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2025年11月14日更新

【特集】沖縄の鉄筋コンクリート造⑤ 生コン・プレコン製品を製造|株式会社キョウリツ

丈夫で表現方法に富み、職人の技と知恵が息づく沖縄の鉄筋コンクリート(RC)造。近年は、デザインはもとより、建築コストや環境負荷にも配慮した住まいやまちづくりの提案が広がっている。今号ではそんな創意工夫あふれる5社をクローズアップ。ローコストやZEH、建て売り、自由設計、プレキャストまで選択肢は多彩だ。

 

分離槽のふたは25トンの荷重に耐え、大型ローリーなどが乗っても問題ない。強固な造りの上、漏水を防ぐ接合処理を施している
 

水質守る「油水分離槽」

「県 内のコンクリート需要は全国でも高い水準です。原材料であるセメントの使用量(2025年9月)から見ると、全国平均が1人あたり21.56キログラム、対して沖縄県が34.64キログラム。約1.6倍ほど使っています。コンクリート使用量に換算すると、1人あたり1日約3リットル。人が1日に必要な水分摂取量は2リットルほどなので、それを上回る量のコンクリートを使っていることになります」と(株)キョウリツの内山忠明専務は説明する。
 
プレコン製品ごとに鉄筋の数や直径、配筋の間隔や組まれ方などを確認。高耐久性を確保するために欠かせない作業だ
 
製造した生コンの流動性を確かめつつ、強度試験用の試験体も作る

そのため、同社は工事現場に運搬する生コンクリート(生コン)と工場で成形するプレキャストコンクリート製品(プレコン製品)を製造し、「二刀流で対応。規模や工法など工事現場の声から、生コンとプレコン製品をそれぞれ運搬しています」。
 
基準をクリアした生コンを工場で型枠に流し込み、成形。プレコン製品一つ一つに製造会社、製造日、寸法などを刻印している

取り付け工事の様子。内山専務は「土木用プレコン製品の多くは埋設するため、普段目にする機会は少ないですが、安心・安全な暮らしに欠かせない存在です」と話した

生コンは主に現場打ち(工事現場で型枠に流し込む工法)に使われているが、「近年ではプレコン製品の受注も多いです」。型枠職人の不足や働き方改革による適正な労働環境の確保など、時事的な課題が影響している。

プレコン製品は一見するだけで、現場打ちの建設物と見分けることが難しいが、「実は至る所に使われています。土木分野でいえば側溝、電柱、擁壁、湾港。建築分野でいえば壁、床・屋根スラブなどに使われるケースが増えています」。同じ形状・高品質の製品をあらかじめ大量に作ることができるため、「現場打ちの型枠トラブルなどがなくなり、施工がスムーズ。省人化と工期短縮につながっています」。
 
ガソリンスタンドに設置された事例(赤丸)。下水道法などで油水分離槽の設置は義務化されている。専用の底盤に取り付けるだけなので、工期は短い


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詰まり・劣化を予防
下水道管が長持ち


同社は多様なコンクリート製品に加え、環境に配慮した製品も取り扱っている。その一つが「油水分離槽」。飲食店やガソリンスタンドなどに設置することが法的に義務づけられ、同社は4連式の「OK式油水分離槽」を提供している=イメージ図
 
イメージ図 
株)キョウリツが製造している「OK式油水分離槽」のイメージ図。重量が軽い油は浮き、重い水は下へ。4層で段階的に油や不純物を取り除き、下水道管へ奇麗な水を流して水資源の循環を支えている


内山専務は「4段階で油水を澄んだ水に変え、一つの槽で分離できる時間が長いため、水質汚濁抑制に優れています」と説明する。流れ込む生ごみなどの不純物は着脱式ダストトラップが回収。「分離槽内に不要なごみをため込まず、維持・管理が簡単です。下水処理機能の低下と下水道管の詰まり・劣化を予防します」。

また「OK式油水分離槽」のほか、プレコン製品の型枠は鋼製型枠を使用。「繰り返し利用可能なため、木型枠などの産業廃棄物を減らし、環境への負担を小さくしています」。


〈問い合わせ〉
株式会社キョウリツ
住所=うるま市石川東恩納1406-99
電話=098・965・6262


↓画像をクリックすると、キョウリツのホームページに移動します


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2080号・2025年11月14日紙面から掲載

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