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2020年11月20日更新

外を取り込む家|コバヤシ401. Design room

[変形地でも庭最大限に|お住まい拝見]植物が好きな40代のKさん宅は、どこからでも庭が見える家。テラスが互い違いに室内に食い込み、まるで外にいるような感覚にさせる。三角形の敷地の1辺に沿って家を建て、広い庭を取った。


玄関側から廊下を見る。掃き出し窓から庭やテラスが見える上、天井や床の材料もそろっているため、内と外の境界が曖昧に見える
 

変形地でも庭最大限に

Kさん宅
 RC造|自由設計|家族4人 

内外曖昧な廊下

確かに玄関ドアをくぐり、廊下を歩いているはずなのに、まるで庭の園路を歩いているような感覚。廊下は幅約1・2メートルとゆったりしていて、庭に面するテラスと床材、天井材をそろえて廊下をテラスの一部のように見せたことで起きる錯覚だ。玄関側は寝室や水回りをまとめ、壁で囲っていて暗い。一方で廊下の先は両側のテラスから差し込む光で、明るく開放感がある。


庭からLDKを見ると、テラスの一部がダイニングになっているようにも見える。写真左手のテラスは、ダイニングに光と風を取り込む。写真右手のたまり場は、Kさんの休日の読書スペース

LDKには、敷地東側の広々とした庭に向かって幅約6メートルの大開口を設けた。「どこにいても庭が見える家に住む夢がかなった」と、緑が好きなKさんは満面の笑みを浮かべる。テラスの一部がリビング側にへこみ、「休みの日はよくここで読書をする」とKさんのお気に入りの場所だ。

「ここから空が見えるのもいい」と夫人は子ども室に立ち、リビングの吹き抜けにある高窓を見上げる。窓は南向きで、日中は光が差し込む。建物の一部が2階建てで、リビングから下がった1階に子ども部屋、2階に和室がある。

2階に上がる階段の広い踊り場は、ピアノを弾く長女(小3)の舞台に。和室からはみ出す本棚は「図書室」と呼ばれ、長男(6)もここから本を取り、和室で読むのだという。和室の様子はキッチンから窓越しにうかがえ、「平屋のような感覚で過ごせる」。


リビング隣の2階建て部分は60センチ掘り下げ、下を子ども室、上を和室にした。「リビングにスタディースペースをつくりたい」という思いもあり、長女が座る段(写真右手)の高さで、壁に沿って板を延ばして座卓のようにしている


2階和室につながる階段の踊り場は、真四角ではないものの広く取られ、長女のピアノスペースに。写真左上に見える本棚のスペースが「図書室」。南向きの高窓から光が入り、和室の壁に反射して下のリビングもほんのり明るくなる 


シンプルかつナチュラル

友人宅を見て、住みやすそうで将来的にも部屋を有効に使えそうな平屋を望んだ夫婦。デザインで求めたのは「シンプルだけどモダン過ぎない家」。土地がまだ見つからない中だったが、依頼先は「事例を見て、シンプルなスタイルが気に入った。話しやすく、“一を聞いて十を知る”ように、なんでも分かってくれる」建築士に決めた。

イメージする空間に近い写真を集めては建築士と共有。キッチンの収納は夫人が憧れている料理家のキッチンをまねてオープンシェルフに。「何を並べるか、ディスプレーがすごく難しい。普段使う物だけを置いて、増やさないようにしている」と夫人。木の棚板の上に陶器皿などが並べられ、気取らず柔らかな雰囲気がある。カウンターや階段など、部屋のあちこちにKさんが選んだ植物が飾られている。庭では近所の子どもたちも一緒に遊んでいるといい、家全体がナチュラルで温かい雰囲気に包まれていた。


キッチン背面の収納は夫人が憧れたオープンシェルフ。着飾らない雰囲気で陶器の皿が並ぶ。写真右手のパソコンスペースは、「家事の合間に作業できて重宝している」という 


ここがポイント
互い違いに風と光入れる

分譲宅地の袋小路の突き当たりにあるKさん宅は、三角形に近い変形地。設計した小林進一さんは「辺が長い敷地西側に建物を配置して、東側にまとまった面積のある庭を確保した」と話す。南に開いて庭を点在させるなどのプランもあったが、Kさん夫婦とも相談し、敷地を有効活用できる同プランを選んだ。

家は南北に延び、東に開いた造り。庭に面するテラスは、廊下と床材、天井材をそろえて視覚的な一体感を出した。一部を室内側に食い込ませ、たまり場にすることで、「ひさしの長さと共に陰影が変わり、より外と室内が曖昧に見える効果をねらった」。


リビングからも庭やテラスが見え、どこにいても緑を感じられる。リビングの一部は約3.9メートルの吹き抜けで、子ども室に立てば高窓から空が見える

室内側にテラスを食い込ませているもう一つの理由は風通し。「長い建物は空気が回りにくいため、テラスを互い違いに食い込ませることで風の通り道をつくった」。庭のテラスと西のテラスから風が入り、室内を巡る。西のテラスは物干し場も兼ね、日中の光を室内に取り込み、公私の空間を分ける役割も果たす。

玄関側のプライベートスペースには大きくまとまった収納スペースを配置。玄関のシューズクロークは約2・3帖あり、庭づくりに使う工具類も収めているという。洗面室の家族収納も2・5帖。「大きくまとめてとることで、家事動線がスムーズで使い勝手が良くなる。またコストも抑えやすい」


洗面室にも作業スペースを設け、洗濯物を畳むなどの家事がしやすい環境に。写真左手のカーテン奥には2.5帖の収納スペースがあり、家族全員の衣類が収まっている 

2階建て部分はリビングより60センチ掘り下げ、上下階とも天井高を抑えて、こもったような空間に。北側斜線制限による高さ制限もクリアした。リビングに接する1階を子ども室にすることで「将来2室に分ける時も出入り口を確保しやすい。子どもが独立した後も第二のリビングとして使い勝手のいい配置」と長く住み続けるヒントを教えてくれた。


外観。2階建て部分は1階床を掘り下げて天井高も抑えたことで、一般的に1.5階分ほどの高さに。庭や植栽の生き生きとした緑色に杉板の塀がマッチする

[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人 
敷地面積:271.31平方メートル(約82.07坪)
1階床面積:97.37平方メートル(約29.54坪)
2階床面積:14.80平方メートル(約4.47坪)
建ぺい率:41.61%(許容50%)
容積率:41.35%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁構造
設計:コバヤシ401.Design room(株)
   小林進一
構造:チーム+1
施工:(株)シンコウハウス工業
電気:(株)ミシマプラン
水道:(有)山商
造園:プランタドール

問い合わせ
 コバヤシ401.Design room(株)
 ☎ 090-2633-8306  
 kobayashi401.com


撮影/比嘉秀明 取材/川本莉菜子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1820号・2020年11月20日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
川本莉菜子

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編集者
好奇心が行動源。まち歩きで面白いことを発見した時に興奮し、脇目振らずに追いかけて迷子になること多し。人が住む・暮らす場所にある歴史、知恵、繋がりの面白さを見つけて発信していきたいです。よく県外出身かと聞かれますが、生粋のウチナーンチュです。

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