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2023年3月10日更新

庭を眺めてデッキで晩酌 沖縄に移住した60代夫婦が建てた、風通しのいい木の家|(有)イスト[お住まい拝見]

[沖縄らしさもちりばめ]「老後は夫婦でのんびりしたい」と夫人の故郷沖縄に新築したAさん(61)夫妻。風通しのいい家にはアマハジに赤瓦風の屋根、ミンサー柄の外壁と沖縄らしさもちりばめた。

玄関側から見たLDK。ダイニングキッチンと天井高を変えたことでリビングの印象がより伸びやかに。掃き出し窓の外は直接行き来できるウッドデッキテラスで、深いひさしが日差しや雨を遮るアマハジ空間となっている


庭眺めデッキで晩酌

Aさん宅
 木造/自由設計/家族2人 

海にほど近い本島北部の新興住宅地に夫妻が建てたのは2LDKの平屋。「建売は安いけど決まり切ったデザインで部屋数の多いファミリー向けがほとんど。老後をゆっくり過ごしたい私たちにはLDKと寝室と客間があればいい。庭も欲しかったので住み心地のいい木造で新築したんです」と夫人(58)。

個室は2室にとどめた分、庭やLDKはゆったり。色とりどりの花が咲くアプローチも、旬の野菜が育つ菜園も、夫婦がイチから作り上げたもの。天井の高いLDKは、高窓から差し込む光が家の奥まで届き、明るく伸びやかだ。

特に庭を見渡す広いウッドデッキテラスのアマハジは、夫妻が「絶対欲しかった」空間の一つ。「窓を全開にできる風通しのいい家で過ごしたかったんです。アマハジが雨も日差しも遮ってくれるから、夏でもクーラーを付けるのは寝るときくらい」。庭や空を眺めつつ一服したり、夫婦で食事や晩酌も楽しむ特等席だ。


キッチン側から見たリビング。勾配天井を活用して設けた高窓で、排熱を促し開放感も高めた。テレビの後ろの壁にだけ用いたグレーが空間全体の印象を引き締める


水回りからキッチンとダイニングを見る。写真右奥に見える勝手口の外はウッドデッキテラスと菜園。「キッチンも浴室やトイレの壁も掃除しやすいホーロー製を提案してもらいました」と夫人


風通し視線遮る壁

家づくりの際は気になる点もしっかり伝えた。その一つが来客の目。解決策となったのはLDKと個室の間の仕切り壁だ。「お客さんがいても寝室への出入りが気にならない。風が抜けるよう一部をルーバーにしているのも気に入ってます」と夫妻。

勝手口や出入り口を各所に設けた造りは「大正解」とAさん。ウッドデッキテラスからはリビングやキッチン、寝室からは水回りや駐車場へ直接行き来できるため「年を取っても安心」。Aさんの好きなミンサー柄は外壁のアクセントにし、赤瓦風の屋根やヒンプンも取り入れた。

「作り始めたころは東京にいたので打ち合わせはZOOM中心でしたが、建築士さんのレスポンスが早く、コストも考慮しながらいろいろ提案してくれて。着工後の細かい変更にも応じてもらったので、こうすれば良かったと思うことはほとんどない」と喜ぶ夫妻。自然を身近にゆったりのんびり、開放的な暮らしを楽しんでいる。
 

東側から見たアマハジ空間。奥は物干しざおもかけられるようになっており「布団を干すのに重宝してます」と夫人



ここがポイント
3種の窓で効率良く通風

Aさん宅の敷地は前面道路が坂道になっている東側に加え、南側も接道する角地にある。設計した大城満昭さんは、「南側は道路より1・5メートルほど高く開けている。そこで建物は北西に寄せ、南に設けた庭に開く造りに。間取りは、南に配置したLDKに、深い庇(ひさし)をかけたデッキテラスを隣接させ、庭との一体感を持たせました」と説明する。

夫妻の希望する「風通しの良さ」を実現するにあたりポイントになったのが、窓の種類や位置を工夫した開口計画だ。「南面は大きな掃き出し窓、北面や道路に接する東面は面積をしぼった縦長のすべり出し窓、西面は高さのない横長のすべり出し窓を採用。これにより、南東から北西に向けて室内に風の通り道ができ、通風しやすく。通りからの視線も気にならず、西日や冬の北風の影響も押さえることができました」。

そのほか、高窓から排熱しつつ部屋の奥まで光を届ける勾配天井のリビングや、壁の代わりに天井の段差で書斎コーナーをゆるく仕切った寝室、開けっ放しにできる引き戸、行き止まりをなくした回遊動線も、通風に一役。開放感や利便性の良さにもつながった。

外観デザインは夫妻希望の沖縄風を意識。「屋根には赤瓦より軽く安価で30年保証の付いた金属瓦を採用。玄関前にはヒンプンを設け、近くの外壁にはミンサー柄をあしらっています」

空調効率を上げるため、屋根と四方の壁には断熱材を入れ、窓ガラスは断熱効果の高いLow―e複層ガラスに。木造で気になる湿気・シロアリ対策には、「小屋裏にも高めにとった床下にも換気扇を設置。それぞれ点検口も設けてメンテナンスのしやすさにも配慮しました」。
 


南側の外観。アマハジ空間を支える柱は藍色を採用しアクセントとした。庭は建築時に土だけ入れてもらい、ガーデンライトを設置したり菜園スペースを設けたりと夫妻が自分たちで手作りした


東側から見た外観。屋根には赤瓦より軽く構造への負担が少ない金属瓦を採用。遮熱性能があり塩害どめも施されている。玄関脇には藍色の外壁材に10センチ角の白いアルミ板を貼り付けミンサー柄をあしらった


主寝室。書斎は仕切らず天井を下げたことで落ち着きと個室っぽさを演出。書斎とウオークインクローゼットの縦すべり出し窓を開ければ風が通る。写真左手には水回りに直接行き来できる扉も設けた


浴室。「入浴中も緑が見たい」との希望で横長の窓を設置。窓外の物干し場に緑を置いて坪庭代わりに

 

[DATA]
家族構成:夫婦
敷地面積:254.99平方メートル(約77坪)
1階床面積:96.33平方メートル(約29坪)
建ぺい率:42.89%(許容70%)
容積率:37.77%(許容200%)
用途地域:都市計画区域内(区域区分非設定)
躯体構造:木造
設計:ロイヤルハウス那覇店 (有)イスト 大城満昭
構造・施工:ロイヤルハウス那覇店 (有)イスト
電気:吉電設
水道:(株)悟大

問い合わせ
ロイヤルハウス那覇店 (有)イスト
電話=098・888・5883
https://mokuzou.net/


撮影/桑村ヒロシ 文・徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1940号・2023年3月10日紙面から掲載

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徳正美

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