住まいに関するQ&A
2017年9月22日更新
住宅地の地価 上昇率全国一|気になるコト調べます!㉕
県は19日、土地の取引価格の指標となる地価調査の結果を公表した。住宅地、商業地、工業地などの平均変動率は2.9%で、東京の3.0%に次いで全国2位の伸び率だった。住宅地のみの伸び率は2.4%で全国1位。不動産鑑定士の高平光一さんは「地価も建築費も高騰が続いている。今後、住宅取得はマンションや中古物件などを選ぶ人も増えると思う」と話す。
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県内地価は4年連続上昇 観光客増で土地需要高まり
土地取引価格の指標「2017年県地価調査」結果発表
※地価調査は都道府県知事が毎年1回、基準日(7月1日)時点の、基準値の標準価格を判定するもの。今年は県内41市町村279地点(住宅地192地点、宅地見込地5地点、商業地73地点、工業地5地点、林地4地点)で行われた。
那覇市の伸び率「一服感」も
県の地価は、2013年まで20年連続で下落していたが、14年から上昇。17年も全用途平均変動率(林地を除く)は前年比2.9%と高い伸び率となった。要因は、入域観光客数が好調に推移してることや、移住者などが増え人口が増加していること。県内景気の拡大で土地の需要が高まり、地価を引き上げた。
特に住宅地の変動率は2.4%で、全国1位(2位は東京都で1.8%)。全国平均のマイナス0.6%と比べると、高い伸び率であることが分かる。
住宅地の地価は、県内41市町村のうち25市町村で上昇(前年は23市町村)。7村で横ばい(前年は11市町村)、9町村で下落(前年は6市町村)している。
住宅地の地価上昇をけん引しているのは那覇市。不動産鑑定士の高平さんは「新都心などは、土地に希少性すら出てきていて、地価が上がっている」と話す。那覇市に空き地が少なくなっていることや価格の上昇が続いていることから、需要が宜野湾市や浦添市など周辺地域に拡大している。一方で「那覇市松山や泉崎など、高価格帯の一部では、上昇幅が縮小していて一服感が見られる」と話す。
また、北谷町や宜野湾市なども昨年より上昇幅が拡大した。区画整理事業が進み、生活環境が整ってきたことが要因だ。読谷村は「リゾート的な需要が高い。眺望の良い土地に高値が付いている」と説明する。
■県内で住宅地の地価が上昇した地域(25市町村)
那覇市・宜野湾市・石垣市・浦添市・名護市・糸満市・沖縄市・豊見城市・うるま市・宮古島市・南城市・恩納村・宜野座村・金武町・読谷村・嘉手納町・北谷町・北中城村・中城村・西原町・与那原町・南風原町・八重瀬町・竹富町・与那国町
■県内で住宅地の地価が横ばいだった地域(7村)
今帰仁村・渡嘉敷村・座間味村・南大東村・北大東村・伊平屋村・伊是名村
■県内で住宅地の地価が下落した地域(9町村)
久米島町・本部町・国頭村・大宜味村・東村・伊江村・粟国村・渡名喜村・多良間村
離島の一部や北部では下落
住宅地地価の下落幅が大きいのは久米島町。高平さんは要因を「宮古島や石垣島に比べて、観光客数が伸びていない。人口が減っていることもあって、土地需要が少ないのに供給はあるため、地価は下がっている」と話す。そのほか伊江村、多良間村、大宜味村なども下落。「北部や離島の一部は観光需要が見込めず下落している」。
総じて、「二極化が顕著になっている」と高平さん。地価が上昇しているところは、「今後も上昇が続くと思われる。ただし、上昇幅は少しずつ縮小していくのではないか」と語り、今後の住宅取得について「建築費も上がっている昨今、マンションや中古物件の需要が高まっていくと思われる」と話した。
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編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1655号・2017年9月22日紙面から掲載
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。