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2024年7月19日更新

【人物紹介】若手建築士巻き込み活性化|沖縄県建築士会会長の伊佐強さん[ひと]

6月に沖縄県建築士会の会長に就任した伊佐強さん(65)。「文化財の保存活用から全国の仲間との交流・研さんまで精力的に活動中。若手を巻き込むことで地域を盛り立て、会の活性化と人材育成につなげたい」と力を込める。

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文化財の保存活用に一役



沖縄県建築士会
会長 伊佐 強さん


〈プロフィル〉いさ・つよし/1959年浦添市生まれ。77年県立沖縄工業高校建築科卒業。県内の設計事務所勤務を経て、(有)アクト建築計画室の共同代表に。96年、1級建築士事務所 建築工房 亥を設立。沖縄県建築士会では、那覇西支部支部長、青年委員会委員長、九州ブロック青年委員会委員長、事業委員会委員長、副会長を務め、今年6月会長就任。

◆(公社)沖縄県建築士会 浦添市西原1-4-26 2階 電話=098・879・7727


-県建築士会の役割について

建築士が所属する団体は県内に三つあり、当会は建築士が個人で所属する団体。建築事務所で働く人だけでなく、教育機関や行政、一般企業まで、分野を問わず活躍する961人が集まっています。当会ではそうした建築士に求められる知識・技術の研さんに役立つセミナーや研修プログラムを開催。また会員が8委員会・15支部に分かれ、小学校での出前授業や各種建築相談会など、地域に根差した活動を展開しています。

ほかの建築2団体や新聞社、NPOらと共にさまざまな事業も展開。40歳以下の設計競技「ティーダフラッグス」や、省エネ基準義務化に向けた「沖縄の気候風土適応住宅推進連絡会議」などのほか、ことし当会が幹事団体を務め、県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」は10回目を迎えます。

-近年、力を入れているのは?

まちづくり委員会が担当するヘリテージマネージャー(以下HM)の育成です。建築士で文化財の知識も持つスペシャリストのことで、中城村にある「伊舎堂のマーチューグヮー(お宮)」の補修や、うるま市「嘉手苅観音堂」の調査・補修、今帰仁村役場のコンクリート屋根の補修にも関わっています。

取り組みのきっかけは熊本地震。熊本城などの調査・再建に全国のHMが尽力し注目が集まりましたが、当時沖縄にはまだいなかった。そこで6年前から養成講座を開始。これまでに91人のHMが誕生しています。

青年女性委員会も活発に活動しています。九州各県の代表が実践例を発表し、全国大会に出場する代表選出と懇親を行う「建築士の集い」には毎年参加。先進的な提案や、行政・市民・学生などへの協力活動など参考になる事例も多く、全国の仲間たちから刺激をもらい、視野を広げる機会になっています。
県建築士会の青年女性委員会が企画し2018年に行われた「九州ブロック建築士の集い石垣大会」の懇親会。全国の建築士300人余が集い、親睦を深めた(県建築士会提供)

-会長としての意気込みを一言

建築士は私たちの生活の基盤となる住まいやまちづくりに欠かせない存在ですが、少子化や資格取得の難しさもあって受験者は年々減っているのが現状。若手の育成は全国的な課題で、沖縄県も例外ではありません。

この状況を打破するには、まずはわれわれの活動を知ってもらうことから。実践中の取り組みをさらに活発化させ、若手建築士にどんどん加わってもらうことが大切だと考えています。私自身、22歳で県建築士会に入会し43年。九州ブロック青年委員会委員長、県建築士会副会長を担った経験を生かし、会員と一緒になって地域を盛り立て、当会の活性化と人材育成につなげていきます。
 

建築と文化財のプロ育成
講座開催 相談も受け付け
4年前に沖縄市の旧久場家で行われたHM養成講習会の実習(県建築士会提供)
 

県建築士会では、建築士など建築の専門家で、さらに文化財の保全活用の手法を習得した「ヘリテージマネージャー(以下HM)」の養成講座を実施している。HMになるには、同会が半年かけて実施する養成講習会の全日程への参加が必要。文化財の歴史、調査の仕方、適切な補修方法、保存活用の事例などを、座学・現地研修と60時間かけて習得する。

「文化財を保存活用するには、耐久性はもちろんだが、何よりも造られた当時の姿に戻すことが重要。新しく頑丈なだけでは文化価値が損なわれてしまうため」と伊佐さん。適切な保存活用を進めるためにも、HMに優先的に相談がいくよう行政への陳情も進めているという。「今ある建物を守っていく方法が知りたい、改修したい、地域づくりに役立てたい時は、HMに相談を」と呼び掛けた。窓口は沖縄県建築士会。


取材/徳正美
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2011号・2024年07月19日紙面から掲載

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