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2023年8月18日更新

福祉車両レンタカーで移動を楽に②|車種多彩 寸法の確認を[介護を支える 住まいの工夫㉕]

要介護者の状況によっては、通院や家族での外出など移動時に困難や不安を抱くことがある。そんな要介護者の移動手段について紹介する。前回の介護タクシーに続き、今回は「福祉車両レンタカー」。人情くるまや三和自動車の金城宏代表と山田香代さんに話を聞いた。

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介護を支える住まいの工夫 ㉕

福祉車両レンタカーで移動を楽に②
車種多彩 寸法の確認を

介護者も要介護者も安心して外出するために、「福祉車両のレンタル」という手段もある。

「時間や用途で自由度が高いのが福祉車両レンタカーのメリット」と話すのは、「人情くるまや三和自動車」代表で日本福祉車輌協会九州沖縄エリア副ブロック長の金城宏さん。

「福祉車両と一言で言っても、さまざまな仕様がある。要介護者の身体状況、車いすの種類、利用目的などに合わせて、どの車種を選ぶかがとても大切です」と話す=下参照。

同社で福祉車両をレンタルしている人の目的は、定期的な通院が最も多い。他に、普段は福祉施設などに入所しているが、「たまにはドライブを楽しみたい」「お墓参りに行きたい」「お盆などで一時帰宅したい」という利用が多く、特にこの時期は、県外から観光目的での問い合わせや利用も増えるという。「車いすはリクライニングタイプなどサイズの大きいものもある。せっかく車を手配したのに車いすで乗ることができないと旅の計画も台無し。そんなことが起きないよう、予約を受ける際は車いすの寸法、利用目的、何人同乗したいかなど、なるべく細かく聞くようにしています」と同社の山田香代さん。より合う車種を用意するためにも、なるべく1週間前には連絡してほしいと呼び掛ける。


時間内なら行き先自由

福祉車両のレンタルは利用したい期間や時間で契約する。その範囲内であれば、通院の帰りに寄り道をしたり、時間を気にせずドライブや食事を楽しむこともできる。「その自由度が一番の魅力」と金城さん。

山田さんは、北海道から観光で沖縄を訪れたある家族に関わったことが深く印象に残っているという。「車の返却時、障がいで会話も難しい状況なのに、観光してきた場所や経験したことをすごく一生懸命、うれしそうに話してくれたんです。そのとき、この仕事のやりがいを感じました」と笑顔で語る。

金城さんが「福祉車両を利用することへのハードルを下げ、もっと身近に感じられるようにしたい」と話せば、山田さんも「今でなく、いつか必要になるはずだからということで話を聞きにくるだけでもいい。気軽に相談してほしい」と呼び掛けた。


 

福祉車両のレンタル 考慮したい点四つ


①車への乗降に負担がある人「シート回転タイプ」
助手席シートを外側に向けて回転させることができる。メーカーによっては、さらにシートをスライドや傾斜させたり昇降させたり高さを調整できるタイプ、後部座席が回転するタイプもある。車に楽な姿勢で乗り降りすることができ、ドライバー(介助者)とコミュニケーションが取りやすい。利用者の視界も良くなる。



②車いすのまま乗降したい人「スロープタイプ」
車両後部にスロープやリフトなどの装置が付いており、車いすのまま乗り降りできる。スロープには電動式、手動式がある。軽自動車からワンボックス、大型車まで、多彩なバリエーションがあるので、目的に合わせて利用しやすい。乗り降りの際に車高が調整できるタイプもある。


③介助者の負担も減らしたい「リフタータイプ」
車両後部に電動リフトが付いており、車いすのまま乗り降りできる。車いすを押す必要がないので、介助者の負担も軽減できる。車いすを常に水平に保つ必要がある人、介助者が高齢、砂利道などの悪路の場合でも利用しやすい。複数の車いすでも乗車が可能なほか、折り畳み式のシートを動かして、車いすの乗車がない場合の座席を確保できる車両もある。


④その他、多彩な福祉車両
・座席が分離でき、そのまま車いすとして利用できる
・車いすが収納できるトランクを装着している
・運転補助装置により、障がい者が運転できる(個人差が大きいため、カスタマイズが必要となることが多い)





福祉車両のレンタカーやリース、販売・修理なども行っている「人情くるまや三和自動車」のスタッフの皆さん。右から金城宏代表、金城美泉店長、山田香代さん、大浜英男さん

問い合わせ:人情くるまや三和自動車
電話 098-877-2107


取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1963号・2023年8月18日紙面から掲載

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