庭・garden
2023年1月6日更新
安定感と奥行き 既存素材で演出[プロがつくる庭]
新垣さん宅(南城市) 施工/金勢造園
庭の全景。さまざまな種類のツツジやサンダンカが植えられているため、季節ごとに花の色が変わり雰囲気も変わる
朝は父 夕方は息子が憩う
偶然重なり再依頼八重瀬町の新垣誉史さん(49)は、家の建て替えを機に庭を造り替えた。芝庭を囲む縁石の向こうには、背の高いクロキが順序よく並び、足元では低くこんもりとしたツツジやサンダンカが彩りを添える。
灯籠やつくばい、琉球石灰岩に根付いたマツなどは、庭に多様な表情をもたらしており、最奥でどっしりと構える幹の太いクロキと大きな立石が庭全体の印象を引き締める。
父の清徳(75)さんは「朝起きたらまず庭に来る。野鳥が飛んでくるし、空気もいいので気持ちいい」。一方、誉史さんは「夕方、仕事終わりに庭を眺めながら晩酌するのがたまらない」とそれぞれ自分なりの楽しみ方をしている。
そんな新垣さん親子が今の庭造りを依頼したのは金勢造園の知念政徳さん。実は知念さんは以前の庭を手掛けた庭師の一人だった。その後知念さんは独立したため関係は途切れてしまっていたが、30年ぶりに偶然再会したのをきっかけに「信頼できる」庭師に依頼したという。
要望は、以前の庭の素材を再利用すること。そこで知念さんはまず、縁石を寝かせて安定感を出した。木の高低差を利用することで、横幅の広い庭に奥行きも演出。リュウノヒゲやヒメキランソウなどで土が露出した部分を覆い、雑草も生えにくくした。
自分で剪定もする誉史さんは「あるものでこんなにいい庭になるなんて驚き。家に来るお客さんも喜んでくれる」と笑顔を見せた。
塩ビパイプや樹脂製の竹で作った袖垣。以前の庭からあったものだが、塗り直して再利用した
琉球石灰岩に根付いたマツは誉史さんのお気に入り。その隣のつくばいや、後ろにある背の低い金閣寺垣ともよくマッチしている
花の少ない時期は、銀色をしたイシギク(写真中央手前)の葉がアクセント。植物の間には通路があり手入れしやすくなっている
設計・施工/金勢造園
電話=098・946・7800
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1931号・2023年1月6日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
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- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。