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2024年2月16日更新

【人物紹介】機能つなぐ「間」をデザイン|美音Space Design株式会社 代表取締役の比嘉伝英さん[ひと]

住宅から大型商業施設、医療・介護施設に公共建築までを手がける美音Space Designの比嘉伝英さん(61)。大切にしている「『間』のデザイン」が特徴的な「道の駅おおぎみ やんばるの森ビジターセンター」は昨年、沖縄建築賞で入選。名護市のまちづくりや空き家対策など、地元への関わりも積極的だ。

住宅・ホテル・公共施設・まちづくりも


美音Space Design 株式会社
代表取締役
比嘉 伝英さん


〈プロフィル〉ひが・でんえい/一級建築士。1962年、名護市生まれ。九州産業大学工学部建築学科卒業。88年から(株)国建に所属し2000年に名護市で独立。06年法人化、07年に社名を変更し現在に至る。手掛けた物件は住宅、ホテル、保育園、福祉施設、公共建築など多数。「現名護市庁舎のこれからを考える会」「全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部」会員。趣味はギターとバンド演奏。

◆美音SpaceDesign株式会社 名護市城1-7-11 302  電話=0980・54・4500



-第9回沖縄建築賞では「道の駅おおぎみ-」が入選した

施設オーナーや施工関係者の努力があってこそ。昨年末にはみなさんへの報告を兼ねてセレモニーも行い、喜んでいただきました。

世界遺産に登録されたやんばるの森の入り口にあたるのがこの施設。大宜味村のシンボルの一つ、コノハチョウが羽を広げた輪郭に四つの棟を造り、特産物販売、観光情報発信、交流、24時間使えるトイレなどの機能を分散。それらを幕屋根の広場でつないでいるのが特徴です。竣工直後にコロナ禍に見舞われましたが、心地良い風や空気を味わいながら人・モノ・自然と触れ合えるオープンな造りが奏功し、当初から県内外の利用者が訪れ、うれしい限りです。


-仕事で大切にしているのは?

「間(ま)」です。住宅で例えるならLDK、水回り、玄関といった具合に空間それぞれに明快な機能がありますが、どれも単独で存在するわけではない。空間同士はもちろん、窓から見える景色や隣家、地域まで含めたさまざまな要素が生かされ、つながってはじめて家が成り立ちます。これら機能や要素をつなぐ「間」が、建物の味となりダシとなる。人間関係で言うなら距離感。道の駅おおぎみ-なら、幕屋根の広場がそれです。

社名に込めたのも同じ思い。あらゆる空間=機能・要素をつなげ、バランス良くまとめることでメロディーや和音ができ、人の心を打つ曲というカタチになる。そんな美しいカタチとしての建築を実現するのが私たちの役割だと考えています。


-名護市で独立し24年。今後の目標は?

夫婦で働きながら家を建て、2人の子を育てるなら、両親もいる自然豊かな地元でと考えたのが独立につながりました。当初は住宅が主でしたが、前職で多くの公共施設に携わった経験から、現在も共同で仕事をさせていただく機会は多いですね。

今関わっているのは名護市庁舎など街の記憶を紡ぐ施設の保存活用。空き家対策なども重要な課題です。そこで昨年から関係団体や地元の有志らが設立した「現名護市庁舎のこれからを考える会」や「全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部」に参加。活動を始めています。

北部地域が誇る大切な資産を生かしつつ課題解決につなげ、ビジネスとしても成り立つ仕組み作りに、微力ながら貢献できれば幸いです。

「道の駅おおぎみ やんばるの森ビジターセンター」。機能で分けた4棟をつなぐのが、白く見える屋根付き広場。「外のパーゴラには蝶の食草を植え、蝶が戯れる空間になれば」と比嘉さん(美音Space Design 株式会社 提供)




受賞報告のセレモニーも
オーナーや施工業者に賞状入選の賞状を手にする同施設のオーナーや施工関係者。左から2人目が比嘉さん(美音Space Design 株式会社 提供)


第9回沖縄建築賞での入選受賞報告を兼ね、昨年11月、道の駅おおぎみ-でセレモニーを開催。表彰式に参加できなかった施設オーナーの大宜味村や施工した(株)山口建設、(有)平良設備工業、(有)一円産業らに、賞状を手渡した=上写真。受賞者を代表し、友寄景善大宜味村長は「世界遺産に登録された森を有する大宜味、東、国頭3村を訪れる方々を出迎える、西海岸側のゲート空間がこの施設。地域の物産や、世界遺産のやんばるの森も映像ドームで紹介されているので、受賞を機に多くの皆さんに知ってもらい、利用していただきたい」とあいさつした。


取材/徳正美
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第1989号・2024年2月16日紙面から掲載

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徳正美

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