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2025年11月21日更新

沖縄で見つけた「進化系」アレンジグリーン2つ 亜熱帯植物のみずみずしさが長く楽しめる、土なしで花束のように華やかに

植物は空間を豊かに彩ってくれる。今回は、従来の植物の良いところ取りをした目新しい「シン・アレンジグリーン」二つを紹介する。

シン・アレンジグリーン

植物は空間を豊かに彩ってくれる。今回は、従来の植物の良いところ取りをした目新しい「シン・アレンジグリーン」二つを紹介する。
 
  noci(のち)
[(株)タイヨー・ジャパン/国頭村]

亜熱帯植物 茎や葉まで“留める”
 
 生 花を加工し、美しい姿を長期間楽しめるようにした「プリザーブドフラワー」。それを進化させたボタニカルブランドが10月、県内で初お披露目された。それが、㈱タイヨー・ジャパン(国頭村・粟國英雅社長)が開発した「noci(のち)」だ。
 
 
新製品発表会で展示された、「noci」の集合オブジェ。タニワタリやシュロガヤツリ、シダ、ヒカゲヘゴなど沖縄では身近な植物をオブジェにした。触ると、造花やプリザーブドフラワーとは違うやわらかな質感に驚く
 
プリザーブドフラワー技術者として業界で名をはせる秋田県の嶋真紀子さんを最高技術責任者として迎え、チャーギやギンネム、ストレリチアやモンパノキなど沖縄の亜熱帯植物を加工。その形や質感を留め、長く楽しめるインテリグリーンに昇華した。

発表会で展示されたフラワーアーティスト・洲鎌広明さんの作品。ストレリチアを生花(オレンジ)とnoci(赤)のダブルでいけた。「新しい植物素材として、大きな可能性を秘めている。まだ加工技術に若干の甘さがあるが、これからに期待している」と話した

嶋さんは「従来の画一的なプリザーブド技術では葉や茎、枝などの加工は難しかった。それを、一つ一つの植物に合わせて手作業で加工し、水分量を調整。脱水しつつも、みずみずしい質感や形を残す究極のバランスを追求した」と説明する。「好きな色に着色することも可能」と嶋さん。

同月29日に那覇市で開かれた新作発表会では「noci」のチャーギで作ったツリーや、ヒカゲヘゴ・タニワタリ・シダなどの集合オブジェなどが展示された。
 
(写真左)nociのチャーギで作ったツリー。今後は那覇市首里の「rokkan COFFEE SHURIなどに展示予定」と粟國社長
(写真右)チャーギを赤く着色したツリー。雰囲気がガラリと変わる

 
粟國社長は「植物のやわらかさは残しつつ、5年以上は枯れず留めることができる。水や土も不要なため、飾る場所を選ばず、自由に使える。多くの人に知っていただき沖縄の植物のすばらしさを見直すきっかけになれば」と語った。

しばらくは植物単体の販売はせず空間コーディネートの業務を受ける。その他要望は応相談。

問い合わせは
㈱TYEO.JAPAN
国頭村辺土名119
Mail=hirata@tyeo.jp
HP=https://noci.jp

 
◇  ◆  ◇  ◆  ◇

 
  ギャザリング  
[(有)繁樹園/那覇市]

花束と寄せ植えの良いとこ取り
 
 鉢 の中で植物を配置していく一般的な寄せ植えとは違い、「ギャザリング」は植物を根付きのまま束ね、根部分にひも状の水ごけ(アート水ごけ)を巻き付けてつくる。花束のようにこんもりとしていて、どこから見ても美しいのが魅力。
 

植物の根部分を束ねてブーケをつくる

このまま鉢に植えたり、バスケットや花瓶に生けたり、土があってもなくても楽しめる新しい寄せ植え技術として最近、注目を集めている。  
 
根部分にひも状の水苔をまいているので、土がなくても育てられる

「普通の寄せ植えは、ある程度成長してからの方が美しいですが、ギャザリングは完成した瞬間から見応えがある。成長を楽しむガーデニングであり、つくった達成感が得られるフラワーアレンジメントでもあります」と繁樹園(那覇市・當間嗣泰代表)のスタッフで、あおき式園芸手法公式認定のギャザリスト・赤嶺美智代さんは説明する。
 
複数のユニット(ブーケ)を合わたウエディングディスプレー。「最初から小さなユニットに分かれているので、お客さんに持って帰ってもらいやすいと、最近人気です」と赤嶺さん

「一つのブーケ(ユニット)で構成してもいいし、いくつかのユニットを組み合わせてもいい。複数入れると豪華な印象になります」と提案。下のバスケットは四つのユニットが入っている。つくってから1カ月程度たち、あちこち伸びてきてナチュラルな雰囲気も、またかわいらしい。
 
作ってから1カ月たったバスケット。植物が伸びてナチュラルな雰囲気

贈り物にもぴったり

ギャザリングの技術は、「少し上級者向け。植物を組み合わせるセンスとともに、根土や葉っぱを取り除きながらユニットをつくるので、取り除く分量などは、経験と知識が必要になってきます」と赤嶺さん。
 
 
ギャザリングでつくった鉢植え。花束のようにこんもりとしていて、どこから見ても華やか
 
一般的な寄せ植えとの違い

上の写真と同じ植物でつくった一般的な寄せ植え。
正面を決め、鉢の中で植物を配置していく
 
繁樹園では毎週水曜日などにギャザリングのワークショップを開催している。自分で楽しむだけでなく、贈り物にしたいという人も多いそうだ。赤嶺さんは「ギャザリングは〝育てられる花束〟ですから、贈り物にもぴったりです」と話した。

問い合わせは
㈲繁樹園
那覇市繁多川4−1−27
電話=098・854・7672
HP=https://www.hanjuen.jp/

※繁樹園では水曜日(毎週)と日曜日(随時開催・要確認)にギャザリングのワークショップを開催中。詳細はHPに掲載

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2081号・2025年11月21日紙面から掲載

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週刊タイムス住宅新聞編集部

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