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2017年1月14日更新

「建物の健康診断」|下地鉄郎のコラム①

健康診断といえば、普通は人間の心身を診断することを指すと思う。自主的に診断に行く人のほか、健康診断の受診を促す通知が届くこともあり、診断を受けたことがない人はほとんどいないのではないか。

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実は、建物にも「健康診断」のようなものがある。建物の「健康診断」は、所有者や管理者の意識次第というところもあり、人間の健康診断に比べ、具体的なイメージが沸かないと思う。住宅は、地域住民に危険を及ぼす廃屋などでない限り、健康診断のような知らせは届かない。それほど所有者や管理者の判断に委ねられているといってもいい。
一方、人の出入りの多い特定の建物や設備については「定期報告制度」があり、建物管理者はその報告を怠ると、建築基準法での罰則(100万円以下の罰金)を受けることとなっている。罰則といえば、人間の場合は、事業者は労働者の健康診断の実施機会の提供を怠ると、労働安全衛生法での罰則(50万円以下の罰金)がある。気をつけなければならない。

ところで、「住宅診断」という言葉を聞いたことがあるだろうか。現在日本で行われている住宅診断は、主に建築士などの専門家が目視などで建物の各所を点検し、劣化状況や耐久性をまとめた報告書を買い主や売り主に手渡すまでをいう。客観的な評価が建物に与えられることにより、購入時などに不安がつきまといがちな中古住宅流通市場を活性化していくとともに、売り主側のメンテナンス意識の向上を促すほか、買い主側が安心して購入でき、購入後に欠陥が発覚するケースを防ぐことも目的としている。
住宅は毎日暮らす場所でもあり、住宅自体に不具合があると、住人の健康にも何らかの影響を及ぼす。人間の体の延長ともいってもいい住宅を診断することは、体の健康診断と同様、心身ともに健康で暮らすためには必要なことかもしれない。

(一級建築士)


下地鉄郎さんのコラム
vol.03 建物の平均寿命
vol.02 人口減少から見る建築業界の今とこれから
vol.01 建物の健康診断

 
※画像はイメージです。

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