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2025年3月28日更新

写真家のまなざし つづる言葉|アートを持ち帰ろう(48)

文/本村ひろみ

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写真家のまなざし つづる言葉

「緑の日々」
台湾、台北


感情を丁寧に、素直に表現

写真家・上原沙也加のトークイベントを動画で見たとき、「ああ、なんて美しい言葉で語る写真家なんだろう」という印象だった。自分の中から浮かび上がる感情を丁寧にすくい、それを素直な表現で伝えることができるみずみずしさ。

彼女はすでに数々の賞を受賞する若手写真家で、この3月には「写真界の芥川賞」とも言われている第49回木村伊兵衛写真賞にノミネートされている期待の新人だ。


五感に語りかける風景写真

先日、ギャラリー・アトスで開催された写真展「緑の部屋:平和の島」の会場には、魅力的な文章でつづられたエッセー「平和の島」と「緑の日々」が掲示されていた。彼女の書く文章をもっと読んでみたいと思いながら、ゆっくり眺める。青と黄色の花模様のタイルの写真(作品「緑の日々」)の前で足をとめた。色が語る。遅い午後をまとう青白さ、壁にオレンジの光とあわい茶色の影。私はすっかり上原の写真の世界を歩いていた。台湾で撮影された作品に触発され、数年前の夏の日の風景がまぶたの裏によみがえった。私は記憶の断片を手繰り寄せ、懐かしい時間に出合い、港の潮の香りまで鼻先をよぎった。
 
 

「緑の日々」
台湾、花蓮


「緑の日々」
台湾、台北


「平和の島」
静かなビーチと造船所


「平和の島」
十字架のかたちをした栓抜き

作品サイズ、価格など詳しくはギャラリー・アトスまで。


取材の最後に「台湾を旅しておいしかったものは?」という話になり「お茶がとてもおいしかったです。」と笑顔で話してくれた。今度は湯気の立ちのぼる日常の生活を、彼女のまなざしがどのように写し出すのか見てみたい。空腹を満たしてくれるような力強い食卓の風景を。

 
作家近況
写真家・上原沙也加
https://www.instagram.com/uehara__sayaka/
作品集「眠る木」(赤々舎、2022)

本村ひろみ
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2047号・2025年03月28日紙面から掲載

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本村ひろみ

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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