海を最大限に堪能! カリフォルニアスタイルの家|(有)アトリエ・門口|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2020年5月22日更新

海を最大限に堪能! カリフォルニアスタイルの家|(有)アトリエ・門口

[お住まい拝見〕|目の前に広がる海を最大限に生かし、憧れのカリフォルニアスタイルの家を建てた石井仁さん(47)。米西海岸を思わせる明るく開放的な空間で、自然とつながるスローな暮らしを楽しむ。


3階にあるLDK。特に、キッチンからの眺めは壮観。高さ3メートル、天井いっぱいまで設けた
開口部の先に海と緑が広がり、まるで絵画のよう

 

海を最大限に堪能!

石井 仁さん宅
 RC造/自由設計/家族5人 


3階のリビングダイニング。空間とインテリアの調和を重視し、もともと持っていたアメリカン
中古家具に合わせて内装をデザインした。床はタイルとフローリングをミックス


家と一緒に成長
糸満市の海岸通り沿いに建つ3階建ての住宅は、大きなサボテンの植え込みが印象的。杉板仕上げの壁をアクセントにした北東側にあるアプローチの奥には水盤があり、水音が心地よい。
1階にあるのは、車庫と寝室。アプローチ奥の水盤に面して地窓を設けた寝室は、「昼は日差しが当たった水面が天井に映り、キラキラときれい。夜は照明で、雰囲気がグッと変わる」と石井さん。明るいチークの床に、お気に入りのアメリカン家具が映える。
吹き抜けになった鉄骨製の階段を上り、3人の子どもたちの個室がある2階を抜けて3階へ。キッチン越しに飛び込んでくる、海と緑が織りなす眺めに目を奪われる。「朝、昼、夜で、海と空の表情が変わる面白さがある」
乾いた質感の木目を生かしたキッチンは、料理人である石井さんと、やちむんが好きな妻・佳奈さん(38)のこだわり。2人で立っても楽に動けるように考慮し、造作してもらった。冷蔵庫や家電は、見えないようにキッチン背後のパントリーに収めている。「慣れれば、行き来も苦になりません」と佳奈さん。


海に面した南側の外観。大型のサボテンを植え込み、カラーチェアをアクセントに飾って

自然と一体になる
ドライブ中に出合った海が見える土地にほれ込み、憧れていたカリフォルニアスタイルの家づくりを考え始めた。
ホームページの写真を全て見て、ここだ! と訪ねた建築士事務所の姿勢に信頼を抱き、設計を依頼。「手持ちの家具を伝え、細かく、丁寧にやりとりを重ねて設計してもらった。イメージしていたより、もっとすごい家ができました」
360度見渡せる屋上でのひと時が、石井さんの大切な時間。「時間のストレスから解放され、自然のリズムと一体になれる。家は生きる基盤。手に入れてからが本当のスタートだと思う。
家に手をかけることを楽しみながら、家族も一緒に成長していきたい」
 


1階の寝室。地窓を設けることで、プライバシーを守りながら水盤の揺らぎや音を楽しめるように
なっている。床は、アメリカン家具に合うよう、明るい色のチークを選んだ


ここがポイント
眺め重視 3階にLDK配置
敷地は、南に海を望み、北側は前面道路、東西は隣家に接する。区画整理地内にあり、地区計画条例により境界線から1メートル後退させ、建物の高さは10メートル以下という制限もあった。その中で、海が最大限に望めるようにするため、建物配置と各階で階高を変えることで、3階建てでLDKを3階に設ける設計を実現した。
建築士の知念映子さんは、「現地でドローンを飛ばして建物の配置を決定。おかげで南面だけでなく、西側に設けた窓からも、遮られることなく海を眺めることができるようになりました」と話す。
1、2階にプライベート空間、3階にパブリック空間を区分け。3階まで吹き抜けになった階段を囲むように回遊式廊下を設け、各部屋をつなぐ。階段の最上部、3階の天井に天窓を設けて自然光を取り込むのに加え、暗くなりがちな2階部分は西側に半戸外の中庭を配し、全面サッシで区切ることで明るさを確保した。「人が動くことで、階段を通して風も光も流れる。人の声、気配も家全体で感じられます」
3階のLDKは、キッチンを軸に会話と料理が楽しめる造り。南面は3メートルの天井高までの大開口にし、開放的な空間に仕上げた。
3階の回廊廊下上部の天井裏には、伸縮式のはしごが設置されていて、天井裏から屋上へアクセスする。「塔屋を設けないことでコストダウンをはかり、意匠性にも配慮しながら、屋上でも楽しみたいという思いもかなえることができました」。


外観のアクセントにもなっている杉板仕上げのアプローチ。その先に広がる緑と水盤が、
心地よさと開放感をもたらす




30cm×60cm角のタイルを馬張りにし、ホテルライクに仕上げた浴室。
「朝日の明るさを感じながら
入るお風呂は最高」と石井さん



2階の廊下から、階段と中庭を見る。半戸外になった中庭には、さまざまなサボテンが鉢植えで
ディスプレーされ、見ているだけで楽しい


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[DATA]
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:240.26平方メートル(73坪)
1階床面積:62.72平方メートル(19坪)
2階床面積:53.44平方メートル(16坪)
3階床面積:62.72平方メートル(19坪)
建ぺい率:30.33%(許容60%)
容積率:66.19%(許容100%)
用途地域:第二種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設計・構造:(有)アトリエ・門口 門口安則、知念映子
施工:(有)セイシン住興 高安弘樹
電気:(有)中原電設 池原啓太
水道:(有)ライフ工業 高山佳晃
キッチン:(有)MOV 照屋涼子 

[問い合わせ先]
(有)アトリエ・門口
電話098-974-3554
https://kadoguchi.net


撮影/泉公 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1794号・2020年5月22日紙面から掲載

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週刊タイムス住宅新聞編集部

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