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こだわリノベ

2019年4月12日更新

メリハリ付けかっこよく|LSDdesign 株式会社

[こだわリノベ・実家を2世帯住宅に]築26年の実家をリノベーションしたTさん宅。基本の造りはシンプルな“守りの空間”。そこにラワン合板で製作した家具や古着のジーンズで作った「デニムタイル」、壁には愛犬のイラストなど“攻めの内装”を組み合わせ、空間にメリハリを付けてコストバランスを取った。

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2階のTさん宅の玄関。愛犬・ジョリーンとトラビスのイラストが出迎えてくれる。奥に見える紺色のタイルは古着のデニムで製作したオリジナル。靴箱などの家具や建具、玄関のあがりかまちは重ね合わせたラワン合板の切り口を見せて仕上げた。層がユニークな模様を成す


旧家一新し「しっくりくる家」

Tさん宅
RC造/全面改修/築26年/一戸建て

改修前のお悩み
「実家の2階を活用し、2世帯住宅にしたい」
▼リノベーション前(2階)

            

個室しかなかった実家2階をリノベーションした。上写真は2階・Tさん世帯のLDK。キッチンの天井は配管などの関係で低めに設定し、マットなモスグリーンの塗装で仕上げている。それも「ラフかっこいい」の一端を担う

鎖でつるされた照明や、鉄骨製の家具が似合う「ラフかっこいい」Tさん宅。2階建ての実家をリノベーションし、2階全体と1階の一部がTさん世帯だ。

Tさんは「建て替えを考えていた僕に、リノベを勧めてくれたのは釣り友だちの建築士。気心知れた仲だし、間取りも内装もすべてお任せしたら、最高にしっくりくる家を造ってくれました」と語る。白壁に愛犬のグラフィックを施したり、キッチンに古着のジーンズで作った「デニムタイル」をあしらうなど、プロの提案を「ワクワクしながら聞き、即『お願いします』って感じでした」。

初めて玄関を開けた時、「夫婦で『わぁー、すごい!』と叫びました」と夫人。「あの提案がこうなるか、と感動。ジョリーンとトラビス(愛犬)のイラストがあちこちにあるのもうれしい!」


キッチンの腰壁には「デニムタイル」を施し、その上部には鉄骨とガラスを組み合わせた仕切りを設けた。空間をきっちり分けながら、視線は遮らない。「キッチンに立っているときも愛犬のイラストが見えてうれしい」と夫人

創作意欲増す趣味室
間取りはシンプル。2階の居室はLDKと、将来家族が増えることを考慮して二つに仕切れる個室が一つ。それに1.4坪のウオークインクローゼット。夫人は「身の丈に合った広さ。寝室と浴室の間にウォークインクローゼットがあるのが便利。移動しながら準備ができ、無駄がないんです」と語る。

1階には、ご主人の趣味室がある。そこで、ルアーや釣り竿(ざお)などを製作。内階段の真下で、天井高が最高3.2メートルあり「釣り竿が伸ばせるのが良い」。漁師からも注文があるというプロ級の腕前を存分に発揮する。「友人がアイデア満載の家を造ってくれたことに触発され、僕の創作意欲も増しました」。

旧家の面影を残すリノベもある一方で、Tさん宅は夫妻の好きなものをちりばめ、空間を一新させた。それが「最高にしっくりくる」理由なのだろう。

施主・Tさんに聞いた リノベを選んだ理由
最初は、実家を2世帯住宅に建て替えようと考えていました。築26年もたっているので、建物的に寿命かな、と思っていたんです。ですが、友人の建築士に見てもらったところ、「傷みも少ないし、構造的にはまだ大丈夫。一から建てるより、リノベーションの方が予算が抑えられる」と言われたので、お願いしました。

リノベのメリット
やっぱり予算が安く済んだこと! 建て替えを考えていたときに想定した予算と比べると3分の1に抑えられました! また、リノベーションでも、割と自由が利くのだなと驚いています。ここまで僕たちにぴったりの家ができると思っていなかったので、友人(建築士)に感謝です。家づくりにおいて建築士との相性はとても大事だと思います。僕たちは共通の趣味を通じて、相性がバッチリだったのが良かったのでしょうね!



渡口さん宅 リノベのカギ
LDK&水回りを新設し、必要な住居空間を確保。改修工事に費用が掛かった分、内装デザインを工夫しコストバランスを取った​

凡庸な材 独創的に使う
建て替えの相談を受けたLSD  dsign(株)の平良玄峰さんは、Tさんの実家の躯体をチェックし「まだ使える」とリノベーションを勧めた。

2階を大きく改装して必要な住居スペースを確保。水回りも新設した。要望のあった趣味室は1階の内階段の下に設けた。「1階の浴室だった場所を土間床にして趣味室にした」。そうすることで作業をするのに十分な天井高を確保したほか、外から直接出入りもできるようにした。親世帯との間にはガラス窓を設け、互いの気配が伝わるよう配慮した。

内装を自由に変えられるのもリノベのメリット。「Tさんはオリジナルの釣り具をつくる人だから、住まいにも独創性があった方がいいはず」と、平良さんは〝攻めた内装〟を提案した。
とはいえ、使ったのは手に入りやすい建材。白壁に愛犬のグラフィックを施したり、型枠用の合板に古着のジーンズを巻き付けてオリジナルタイルを作ったり。そして、造り付け家具はラワン合板と鉄骨を組み合わせたシンプルなもの。「ラワン合板は赤みがかったものを選んで使った。その方が、デニムや鉄骨などのラフな雰囲気になじむ」。素材の色や雰囲気の統一感こそが安っぽく見せないポイントだ。

収納などの鉄骨部分は施主に施工してもらった。「Tさんは溶接もできるので、おまかせした。それがコストダウンにつながっている」。

建て替えより安く済んだとはいえ「設備を新設したり、改装にコストが掛かった分、内装デザインを工夫してコストバランスを取った」と平良さんは語った。

▼リノベーション前(1階)

            

1階の浴室を改修して設けた趣味室。ご主人はここで、釣り竿やルアーを製作。土間床や階段下を生かした天井高が「作業しやすくて便利」。親世帯のダイニングとの間にはガラス戸があり、互いの気配が伝わるよう配慮されている。作業台や棚などの鉄骨部分は、ご主人が溶接して作った


▼リノベーション前(2階)

            

寝室は改修前からある開口部を生かしている。寝室に入る前には、1.4坪のウオークインクローゼットがある。浴室との間にあり、夫人は「移動しながら身支度ができるのがいい」と語る


トイレの飾り棚は、旧家のコンクリート壁を一部むき出しにしてデザイン。ここにも“隠れジョリーン”がいる


[DATA]
家族構成 :夫婦
躯体構造 :鉄筋コンクリート造
築 年 数:26年
1階床面積:80.7平方メートル(約24.4坪)
2階床面積:61.9平方メートル(約18.7坪)
工  期 :約3カ月
設  計 :LSDdesign(株)平良玄峰
施  工 :LSDdesign(株)


[問い合わせ先]
LSDdesign 株式会社
098-894-4282
http://www.lsd-design.co.jp


撮影/比嘉秀明 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1736号・2019年4月12日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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