より」と家族みんなが笑った。


1階子世帯のLDKを子ども室側から見る。「共働きだからキッチンが散らかりがち」とT夫人。写真左のキッチンとカウンターとの境を高めにして手元が隠れるようにした。左奥のドアはキッチンからガレージにつながる


2階親世帯の玄関。照明は天井や壁に反射させて軟らかに。鏡を付けたことで広がりを感じる空間に

ここがポイント
メリハリ間取り LDKにゆとり
Oさん宅は築25年たつが「鉄筋の量が一般的な住宅に比べて多く、コンクリートの状態も良かった」と建築士の糸洲芳彦さん。そこで躯体は生かし、全面改築することに。とはいえ、上下階とも25坪ほどしかなかったことから、いかに狭さを感じさせることなく、各世帯の好みを反映するかが課題となった。

まず、上下階とも水回りや寝室は必要最小限とし、目の前が開けた南側にLDKを配置。1階は子ども室、2階は和室を隣接させて普段はLDKと一体的に使えるようにすることで、明るく広がりがあり、使い勝手もいい空間となっている。特に親世帯は「ゆったり暮らしたい」との希望もあったため、東側のベランダ部分に一部増築、天井も取り払い、ゆとりを持たせた。

世帯で違う好みは内装に反映。1階はれんがタイルやカウンターでカジュアルに。2階は白を基調に床には大判のタイルを敷き詰めることで、高い天井と相まって高級感を醸し出している。「特に子世帯は趣味のオーディオ機器類の収納をDIYしたいとの要望から、一つ一つの機器類の寸法を計測し、収まりを予測。南、東の窓、カウンターの収納まで含めて細かく調整した」

また外階段は、将来、親世帯が車いすになった際も踏まえ、昇降機が取り付けられる幅を確保した。



2階親世帯の和室は「孫や海外に住む娘家族が来た時の寝室に」とO夫妻が要望。防カビ・色落ちしにくい和紙畳を使用


新設の外階段では取材中も孫たちが行き来していた。写真右下に見えるガレージの扉はTさんお手製


1階子ども室は折り戸で仕切れ、机と棚は造り付けに。今はLDKと一体に使っている


1階子世帯のトイレは水タンクを棚で隠してすっきりと。便器下の照明は「夜中でもまぶしくない」とTさん夫婦

[DATA]
家 族 構 成:夫婦・子ども2人、親夫婦
1階床面積:82.64平方メートル(約25坪)
2階床面積:89.25平方メートル(約27坪)
躯 体 構 造:鉄筋コンクリート造
築 年 数:築25年
工   期:約8カ月
設         計:(有)エバデザイン 糸洲芳彦
施     工:(有)エバデザイン
電   気:嶺井電気商会
水   道:山川設備工業


[問い合わせ先]
(有)エバデザイン
098-878-5008
http://www.evah-d.com


撮影/ララフィルム・泉公 編集/川本莉菜子・徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1728号・2019年2月15日紙面から掲載

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