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2024年3月8日更新
真っ赤な花咲かせる木|ホウオウボク・デイゴ|身近で見られる帰化植物(12)
文・写真/比嘉正一
海外から入ってきて、今では県内で普通に見られる帰化植物を解説。今回はマメ科の「ホウオウボク」と「デイゴ」を紹介します。どちらも夏場に深紅の花を咲かせ、風物詩になっています。
真っ赤な花咲かせる木
「ホウオウボク」「デイゴ」
大きな莢付ける
ホウオウボクは、マダガスカル原産の落葉高木で高さが5~12メートルにもなります。
沖縄には1910年に台湾やセイロンから苗が導入されたとのことです。今では県内各地の公園、街路、庭園に広く普及しています。最大の特徴は、葉や枝を覆い尽くすほどの深紅の花を咲かせることです。ホウオウボクは枝が傘上に広がっているので、一つの木でも圧巻の存在感があります。
またマメ科なので、花の後には莢(さや)ができます。花が6~9月に咲いた後に、長さ30~50センチの莢をつけます。莢は乾燥すると黒く固くなり、生け花の材料にも使われます。種はよく発芽し、成長も早いです。
デイゴ(東南アジア~インド原産)
沖縄県花であるデイゴの群れ咲き
デイゴの開花は沖縄の夏の風物詩で、記念撮影をする人も多い
最近は減少傾向
1967年に沖縄県花に指定されたデイゴも、帰化植物です。東南アジアからインドが原産地で、県内にいつごろ導入されたかは分かりませんが、だいぶ古いことには間違いないでしょう。
高さ5~15メートルに成長する落葉高木で、深紅の美しい花を咲かせます。
木材は玩具、漆器、げたなど多様に使われてきたことから、挿し木でたくさん育てられてきました。公園や街路にも植えられていましたが成長が早く、路面を壊すことや、とげがあるなどの理由で最近は減っています。
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3月~4月の公園情報
【平和創造の森公園(糸満市)】
◆春のチョウ類自然観察会
3月16日(土)午前9時30分~同11時
料金/1000円
講師/比嘉正一氏(学芸員)
※平和創造の森公園の自然の楽しみ方についてや、チョウ類について解説。大型のアゲハ類や日本で一番大きいシロチョウ科のツマベニチョウが観察できます。
電話=098・852・4033
【平和創造の森公園(糸満市)】
◆サワガニの不思議な生活の話
3月23日(土)午前9時30分~同11時
料金/1000円
定員/10人(小学生以上) 定員/15人
講師/千木良義範氏(元沖縄県立博物館・美術館副館長)
※沖縄本島の北部はサワガニ王国と呼ばれているが、その生態は秘密のベールに包まれている。長年、サワガニの住んでいる場所に通い続け、調査を続けている研究者の話。
電話=098・852・4033
【沖縄県 県民の森(恩納村)】
◆植物観察会
4月6日(土)午後1時30分~同3時30分
料金/1000円
定員/10人(小学生以上) 定員/15人
講師/林将之氏(植物図鑑作家)
※県民の森を散策しながら、講師の著書「沖縄の身近な植物図鑑」に掲載されている植物の特徴やまつわるエピソードを解説する。
電話=098・967・8092
【中城公園(中城村)】
◆春のチョウ類自然観察会
4月13日(土)午前9時30分~同11時
料金/1000円
講師/比嘉正一氏(学芸員)
中城公園「台グスク」エリアの自然の楽しみ方や、生息するチョウ類について解説します。台グスクは高台に位置し太平洋、東シナ海を一望できる。自然を学び、絶景を見ての両得の観察会。
電話=098・935・2666
※諸事情で日時が変更になる場合があります。問い合わせ先にご確認ください。
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執筆者
ひが・まさかず/1956年浦添市生まれ。月刊誌「緑と生活」、東南植物楽園勤務を経て沖縄県県民の森(恩納村)の所長、沖縄昆虫同好会会長、NPO法人沖縄有用植物研究会理事
第1992号・2024年3月8日紙面から掲載