企業・ひとの取り組み
2023年1月6日更新
【人物紹介】確かな提案力と設計力|スリースターズ株式会社 代表取締役の中江源太さん[ひと]
一戸建て住宅やアパート、テナントビルの設計から施工までを一貫して行うスリースターズ(株)。中江源太代表取締役(37)は「自社でできることは自社で行い、余分な費用を削減したコストパフォーマンスの良い家づくりが強み」と語る。
高性能住宅を手の届く価格で
スリースターズ株式会社 代表取締役
中江 源太 さん
〈プロフィル〉なかえ・げんた/1985年、読谷村出身。小学生のとき将来の夢は大工さんと書くくらい昔から物づくりが大好きだった。2005年から県内の大手建設会社で営業を担当。19年にスリースターズ(株)を設立。設計や法律などこれまで培ってきた知識と経験を生かして、新しい形の建設会社経営の実現を目指す。
◆スリースターズ(株)
宜野湾市赤道1-5-1 電話=098-988-4258
https://three-stars.co.jp/
-会社設立の経緯は?
私は長く営業職として、顧客に企画提案を行い、設計業務と工事を受注してくる仕事をしていました。その中で、一級建築士と一級施工管理技士に出会い、仕事をしていくうちに互いに信頼し合えるように。一度きりの人生でこの三人がそろうチャンスはなかなか巡ってこないと思い、三人で会社を立ち上げることにしました。
-仕事のやりがいは?
家は結婚や子育てなど人生のさまざまなイベントが起きる場所。家族が楽しむ時間、子供がのびのび暮らせる空間が作れたら人生が変わります。お客さまの人生をより良い方向に変えるお手伝いをできることが建築の一番の魅力。お客さまが持つ不満や不安を引き出し、その解決策を提案するのが仕事です。
自分の提案したものが形になり、そして完成した空間で過ごしたお客さまが「スリースターズにお願いしてよかった」と喜んでくださったとき、何ものにも代え難い感動があります。
-会社の特徴は?
バイオマス燃焼灰をリサイクルした環境に優しいコンクリートを導入しています。セメントを作る際に出るCO2を削減できる上、長期的に強度が向上し続けるので建物の耐久年数も延長可能。それを通常のコンクリートと同価格で提供するほか、自社でできることは自社で行いコスト削減も図っています。
建物の屋上と外壁には太陽光を反射する遮熱塗料を使用。夏に温度を計測してみると、従来より約8度低くなることが確認されました。熱線吸収の窓ガラスも標準採用し、夏でも涼しい省エネ住宅を目指しています。
お客さまとのギャップをなくすために大型モニターで見られる3D図面ソフトも導入。例えば天井と床を濃い色、側面の壁を薄い色にすると空間が横に広がって見える目の錯覚を利用したテクニックがあるのですが、それを口頭で説明されてもイメージするのは難しい。でも3D図面だと実際に空間にいる感覚でイメージしやすくなります。
創業間もない若い会社だからこそ、こうした新しい資材や技術、デザインを柔軟に取り入れていきたいと考えています。
-今後の目標は?
私たちの仕事は家づくりを通してお客さまの幸せづくりに貢献すること。そのためには社員自身が幸せでなければなりません。働きやすい職場環境が社員のモチベーションを高め、お客さまにより良い提案ができることにつながる。そしてお客さまにご満足いただけたら、会社に返ってきた利益を社員に還元する、この好循環を生み出し続けていきたいです。
「宜野湾小学校近く、330号線沿いにある「スリースターズ株式会社」。設計から施工まで、建築に関わる幅広い分野に対応する
強度増すコンクリート
従来資材と差額なしで提供
「パームヤシ由来のバイオマス燃焼灰を使ったコンクリートの打設の様子
スリースターズが導入する、バイオマス燃焼灰を使ったコンクリートは、年がたつにつれて強度が増していくのが特徴。コンクリートの水和生成物(コンクリートの主成分である石灰が水と反応して生成されたもの)と、バイオマス燃焼灰の中のシリカが化学反応を起こし、コンクリートの隙間を埋めて緻密化させる。長期的にコンクリートの強度が増していくことで、構造物の耐久性が増すと見込まれている。
高品質のため、他社では通常のコンクリートより価格は上がるが、同社では差額なしで提供。中江さんは「将来的に利益になればいい。今は普及させることが優先」と話す。
取材/金城絵里子(ライター)
週刊タイムス住宅新聞
第1931号・2023年1月6日紙面から掲載