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2025年2月21日更新

2階の床だけにシミ|インスペクションで解明 住まいのミステリー 第23話「築2年の木造3階建て住宅」

文・下地鉄郎(インスペクション沖縄メンバー、既存住宅状況調査技術者)

住宅の劣化状態などを調査して報告する「インスペクション(建物診断)」。今回は3階建ての木造住宅で、2階床の特定部分に繰り返し黒いシミが現れるという。インスペクション沖縄の下地鉄郎さんが原因を調査した。

   第23話「築2年の木造3階建て住宅)」
2階の床だけにシミ

 依頼内容 
築2年の木造3階建て住宅。無垢材のフローリングにしたが、なぜか2階の床だけに黒いシミのようなものが繰り返し出てくる。その原因を調べてほしい。


イメージ図
 

  垢フローリングの床

木造3階建てのお宅で、床は無垢(むく)フローリング。定期的にミツロウワックスを自分たちで塗っているという。ワックスを塗る前にシミ抜きをしているが、2階の同じ部分だけ毎回、黒シミが出てくることから原因を知りたいという依頼だった。

現場では各階の床フローリングをくまなく見て周った。確かに2階の廊下の一部だけに黒シミが集中していた。

黒いシミ自体は無垢材フローリングにはよく見られるカビの一種であるため、カビ繁殖の原因となる水分量を超音波水分計を用いて各場所で測ってみた。しかし、問題の2階の床だけが高いということはなかった。


2階床の無垢フローリングに繰り返し現れる黒いシミ。他の場所よりシミの現れる頻度が高いことから原因の調査を依頼された

  アコン冷気が原因

次に問題部分の床下を調べてみると中型のエアコンがあった。エアエコンは1階リビングに吹き出すように設置され、目隠しのルーバーが設けられていた=左下写真。さらにエアコンが設置されている壁と2階床下の間には5センチほどの隙間があいていて、どうもそこから冷気が2階床下に漏れ出していたようだ。調査日は乾燥している冬の季節であったためエアコンを使用していなかったことから、水分計は反応しなかったようだ。


超音波水分系で水分量を調査したが、シミのない部分と大差無かった

依頼主には、湿度の高い季節にエアコンを使用する際は外の湿気が建物内に入らないようにすることや、定期的にフローリグ用の防カビ剤などを活用することをアドバイスした。それでも黒カビが頻繁に発生するようであれば、エアコン周りの隙間を閉じる工事や目隠しルーバーの間隔を拡げることなどの検討も促した。


エアコンは1階リビングに向けて設置されていて、ルーバーで目隠しされている



しもじ・てつろう/1級建築士。(株)クロトン代表取締役
電話=098・877・9610

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2042号・2025年2月21日紙面から掲載

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