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第9回こども絵画コンクール

お住まい拝見

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2022年11月18日更新

[沖縄・お住まい拝見]仕切らず明るく懐かしく|(株)謝名堂建築設計事務所

[アート映えるワンルーム]「おばぁの家のような懐かしい空間に、好きなアートを飾りたい」。古民家とギャラリーをミックスしたようなSさん宅。大きな玄関から入ると、仕切りのないワンルーム空間が広がる。

お住まい拝見|(株)謝名堂建築設計事務所|深い軒と花ブロックの塀が印象的なSさん宅
深い軒(手前は1.5メートル、右側は2.5メートル)と花ブロックの塀が印象的なSさん宅。家のほぼ中央に両引き戸の大きな玄関がある


必要なときに仕切ればいい

Sさん宅
RC造/自由設計/家族4人

カラフルな絵画が映えるよう、ツヤ無しの内装にこだわったSさん宅。モルタル左官仕上げの壁に、斜めに木材を貼り合わせたヘリンボーン張りの床。まるでモダンなギャラリーのようだ。

しかし、一緒に入ったカメラマンは「昔ながらのうちなー家(や)みたいだな」と言う。確かに、両引き戸の大きな玄関が家の中央にある造りは、古民家的でもある。

おおらかな造りと、洗練された内装。このハイブリッドがSさん宅の特徴だ。

「天井が高くて、明るく開放的な家にしたかった」と夫人。Sさんは「おばぁの家みたいに、光と風が通る家が理想。だから仕切りたくなかったし、個室は必要になれば造ればいいかな」と話す。

新居を彩るアートは県出身の画家「HAYATO MACHIDA(町田隼人)」氏のもの。夫妻とも大ファンで、なんとロフトの花ブロックは「町田さん本人に現場で塗ってもらった。今となっては貴重。わが家の自慢です」と夫人はうれしそうに話す。
 

仕切りのないLDKと、写真奥には個室代わりのロフトがある

仕切りのないLDKと、写真奥には個室代わりのロフトがある。大ファンである「HAYATO MACHIDA」のカラフルなアートを生かすため、床もツヤ無しで仕上げている

 

ロフトの花ブロックは画家のHAYATO MACHIDAさんが現場で色を塗った特注品

ロフトの花ブロックは画家のHAYATO MACHIDAさんが現場で色を塗った特注品。トイレや浴室などの水回りはLDKから80センチ下がった場所にある


要所に大収納

以前から住んでいた地域で土地を探し、景色の良い場所を見つけた。価格は安いが崖地。「知り合いの建築士に相談したところ、擁壁を造れば十分な広さの家が建てられるとのことだったのでお願いした」

完成したのは約27坪の平屋で、家中が見渡せるオープンな造り。だが収納もたっぷりあるため、表にものが出過ぎず快適に暮らしている。キッチンのそばにはパントリーが、洗面室の隣には家族の服をしまうウオークインクローゼットがある。「洗濯物の移動距離が最短なので、とっても便利。仕切りがないから掃除も早いし、家事はとても楽になった」と夫人。

好きなものに囲まれ、伸び伸びと暮らす。
 

写真の洗面台や、手洗い付きの靴箱、食器棚などはまとめて県内の工房に依頼

写真の洗面台や、手洗い付きの靴箱、食器棚などはまとめて県内の工房に依頼。「水栓や照明、鏡などもコーディネートしてくれて、とても気に入っています」と夫人



ここがポイント
絵を軸にプラン決め
高低差で遊び

敷地の北側は5メートル近くの崖。そのため、近隣の土地よりも安かった。Sさんから相談を受けた謝名堂建築設計事務所の謝名堂愁(しゅう)さんは「擁壁を高さ5メートル、幅30メートル造る必要があったが、その工事費と土地代を合算しても近隣の坪単価より安く済むはず」と背中を押した。

建物は、崖から離れた南側(道路側)に配置。そのため駐車場と玄関に距離ができたが「軒を深く出し、雨降りでも駐車場から室内まで、ぬれずに移動できるように」配慮した。

建物の東側は、軒を2・5メートル出してテラスとして活用
建物の東側は、軒を2・5メートル出してテラスとして活用

室内は「すでに決まっていたキッチンと、飾りたい絵を軸に配置計画をした」。大きなキッチンでLDKを分断しないよう長方形の空間と同方向に配置。絵画は、何げなく目に入る場所に飾れるよう調整した。「窓の位置は、絵画スペースを避けつつ、プライバシーと開放感を両立できるよう考慮」。外からの視線が気にならず、かつ南北へ視界が開けるよう配置して広がりを演出している。

また、施主の希望からLDKの天井は3メートルあるが「トイレや浴室などは、そこまで高さは要らない。上部をロフトにすることを提案した」。先の水回りはLDKより床面を80センチ落とし、ロフトの天井高を確保した。

パントリーの上部もロフトに組み込んだ。天井高は1メートルほどしかないが、床を一部抜いて掘りごたつ式にすることで勉強・読書スペースとして利用できるようにした。

キッチンから玄関を見る
キッチンから玄関を見る。写真右手の玄関には折りたたみ(アコーディオン式)の網戸が付いていて「涼しいときは開け放しています」

ロフトへ続く階段そばもアートスペース
ロフトへ続く階段そばもアートスペース。階段下は、机と椅子を置いて子どもたちのゲーム部屋に

パントリーの上部もロフトとして活用
パントリーの上部もロフトとして活用。一部足元を抜いて掘りごたつ式に

パントリー。上に座っていると「足が見えるのがかわいい」と夫人
パントリー。上に座っていると「足が見えるのがかわいい」と夫人




[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:390.93平方メートル(約118.46坪)
1階床面積:89.10平方メートル(約27坪)
建ぺい率:28.27%(許容60%)
容積率:22.79%(許容200%)
用途地域:指定なし
躯体構造:鉄筋コンクリート
設計:(株)謝名堂建築設計事務所 謝名堂愁
構造:(株)濱川構造設計
施工:宮建業
電気:協原電気工業
水道:(有)住設
キッチン:(株)クチーナ沖縄
製作家具:(株)KiCHi

問い合わせ
(株)謝名堂建築設計事務所
電話098・892・3584
https://www.janadou.com/


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1924号・2022年11月18日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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