住まいに関するQ&A
2018年8月3日更新
契約解除の焦点とは|すまいのQ&A
アパートやマンションなどの賃貸借に関するトラブルの対応策について、(一財)不動産適正取引推進機構がホームページで公開している「不動産のQ&A」から抜粋し解説する。今回は、契約解除について。大家が借家契約の更新を拒絶、または解約の申し入れをする場合は、正当な事由が必要だと借地借家法に定められている。
契約更新を拒絶された
Q.もうじきアパートの契約期限が切れます。私は更新して住み続けたいのですが、大家さんからは立ち退くように言われています。大家さんには別に家があります。私はこのアパートに住んでいる7年の間、家賃の支払いが3回くらい遅れたことはありますが、今は特に滞納はありません。引き続き住むことはできますか。
A.借地借家法によれば、通常の借家契約では、大家さんが更新を拒絶しようとする場合は、正当事由が必要とされ、「賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情」、「賃貸借に関する従前の経過」、「建物の利用状況」など具体的な判断基準が明示されています。
詳しい事情は分かりませんが、大家さんには別に家があり、自ら入居しようということではなさそうですので、ひどく老朽化したので建て替えざるを得ないなど、ほかに特段の事情がなければ、正当事由はないと思われます。
また、過去7年間に3回程度の家賃の滞納があっても、現在滞納がなければ、契約の解除事由には当たりませんので、今後もアパートに住み続けることは可能と思われます。
立ち退き料をもらえるか
Q.現在住んでいるアパートが老朽化のため取り壊されることになりました。今の家賃は月3万円ですが、近くの月4万円くらいのアパートに引っ越すつもりです。貸主の都合で契約を解除するのですから、立ち退き料をもらえるのでしょうか。
A.借地借家法は、貸主が借家契約についての更新の拒絶または解約の申し入れをする場合には、正当な事由が必要であると定め、その正当事由の有無は、さまざまな状況を総合考慮して判断されます。いわゆる「立退料」は、正当事由が欠けている場合に補完的に考慮されるものです(借地借家法28条)。
「建物の現況(建物の老朽化等)」も判断基準の一つですが、建物の老朽化の程度が著しく、客観的に判断してそのまま賃貸しておくと倒壊等により借り主の身体・生命の危険が高いと判定されるような場合は、正当事由が認定されると思われます。
財産的給付(立ち退き料)がなくとも、貸主に契約の更新等を拒絶する正当事由があると裁判所が認めた場合は、「立退料」は支払われないことになります。
借り主の都合による退去
Q.契約期間中なのですが、都合があって退去したいと考えています、契約書には「契約期間中の解約は、相当の期間をおいて申し出ること」とされています。退去の申し入れはどのくらい前にしなければいけないのでしょうか。
A.旧建設省が作成した賃貸住宅標準契約書では、解約予告期間について、「少なくとも30日前に解約の申入れを行うことにより、本契約を解除することができる」という旨の定めがありますが、一般には解約申し入れの期間を1カ月程度としていることが多いようです。
標準契約書に倣って、大家さんと話してみてはいかがでしょうか。
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第1700号・2018年8月3日紙面から掲載