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2024年12月27日更新
[コスパ、タイパ良く 建てる 暮らす]コンクリート住宅でも省エネ&コスト減|松田まりこ
建築費やエネルギーの高騰に加え、来年4月から新築住宅も省エネ基準適合が義務化。「高性能な設備・建材が必要となると経済的負担が心配」と考える人も多いのでは? 今号では省エネ基準に適合しつつ建築費を抑える住まいづくりの考え方から、初期コスト・ランニングコストの圧縮や家事の負担を減らすのに役立つ各社の商品を紹介する。
コンクリート住宅でも省エネ&コスト減
「沖縄の気候風土に合った省エネ住宅を、設備だけに頼らず建てることは可能」と建築士の松田まり子さん。4月から施行される「改正建築物省エネ法」の内容を踏まえ、快適性・コストパフォーマンスに優れた沖縄らしい省エネ住宅を建てる工夫について、聞いた。
カギは日射遮へいと自然エネ活用
建物自体に熱を伝えない
同法によって推進されている省エネ住宅は、室内外を隔てる「高断熱・高気密型」。外皮(外気に接する屋根や外壁、窓など)を高断熱・高気密化することで室内外の熱の出入りを少なくし、暖冷房エネルギーなどの消費量を抑えるものだ。
しかし沖縄の気候風土は夏の強い日差しや年間を通して高い温湿度など、他府県とは大きく異なる。そのため、遮熱の考えを基にした「緩衝領域型」の家造りが行われてきた。松田さんは「沖縄では日射熱などを遮へいすることで外皮に伝わらないようにしながら、光や風の自然エネルギーを最大限利用する。これにより、沖縄に多いコンクリート住宅でも気候風土に合った省エネ住宅をコストを抑えて建てることができます」と説明する。
表1
すだれやオーニングの方が断熱改修や高性能なガラスを取り付けるよりも、低コストで日射熱を伝えないことが分かる(表は松田まり子さん作成、写真はブリッツスタジオ・石井紀久さん撮影)
テラスに花ブロック壁を設置することでLDKに伝わる熱を抑えながら、必要な自然光・風を取り込む。またテラスまでの奥行きを生かし、開放感を演出。天井高さを抑えたことでコスト削減にもつなげた(写真はブリッツスタジオ・石井紀久さん撮影)
緩衝空間で奥行きも演出
日射熱を遮る手段は実に多様だ。「花ブロック」、通気層で遮熱する「屋根通気ブロック」など施工が必要なものから、「すだれやオーニングの設置」と手軽にできるものまである。「日射熱を遮る効果はすだれやオーニングの方が、遮熱性の高いガラスよりもコスパが良くなることがある=表1参照。実際、那覇市で手がけた改修工事では窓の外にオーニングを取り付けたことで、全部の窓ガラスを高性能なガラスに取り換える施工費150万円ほどが削減できました」。
屋根通気ブロックのイメージ図。直射日光が長時間当たり、熱を蓄えやすい屋根の遮熱に有効
住宅を上から見た写真。屋上の太陽光パネルは、発電しながらブロックと同様の効果が期待できる(写真はブリッツスタジオ・石井紀久さん撮影)
また別の事例では「自然光や風とともに快適に暮らす」施主のイメージから、内外が緩やかにつながる省エネ住宅を計画=左上写真。リビングに花ブロックなどで囲んだテラス(緩衝空間)を隣接させたことで、採光と通風を確保した。これにより、「日中の照明と冷房などのエネルギー量を減らし、内外がつながる奥行きのある空間になっています」。外壁は日射熱を反射する白い塗料で仕上げた。
松田さんは「省エネ住宅だから高性能な設備・建材、特別な技術が必要というわけではない」と話した。
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第2034号・2024年12月27日紙面から掲載