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2024年1月19日更新

エコと安全 植栽の効果|風土と住まい⑧

文・写真/與儀拓也(株式会社StudioClamp 代表)

私の事務所では住宅の設計を主に携わらせていただいています。事務所名のClampが意味するのは「全ての縁をつないでいきたい」という思い。人、風、光、雨…関わること全ての縁を大切につないでいきたいと考えています。その中で普段感じていることの中から、植栽についてお話しさせていただきたいと思います。
 
隣地との間に植栽を施した例。緑が楽しめるだけでなく、強い風を遮ったり、隣地からの視線をゆるやかに遮る効果もある


住宅の庭に芝を張り、雨水の浸透力を高めた例

 

庭に囲まれ風通し良く

沖縄の住まいと植栽には、独自の文化や気候に合わせた特徴が見られます。それをよく表しているのが沖縄の伝統的な住まいです。 美しい赤瓦の屋根や広い庭園、中庭などが特徴的で、これらが地元の気候に適応した住環境を作り上げています。フクギやイヌマキなど、沖縄ならではの植物や亜熱帯気候に適した植物が多く植えられ、緑豊かな庭が住まいを取り囲むように広がっています。建物は開放的で風通しの良いデザインが求められ、自然と風が通り抜けることで室内に心地よさをもたらします。また漆喰などの自然素材を取り入れることで調湿効果を提供しながら自然な美しさを醸し出してくれます。 最近では、持続可能で地球に優しいエコフレンドリーな植栽にも注目が集まっています。自然素材や地元の木々、石などを使ったエコフレンドリーな庭づくりが進み、環境への配慮が重要視されています。

 

台風・酷暑・豪雨にも対応

再生可能エネルギーの活用とともに、近年の大型台風や酷暑、ゲリラ豪雨などの気候変動への対応策としても、植栽の効果が期待されています。

敷地内の緑地の整備や浸透性の高い舗装材の導入により雨水の自然な浸透を促進することで、急激な雨に対する土地の受け入れ力が向上します。またグリーンカーテンや屋上緑化は、室温の上昇に対する緩和効果や空気の浄化が期待されるのと共に、自然と調和した住まいづくりにつながります。敷地の周囲に植えられた植栽は、台風時の強い風を遮りながら心地よい風を通し、隣地からの視線をゆるく遮る役割を果たしてくれます。

 

植栽でライフサイクルコスト減

近年では、物価高や人件費の向上により建物に掛けられる費用が圧迫され、思うような広さが確保できないような状況になっています。そこで、建物をできる限り大きく造るのではなく、将来の家族構成を見据えながら必要な大きさを確保し、空いたスペースに植栽などを施してみるのはどうでしょうか?

建物に掛ける費用が圧縮できるだけでなく、植栽効果で光熱費も抑えられることにより、建築から維持管理、解体、税金・保険費用まで、建物が役割を終えるまでにかかるライフサイクルコストの低減につながります。さらには台風やゲリラ豪雨などの災害への備えにもつながります。

植栽がもたらす効果で日々の暮らしにもゆとりが生まれると良いなと考えます。




よぎ・たくや
1984年西原町出身。㈲門一級建築士事務所勤務をへて、2018年にStudioClampを設立。現在に至る。事務所名には人や自然も含め、全ての縁を繋いでいきたいとの思いを込めた。StudioClamp電話=098・988・9572

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1985号・2024年1月19日紙面から掲載

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