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2023年12月15日更新

【人物紹介】感謝と不屈の心でまい進|株式会社 大貴 代表取締役の棚原忠司さん[ひと]

25歳の時、とび職で独立。32歳で法人化し、今では土地探しや融資計画、設計・施工まで、不動産・建築を総合的に手がける(株)大貴。代表取締役の棚原忠司さん(41)は「ありがとうの言葉で苦労は吹き飛ぶ」と笑顔を見せる。

とび職から不動産・建築会社代表へ


株式会社 大貴
代表取締役 棚原忠司さん


〈プロフィル〉たなはら・あつし/1982年、うるま市(旧具志川市)出身。中学を卒業後、15歳でとび職の道へ。仕事をしながら県立泊高校を卒業し、2007年、25歳のとき「鳶(とび)職棚組」で独立。15年、法人化し(株)大貴へと社名変更。建築一式を取り扱う。プライベートでは18歳で結婚。5人の子どもと3人の孫がいる。趣味はバイクとマリンレジャー。

◆(株)大貴 うるま市字豊原753-1 電話098・911・7588



-とび職人になった経緯は?

高校進学に意味が見いだせず、15歳で憧れのとび職人になりました。とび職は常に安全を確認しながら、仲間と息を合わせなければいけない。普段からのコミュニケーションが大事で、想像より厳しい仕事でした。

18歳の時、正社員で働きたいと、嘉手納町にある建設会社・山幸組に飛び込みで訪れました。親方の山口榮秀さんに「若いのにやる気がある」と雇ってもらい、以来、仕事だけでなく、人としてもいろいろなことを教えてもらいました。親方を本当の父親のように思っています。


-独立を目指したのはなぜ?

家庭を持ち、仕事も忙しく充実していましたが、成人式で同級生と会った時に、高校に進学していない自分がむなしく、勉強への意識が変わったんです。

そこで、すぐに泊高校へ入学願書を提出。仕事との両立は大変でしたが、勉強も好きになり、16歳から70代までのクラスメートと話をする中でいろいろな人生を目の当たりにして、挑戦することの大切さを知りました。学校を卒業したら、次は自分で事業をやってみたい、独立したいと思うようになったんです。

ずっと考え、悩み、親方にその思いと覚悟を伝えた時、すでに気付いていた親方は、お得意さまへの紹介や、過分な祝儀などで応援してくれました。親方の背中にたくさん学びました。その後、法人化して建築一式を扱い、社員も増えると、親方も喜んでくれました。


-事業内容を変えた理由は?

独立後、僕の売るものが「足場」だけなのがもどかしく、今後を考えて建築一式をやることにしました。当時はコロナ禍で、周りから心配もされましたが「やると決めたら諦めない」のが僕の信条。うるま市で分譲住宅の販売を成功させました。

とび職とは違い、お客さまの家族構成やさまざまな事情を考慮し提案するのは難しいですが、要望や意見を聞きながら、夢を形にしていく喜びは格別です。最後にお客さまからありがとうの言葉をいただくと全ての苦労も一瞬で吹き飛びます。


-今後の目標は?

家づくりだけでなく、地域貢献もしていきたい。協力雇用主として刑務所や少年院の出所者の受け入れや、保護司の活動などをする中で、幼少期の環境や地域社会との関わりの重要性を感じています。そのため、老人福祉施設や児童支援など福祉事業を運営し、子育てが終わった世代や地域の人が手伝いに来てくれるようなコミュニティーを作っていきたいです。

大貴社員の集合写真。前列右から6人目が棚原代表
大貴社員の集合写真。前列右から6人目が棚原代表




省エネ建築で五つ星評価
RC住宅でZEHを取得

ZEH住宅の建築現場

ZEH住宅の建築現場
 

(株)大貴は、手掛ける新築住宅のZEH(ゼッチ)率を100%にしようと力を注いでいる。

ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。住宅の高断熱化と高効率設備で省エネに努めつつ、太陽光発電でエネルギーをつくるなど、1年間で消費するエネルギー量を実質的にゼロ以下とすることを目指す家を指す。経済産業省はZEH普及に向けた取り組みを強化しており、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS(ベルス)」の評価認定による「ZEHマーク」の付与を行っている。

2023年、同社は鉄筋コンクリート造の住宅でBELS最上位ランクの五つ星評価を受け、ZEH認定を取得。現在、建築が進んでいる=写真。

棚原代表は「ZEH住宅は補助金や低金利住宅ローンなどで有利にマイホーム建築ができる。光熱費も抑えられるので、トータルで考えるとメリットは大きい」と力を込める。


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第1980号・2023年12月15日紙面から掲載

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